投票結果が出てまる1日経って、夏季休暇(ただし大人なのに宿題つき)でもあるので、少し日常(たとえば今日、久しぶりに聴いた懐かしいCDなど)のことなどを中心にリラックスした「身辺出来事録」でも、と思っていましたが、結局本日の総理会見と、もう一つの重要なニュースを拾っているうちに、今までとあまり変わらないエントリーになってしまいました・・・。


まず、本日のアベ記者会見には皆さんと同じように、怒りと脱力とともに、「もはや独裁国家」という思いと自民党政治の制度的な機能不全を思います。

先ほども引用させていただいた、東京新聞への寄稿で鎌田さんが指摘されている内容の中でも、自民党の「玉砕主義」という点に、本質が現れていると思います。

 東京新聞 2007/7/30夕刊

 自民溶解のはじまり ルポライター鎌田慧氏寄稿


をぜひお読みください。


青木氏は「1年前から選挙の準備をしていたのに、内閣が問題を起こすからこうなってしまった」と愚痴をこぼしていましたが、それは内閣のスキャンダルを封殺できなかったことを悔いているようにしか聞こえません。

また、昨晩の選挙速報番組で、立花隆氏は「辞めなくてもどうせ(健康問題で)倒れますよ(失笑)」と辛辣な発言をされていました。


ただ、そこまでこちらの我慢がなりませんし、民主主義国家として非まっとうな体制は見過ごせません。


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そして、まさか選挙まで事実が隠されているのでは・・・と悪い想像をしていましたがやはり、選挙の結果判明とシンクロして、柏崎刈羽原発の解析データが公開され、その嫌な予感通り、十分に衝撃的なものでした。


当初は、1号機の最大加速度が680ガルという発表で、それでも驚愕した のですが、今回、重力加速度の2倍以上の2000約1800ガルという加速度が、水が漏れた(あふれた)1号機で確認されていたそうです。

(訂正: 1号機は1800ガル程度。3号機のタービン建屋が2000ガル以上です)


重力加速度の2倍の加速度に堪える原発の耐震設計は「物理的に」可能なのでしょうか??


ここから先は素人の発想なので(汗)、詳しい方がいらっしゃったらご指摘いただけると幸いです。


まず、本文にいろいろ書いたのですが、最初に発表を見てわたしが感じた疑問点一覧を挙げます。


1 【このレベルの検証に2週間かかる根拠は?】

2 【報告では全機の結果があり、ただ算出済み分からなぜ発表をしなかったのでしょう?】

3 【簡易的な測定と、構造計算とで3倍もの誤差が出る設計は的確でしょうか?】

4 【水平方向であれば2000ガルであっても深刻と言えないのでしょうか?】

5 【建物の上部には炉の本体がないので問題は低いと言えるのですか?】

6 【余震でのデータ上書きの代替データの存在は最初から把握されていたのでは?】

47News 揺れの強さは最大2000ガル超 中越沖地震で柏崎刈羽原発

 東京電力は30日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)で観測された新潟県中越沖地震の揺れの強さ(加速度)が、水平方向で最大2058ガルに達し、7基の原子炉すべてで、設計時の想定を大幅に上回っていたと発表した。

 7基中5基で1000ガルを超える加速度が観測された。東電は、これまでに地震計から得られた速報値であり、機器に与える影響や詳細な分析は今後進めるとしている。

 同原発では既に、基礎となる岩盤のすぐ上に当たる1号機原子炉建屋の最下層、地下5階床上で、最大で想定の約2・5倍に相当する680ガルを観測していた。

 同様に想定の約2・5倍に相当する2058ガルが観測されたのは、3号機タービン建屋1階のタービン架台上で、基礎からみて建物のかなり上部に当たるため、揺れがより増幅されたとみられる。
2007/07/30 18:39 【共同通信】

TEPCOのプレスリリースと解析データから引用します:

東京電力プレスリリース  07.30

柏崎刈羽原子力発電所における平成19年新潟県中越沖地震時に取得された地震観測データの分析に係る報告(第一報)について

(略)

新潟県中越沖地震本震の際に取得された観測記録のうち、1号機~7号機の原子炉建屋基礎版上で時刻歴波形を取得している新設地震計の加速度時刻歴波形の例を図2-1~2-7 に、観測記録に基づく床応答スペクトルと設計時の地震応答解析モデルに設計時に用いた地震動を入力して算定した床応答スペクトルの比較の例を図3-1~3-7 に示す。
なお、既設地震計67 台のうち63 台分について、余震記録により本震記録が上書きされ、本震記録の地震動の波形が消失していること(7月19 日お知らせ済)、および新設地震計による地震観測記録のうち3号機タービン建屋1階に設置した新設地震計(1台分)の本震記録が、地震計記録部の回路異常により消失していることが判明した。
しかしながら、既設地震計の最大加速度値は消失していないこと、新設地震計による各号機の原子炉建屋基礎版および3号機タービン建屋基礎版上の本震記録が取得されていること等から、十分な検討ができるものと考えている。

(略)

(参考)(←ここからまた原文)
今回の地震において、既設地震計63 台分の本震記録が余震記録により上書きされた事象を踏まえ、当社は、早急に地震観測装置の更新を行う。また、新設地震計1台分の本震記録消失については、現在は記録部の異常部分を利用しないことで正常に動作しているが、今後速やかに当該地震計の修理・交換を実施する予定である。

図: 680ガルが最大値となっている1号機時間軸上の波形

(クリックで拡大)
070730加速度時刻歴波形(_1号機)

図: 1号機建屋基礎板上の加速度スペクトル

(クリックで拡大)

070730加速度スペクトル(1号機)

余震により上書きされたという地震計のデータでしたが、また観測装置(地震計)のリプレースをするという対策を見せつつ、今回加速度算出はできる、ということですが、どうしても、「やはり当初から100%万全ではないにせよ検証に足るデータがあったのではないか」と疑わざるを得ません。


また、床応答スペクトルの算定に2週間(つまり選挙が終わるまで)かかるのかどうかも不可思議です。


少なくとも、計算の終わった原子炉から順番に、速報の形でプレスリリースすることはできたはずです。


(この所要期間については、検索したところ、2年前の女川原発停止 では地震が8/16に発生して、9/2に発表されてはいるという実績がありますが、これも「遅さ」を指摘されていた記憶があります)


応答スペクトルとは、地震動が設備にどのような揺れ(応答)を生じさせるかをグラフに示したものであり、横軸に設備の固有周期、縦軸に設備の揺れの最大値(応答の最大値)をとって、分かりやすいように描いたものです。
最大応答値は、一般に加速度で示され、上にあるほど大きく揺れることを示します。(加速度は重さと掛け合わせると力に換算されるので、同じ重さの設備であれば加速度が大きいほど大きな力が働くことになります。)
応答スペクトルにより、特定の固有周期を持つ設備が、個々の地震動に対して、最大でどの程度揺れるかを把握できます。

という算出方法なので、(推察ですが)解析の際の各種変数の設定などに時間がかかるのかもしれないにしても、固有周期などの条件は設計時・建設終了時のデータなどがあるようにも思われるので、なぜ丸々2週間かかったのか、ちょっとよく分かりません。


参考にさせていただいたこちらの↓JanJanの記事なども、わたしなどよりはこの分野に多少明るい方が読まれれば、さらに今回の検証に対しての疑問を解く鍵になりそうです。

気になる部分も引用してリンクをお知らせします。


驚愕の耐震偽造~女川原発を暴く(3)耐震計算モデルに住むお化け 2006/11/24

(略)

(8)2号機制御建屋の固有周期
 同様に、文献1、別紙1、参考2、P.4の図17の3階のS1より読んで制御建屋の1次固有周期は両方向ともに0.14秒となります。

I.固有周期から分かること
 固有周期から分かることは、オフィスビルと同じ制御建屋の方が耐震計算の厳しい原子炉建屋より頑丈(剛)に造られていることです。理由は想定地震を図14のように直接入力する制御建屋は丈夫に作っておかなければ耐震計算で持たないからだといえます。また、通常の建物の耐震設計は電力会社でも可能だからです。

 安全上重要で、非常に重い機器を含む原子炉建屋は図15のように入力波(幽霊波)を自由に設定できるからGEの設計図通り少々柔らかく造っても、耐震計算がもつ結果を出せる自信があるからで、また、設計変更するのは、いろいろな重要な機器や配管の設計変更をともない、能力的にも不可能で、経済的にも合わなかったからです。
(略)

原発というだけで根拠のない恐怖だけ煽ることには批判も受けたりもします。

一方的にトンデモ情報を流すことはまったく本心ではありませんが、市民が分かるような説明責任を果たしてくださらないと、疑心暗鬼から逃れらないし、解析データの第一報がこのような形で、しかもこのタイミングで出されたことはわたしには残念です。


アベ内閣の説明責任についても共通の指摘ができます。


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東電では、事態を重くみて 副社長を現地駐在にしたそうです。

47News 副社長が柏崎刈羽原発駐在 地元に義援金渡し謝罪


 新潟県中越沖地震の影響で、変圧器の火災や放射性物質の流出などが相次いで発覚した柏崎刈羽原発に、東京電力の武黒一郎副社長(原子力・立地本部長)が30日、現地駐在として着任した。

 東電によると、副社長が一定期間、現地事業所に駐在するのは初めて。原発復旧の陣頭指揮に当たるほか、住民への情報提供、地元自治体との調整などを強化するのが狙い。

 武黒副社長は同日午前、柏崎市の会田洋市長を訪ね、2000万円の義援金を手渡して「皆さんにご心配をかけて反省しています。おわび申し上げます」と謝罪。刈羽村の品田宏夫村長にも謝罪の言葉を述べ、義援金を渡した。

 これに先立ち、同原発内で朝礼で約400人の社員を前にあいさつ。「原発への信頼感が揺らいでしまった大変厳しい状況。全社を挙げて未曾有の危機に立ち向かいたい」と述べた。

 武黒副社長は東電が社内に設置した「新潟県中越沖地震総合対策本部」(本部長・勝俣恒久社長)の副本部長。2001年から3年間、柏崎刈羽原発の所長を務めた経験がある。
2007/07/30 12:20 【共同通信】

こうした形で事後に誠意を見せていただく以上に、最大の誠意のひとつは情報開示だと考えています。

それと、タイムリーな意思決定と。

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