梔子花さんのブログ

小説、エッセイ、PSW。
「私はいつも大海原(うみ)に向かってボトルレターを投げていた」

イベントに出たいです(一部まだ申し込んですらいない)。

2017年7月16日(日) みちのくCOMITIA3
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2017年8月20日(日) COMITIA121
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2017年10月8日(日) 名古屋COMITIA51
2017年10月28日(土) 第6回Text-Revolutions
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2017年11月23日(木・祝) 第25回文学フリマ東京
→申し込みました!

……こんなに出られんの??? 続報をお待ちください。



***   ***   ***



ご訪問ありがとうございます。

このブログでは、私が日々考えていることを、そのまま書いたり、物語にして書いたりします。
「ふつーのブログだと思ってたのに、ある日来てみたらなんかポエム始まったんだけど!」みたいなこともあります。きっと。
驚かないでくださいね。通常運転です。

お読みください→【重要】皆様にお願い事【必読】……「無断」転載厳禁です。

感想お待ちしております→感想用記事


よろしくお願いいたします。

梔子花

梅雨空というより雷雨の前のような不穏さが続きますが。

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「……ふぅ」  

 

寝室の戸を閉め、服を脱ぎながら思う。

 

(……冷たかったかな)  

 

もし、もっと心の優しい嫁だったら、どう答えたのだろう。  

 

彼がへこたれず、明るくしていればいるほど、苛立ちが大きくなるような気がする。

何故、そう能天気でいられるのか。

こちらに言われたことを、本当に分かっているのか、反省しているのか……。

 

何も考えていないような笑顔が、彼の良いところでもある。

頭では分かっている。

分かっているのだけれど。

 

「はぁ……」  

 

部屋着に着替えるや否や、一芽はその場にへたり込んだ。  

 

ペンネのトマトソースだろうか。

良い匂いがする。

胃が刺激されて空腹を感じるけれど、空腹になればなるほど悪阻は酷くなる。

部屋を出て恵慈に事情を話せば、彼はきっと、何か口にしなよと言ってくれる。

しかし今は、その優しさに対して素直になれない。

きっとまた、変に穿って苛立つままに、彼に八つ当たりをしてしまう。

 

「……」  

 

袋小路に迷い込んでしまったような。  

 

一体、どうしたら良いのだろう。

 

「……カズメちゃん?」  

 

ドアをノックする音と共に、向こう側から恵慈の声がする。

 

「……」  

 

一芽が返事をしないでいると、「開けるよ」という声と共に寝室のドアが開いた。

 

「どうしたの、気持ち悪い?」  

 

座り込んだままの妻に気づいた恵慈が、すっと隣に屈んで、一芽の背中をさする。

 

「なんで」

「?」

「なんでそんな、優しくできんの」

「……?」  

 

恵慈は何も言わず、小さく首を傾げるだけだった。

伝わらないもどかしさが、またあの苛立ちを呼ぶ。

 

「いつも理不尽に怒られてさ、なんでその日のうちにケロっとしてられんの。本当に分かってる? いつもいつも、私がなんで怒るのかさぁ。結婚してからケイちゃんを怒ることが増えたの、気づいてない? こんな関係になっちゃったのに、なんで何も変えようとしないの? 人の親になるんだよ? いっつもヘラヘラしてさ、不安とかないわけ? ちゃんと考えてんの?」

 

畳み掛けるようにそう言われた恵慈は圧倒されてしまったのか、何も言い返してこない。

一芽が「何か言ってよ」と言おうとしたその時、ようやく彼は口を開いた。

 

「……カズメちゃんはさ」

「?」

「僕にどうしてほしいの」  

 

一芽はすかさず、「……分かんないんだね」と返した。

「あなたは鈍感ですね」と、暗に意味していたその言葉に恵慈は「うん」と素直に頷いて、間を置かずに「でもね」と繋いだ。

 

「一芽ちゃんと上手くいってないのは僕だって気づいてた。ずっと悩んでもいたよ。ね、僕はどうしたら良い? してほしいこと、言ってよ」

「そういうとこだよ」

「?」

「ちっとも自分で考えようとしない。ていうか分かる訳ないよね。恵ちゃんだけじゃない。誰にも分からないよ! 私のことなんか誰も分かるわけな」

「いい加減にして!」  

 

 

 

 

 

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いよいよ梅雨入りですね。

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気まずい結婚記念日を終えた翌朝。

 

「……」  

 

ベッドで一芽が目を覚ますと、既に恵慈は家にいなかった。

 

「っ……ふあ」  

 

身体を起こし、伸びをする。  

 

今日は午後からの出勤だ。

気分の悪さは相変わらずだが、何日も仕事に穴をあける訳にもいかない。

 

「……?」  

 

廊下に出ると、ふわりと甘い香りがした。

花のような。

いつも使っている洗濯洗剤などの香りとは違う。

 

(何の……?)  

 

廊下をうろついて、匂いの発生源を探す。

 

「あ」  

 

それはすぐに見つかった。  

 

玄関の靴箱の上に生けられた、白い花。

昨晩、恵慈が買ってきたものだ。

八重咲のそれは薔薇にも見えるが、葉の形や枝の様子が、明らかに違う。

 

「ガーデニア……クチナシ」  

 

枝に引っかけられたままのタグに書かれた文字をなぞる。

 

(花束なんて……)  

 

恵慈は何故、急に花束を買ってきたのだろう。

結婚記念日だから、という理由だったとしても、贈り物に花束を選ぶような人ではないと思っていたのだけれど。  

 

ふと、何の気なしにタグを裏返す。

 

(花言葉……?)  

 

それを見た一芽はひくりと目を見開いた。

 

(……ケイちゃんはさ)  

 

キッチンへ移動し、烏龍茶を飲みながら考える。

 

(ケイちゃんは今、幸せなの)

 

このところ、恵慈とすれ違うことが増えた。

恵慈から叱られることも稀にあるけれど、ほとんどない。

大抵は自分の方が苛立って、あれやこれやと彼に小言を言ってしまう。

それはもしかしたら、妊娠して身体に変化が起きているせいかもしれないのだけれど、どうもしっくりこない。

 

――ごめんね――  

 

こちらが怒る度、恵慈は悲しそうに呟く。

数時間経てば元通りになってしまう心のつよさに、ついつい甘えてしまう。  

 

それもいつか、限界が来るのではないだろうか。

「いい加減にして」と、怒りを露わにする日が来るのではないだろうか。

自分だったら、「何なの、何がしたいの」と、とうに怒鳴り散らしている。

 

――ごめん……すぐ、やるから――  

 

昨日の恵慈を思い返す。

 

(悲しそうだったな)  

 

きっと、喜んでもらいたくて買ってきたのだ。

それを、喜んでもらうどころか逆に怒られてしまって、悲しくない訳がない。

 

(どうしたらいいの……)  

 

そっと、下腹部をさする。  

 

夫に対してでさえ怒りの沸点が低いのに、これで子どもが生まれたらどうなってしまうのか。

 

(ごめんね。こんな母親のところに来ちゃったばっかりに……)  

 

誰もいない。

この苛立ちも、不安も、きっと誰にも分からない。

それでも。

分かっていても……。

 

(助けて……)  

 

泣くのは、きっと自分らしくない。

だから今だけ。

少しだけ。  

 

一芽の小さな嗚咽が、しんとしたキッチンに響いた。    

 

 

 

***  

 

 

 

一芽が次に恵慈と顔を合わせたのは、その日の夜のことだった。

 

少し残業をして溜まっていた仕事をできるだけ片付けて、帰宅したのは夜八時過ぎ。

一芽が玄関のドアを開けると、「おかえり」と、恵慈の明るい声が出迎えた。

 

「……ただいま」  

 

昨日のことなどなかったかのように、恵慈は「気分はどう?」、「ご飯ものがムリって聞いたからペンネ作ってみたんだけど、食べられそう?」、「先に着替えてくる?」と、次々に尋ねてくる。

 

「……えっと、着替えてくる」  

 

疲れた頭で一芽が答えられたのは、それだけだった。

恵慈が変わらず明るく「分かった」と返してくれたのが救いだった。  

 

 

 

 

 

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今日も元気に。

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恵慈の心は小躍りをしていた。

 

(カズメちゃん、驚くかな)  

 

帰宅していく人々で混み合う電車の中。

片手でつり革を掴んで体勢保ちながら、空いた方の手で持っている小さな花束をちらりと見やる。

先程、乗換で通りかかる所謂「エキナカ」の花屋で買ったものだ。

 

――やっぱり、オメデタだって――  

 

産婦人科の待合室で俯き気味に呟く彼女の姿が浮かぶ。  

 

妻の一芽が、初めての子を妊娠した。

重ねて今日、恵慈たちは三回目の結婚記念日を迎えた。

連日の残業でなかなか一緒に過ごせないことへの申し訳なさもあり、恵慈は何か彼女に送りたいと思っていたところだった。

 

――今日ちょうど、入ってきたんですよ――  

 

花屋の女性の店員が教えてくれた。

 

――今がちょうど時期の花で、香りがとても良いんです。男性の方もよく買っていかれるんですよ――

 

花のことはよく知らなかった恵慈だったが、その店員の話を聴いて、この花のことは少しだけ覚えた。

 

名前は、ガーデニア。

薔薇にも見えるけれど、枝に棘はない。

切り花にすると花持ちが短い、というのが難点だ。  

 

男性も買っていく、というのにも理由があるようだ。

花屋の店員が言っていた。  

 

花言葉と、その由来。  

 

それに倣ってこの花を一芽に送ってみようと、恵慈は思った。

ついでに、伝えにくい彼女への想いも、花言葉に乗せて伝えられたら……。  

 

 

 

ところが、夫婦というのは、そう簡単なものではないらしい。

 

 

 

「……は?」  悪阻が酷いために仕事を休み、ベッドで横になっていた一芽は、恵慈の差し出した花束を見て顔をしかめた。

 

「ケイちゃん……今、何時」  

 

その問いに、腕時計を見て答える。

 

「えっと、十時、ちょっと前」

「残業、してきたんだよね。連絡くれたもんね」

「うん」

「私が今日、気分悪くて仕事休んだの、知ってたよね」

「うん」

「で、今日が結婚記念日だっていうことも、分かっていた」

「うん」  

 

一芽は「はぁーっ」と大きなため息をついた。  

 

恵慈は不安で仕方がなかった。

何か良くないことをしていたらしい。

 

(何だろう、何だろう)  

 

原因を探ろうと一生懸命考えてみるが、頭が上手く回らない。  

 

一芽が口を開く。

 

「花を買ってくる時間があるなら、少しでも早く帰ってこれなかった? 私、本当にしんどくて、家のこと何もできてないんだ」

「あ……」  

 

体調の悪い一芽にとっては、花束を貰うよりも現実的な「家事」という行動の方がありがたかったらしい。

 

「……ごめん」  

 

恵慈は「すぐ、やるから」と小さな声で伝えて立ち上がった。

 

(……あ)  

 

片手にはまだ、ガーデニアの花束。  

 

こんなもの、という思いがちらりと掠めたが、恵慈は小さく首を振った。

花束に罪はない。

それに、早く生けなければ。

この切り花はただでさえ命が短いのだ。

恵慈は、一芽にまた叱られる前に、こっそりと花束を花瓶に生けておくことにした。  

 

結婚して三年。

どうも最近、妻とすれ違うことが増えてきた。

 

(結婚する前は、どうやって彼女と関わっていたんだっけ)

 

そのようなことをよく考える。  

 

すれ違う最中で、一芽は妊娠した。

これをきっかけにまた、二人で楽しく暮らすことができたら……。

しかしそれは、甘い考えなのかもしれない。

このままでは、ぎくしゃくした両親の狭間で、生まれてくる子どもが苦しむことになる。

それは避けたい。

 

(どうしたらいいの……)  

 

花を挿した花瓶を見ながら、口の中で呟く。  

 

恵慈は焦っていた。  

 

 

 

 

 

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「そのほか」記事でつなぐのも今日で終わりだーーー!

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本題に入る前に。

 

 

 

夏から先の出たいイベントのうち、「第6回Text-Revolutions」、「第二十五回文学フリマ東京」のサークル参加申し込みをいたしました!

 

 

 

両イベントとも、あとはおカネさえ振り込めば参加確定となります。

 

(文学のイベントはサークルカット要らないから楽ちんです)

 

 

 

あと申し込むのはサークルカットの要る奴らです。うわぁ……どうにかしましょう。

 

 

 

 

 

さて本題。

 

 

 

6月のこのブログですが、小説の投稿をしていきたいと思っています。

 

 

 

「香木(梔子)」の不採用になった作品。

 

一度イチから書き直して「秘密の場所」は発行されていて、なので「その前のやつ」ってのが実はあるわけです。

 

 

 

「私はこの作品で何を伝えたいんだ……」っていう、大事な「転」のところで詰んだまま放置していましたが、久しぶりに読み返してなんとなく見えてきました。

 

「幸せ」というのがキーワードになりそうです。

 

さすが、花言葉に合わせて書いていただけのことはありますね。

 

 

 

サンプル置いておきます。

 

 

 

 

(まだ初稿もあがっていない状態なので内容が変わる可能性があります)

 

 

 

 

 

ちゃんと完結できるか心配ですが、「香木(金木犀)」などとあわせて頑張ります。

 

お楽しみに。

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「来週からはエッセイ」って言ったな。あれは嘘だ(ごめんなさい)。

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今一度、「謂はぬ色」の無料配布本について、語りたくなりました。

 


 

こちらが、初版を発行するときに書いていた記事。

 

サンプルも載せていますので、気になる方は飛んでみてください。

 

 

 

 

 

降臨するままに、地元のミスドで泣きながらノートに原稿を書きなぐって。

 

そうしてできあがった初稿をほぼいじることなく発行しています。

 

 

 

ほかの本は何度も何度も書いては直し、を繰り返して、足りないところを補ったり余計なところを削ったり、統一した方が良い表現を統一したり、などしておりますが、「エンプティ」は、あえてそれをしていません。

 

書きなぐったときの勢いが消えてしまうような気がして。こんなにも「伝えたいこと」がむき出しのままで強烈に訴えてきているのが、校正、推敲を経ることでまろやかになってしまう気がして。

 

 

 

それが「文学的に未熟」だというのなら、お金は要らない。無配で構わない。

 

だから感じてくれ。理屈はいいんだよ。考えるな、感じろ。

 

 

 

 

 

これで響く人は、私の他の作品も読めるはず。

 

 

 

他の作品の方が「伝えたいこと」がもにゃっとしています。読みやすくもあり、物足りなさもあるような。

 

そういう意味では、私はまだ「エンプティ」を超える作品を書けていません。

 

 

 

まだ響かない人は「今じゃない」だけで、しばらく置いてからもう一度読んでみたら、響くこともあるかもしれません。

 

だから良かったら、そのまま持っていてください。

 

 

 

 

 

この先、イベントに委託参加(運営さんに頒布を委託します。私はいません)をしたり通販を始めたとしても、無配というポジション故に「直接参加イベント限定配布」という形をとるのだと思います。

 

なので配れる範囲に限りが出てしまいますが、ご縁のある方はお手に取ってみてください。

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