7月15日の衆議院平和安全法制特別委員会で、安倍内閣が提出した安全保障関連法案が与党の単独採決で可決され、翌16日の本会議でも自民・公明・次世代の賛成で衆議院を通過しました。

 

7月15日 衆議院平和安全法制特別委員会 (朝日新聞社 WEB RONZA より)


梅之助は野党側が政府法案に反対する事自体は何とも思いません。いろいろな意見があってしかるべきでしょう。しかし国会議員ならば写真のようなカメラ向けパフォーマンスは見苦しいです。中央右側の辻元清美議員のわざとらしい演技は観ていて大変不愉快です。
議員ならば堂々と議論で勝負してください。
というのも今回の法案で、まともな対案を出したのは維新の党だけだと言うではないですか!では政府案反対の他の野党は何をやっていたのですか?

日本の防衛環境をめぐる下2つの表を見て下さい。

 

 


上はスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)により今年4月の発表された世界の軍事費データから、日本と中国の軍事費推移を図表化したものです。
下は防衛省平成26年度版防衛白書より航空自衛隊機のスクランブル発進回数の推移と内訳になります。
この状況を踏まえて、国防に関する対策をほとんど打たないとするならば、その政党・国会議員は一体何者なんでしょう?民主党、共産党、社民党、山本太郎と仲間たち、は日本には不要です。

米国の東アジアにおけるプレゼンスは確実に低下しています。昨年オバマ大統領が来日した際、日本側が執拗に「尖閣諸島は日米安全保障条約に適用される」という言質を取ったのも、米国を日本・東アジアに引きつけておく為でもありました。
日米首脳はこの時、改めて日米同盟を確認した訳ですが、当然同盟関係を維持するうえで、日本に課せられる役割だってあるのです。

 


集団的自衛権の限定容認に関して、かつて政府は国民向けにこんな例を挙げていた事がありました。日本艦船と並走する米国艦船が攻撃された場合、日本艦船が反撃できるようにする、というケース。
この時、「私(日本)は知りませんし、何も出来ません」では信義にもとると言わざるを得ないだろうし、もし日本がそのような態度を取り続けた場合、米国は尖閣防衛など本気でやる訳がないでしょう。
民主党などは上記のケースはわざわざ集団的自衛権を持ち出す必要などなく、個別的自衛権で対応できる、としています。
しかし、果たしてそうでしょうか?
東京新聞の長谷川幸洋氏(左系の東京新聞にしては正論を主張できる極めて異例な人)は「現代ビジネス」でこう指摘します。

「ミサイルが当たった時点で、発射した側に『もしもし日本を狙ったのですか』などと確認できるわけもない」。だから、発射した時点で日本は「もしかしたら日本が狙われているかもしれない」とみなして即座に反撃する。その根拠は個別的自衛権、すなわち「日本が攻撃されたのだから当然、日本は反撃する権利がある」という理屈である。

結論から言えば、こういうケースで個別的自衛権を適用するロジックは誤りであり、国際常識で認められないだけでなく、非常に危険でさえある、と思う。なぜなら、相手にしてみれば「おれたちは日本を狙ったのではない。米国を狙ったのに、紛争に関係ないはずの日本が突然、横から出てきて攻撃してきた」という理屈を与えてしまうからだ。
もしも敵のミサイルがだれにも当たっていない時点で、日本の反撃が開始されていれば、なおさらだ。ミサイルが結果的に米艦船に当たったとすると、相手はこう主張するだろう。

「ほらみろ、おれたちは米国を狙ったのだ。それなのに日本は自分が狙われたと言って、勝手に参戦したんだ」

このとき日本が「いや、おれたちは自分が狙われたと思ったんだ」などと反論しても通用しない。「なにを言ってるんだ。日本が自国防衛という理由で突然、参戦してきたんじゃないか。自分がそう言ってるじゃないか。宣戦布告なき戦争行為だ」という話になる。つまり個別的自衛権の論理が破綻してしまう。それどころか、攻撃を受けたわけでもない日本の行為が世界的に批判されかねない。

これに対して集団的自衛権とは、まさにあらかじめ「他国への攻撃を自国への攻撃とみなす」という点に核心がある。「米艦船への攻撃は日本艦船への攻撃とみなして集団的自衛権に基づいて反撃する」と堂々と宣言する。そうすれば「日本を狙ったわけでもないのに、日本が勝手に参戦してきた」という相手の理屈を封じ込めることができる。「われわれの集団的自衛権行使は国連憲章で認められた行動だ」と主張できるのだ。

個別的自衛権で対応可能という主張は、米艦船を日本艦船が防御する対応そのものに反対していないにもかかわらず(日本共産党はそれにも反対だろうが)、ロジックだけは国際常識である集団的自衛権の適用を避けて、個別的自衛権の拡大で説明しようとするものだ。それは一見、もっともらしく見えて、実はかえって敵に「日本が勝手に参戦した」という口実を与えてしまいかねない。「悪漢は集団で退治する」という国連と国際社会の原理原則から離れて、なんでも自分だけで対応するという態度に固執しているからだ。

集団的自衛権のロジックは以上のように、実は単純である。一言で言えば「私はみんなのために、みんなは私のために」だ。英語で言えば「All for One, One for All」である。そういう原理を離れて個別的自衛権のみにこだわる姿勢は「とにかく嫌なものは嫌」と言って聞かない駄々っ子のように見える。

 

2014年8月4日 産経ニュースより


さて、各国の反応ですが、特亜をのぞいて賛成・支持が軒並みですね。これぞまさに戦後日本の国是である「国際協調」ではないでしょうか?
思えば戦前日本は、まあいろいろ事情があったにせよ、国際連盟を脱退し国際協調から背を向ける形となってしまいました。その後の結果は言うまでもありません。
こういう歴史の教訓から、事象の本質を表層的な出来事に捉われずに見極める思考を日本人は養わなければならないのですが、どうも左系の人はそれが出来ないみたいです。
最後に、最近反対活動で注目されるSEALDsの大学生の皆さん。
雰囲気でデモに参加しているのならば少しは勉強してください。あなた達の主張程度で大学生を名乗られたら日本が哀しすぎます。


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