基本機能の問題

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為政者には、相対する人や組織の単独での行く末や影響を推し量るミクロの視点と、複数の単体からなるマクロの動向の両方を、行きつ戻りつできる能力が欠かせない、ということは講義で聞いた記憶があるし、それは政治家に関わらず何らかのマネジメントでも重要な資質だと思ってます。


人の気持ち(ミクロ)などを気にしていたら政治ができない、というのであれば、その人は政治もどきをもて遊んでいるだけか、あるいは象牙の塔の中だけでしか生きられない純粋培養の学者(限定条件つき)でしょう。

一方で、目の前にいる人だけを幸せにするために、より広いコミュニティや行政が行うこと(マクロ)をなおざりまたは見て見ぬふりをするのは、視野が狭いが普通の人…なのだと思う。


いずれのパターンにせよ、政治はやっちゃいけない。


柳沢厚労相は「功労賞」人事(厳密には論功行賞ですね)の悪弊表面化で、これはさらに何度も繰り返されるのだろう・・・

この方、アベ内閣の中では、珍しく、日本会議にも属しておらず、主だった議員連盟は「靖国」だけで、アジアの政治家8人に選ばれた というけれど、マクロ視点や事象を機能で捉える論理の視点は持ち合わせていても、そんな為政者としての心得、いえ、それは過剰な要求だからひとまず置いて(諦観)、上にあるような基本機能が必要、ということは知らなかったらしいですね。

(もう、わずかばかりの暖かい心を期待する気分すらないので、かなり投げやりです。しかしご家族の心情は…)


YOMIURI ONLINE 厚労相「女性は産む機械」…講演で発言野党批判 辞任要求も
 野党各党は28日、柳沢厚生労働相が「(女性は子供を)産む機械、装置」と発言したことについて、「厚労相として許されない発言だ」と一斉に批判した。
 共産、社民両党は厚労相の辞任を要求する考えを明らかにした。29日から本格的に始まる今国会の論戦にも影響を与えそうだ。
 関係者によると、柳沢厚労相は27日に松江市で開かれた島根県議の会合で講演し、「(女性という)産む機械、装置の数は決まっている。あとは一人頭で(多くの子供を産むように)がんばってもらうしかない」と発言した。厚労相はその場で「機械と言ってごめんなさい」と謝罪し、「産む役目の人」と訂正した。
 柳沢氏は28日、記者団に「少子化問題はわかりにくいので、モノの生産に例えて機械などという表現を使った。適切でないと気づき、言い換えた。女性を蔑視(べっし)する考えは全くなかった」と釈明した。
 これに対し、民主党の鳩山幹事長は28日、都内で記者団に「女性に大変失礼な発言だ。女性に『がんばってもらうしかない』という発言も責任逃れで、厚労相として子供を産み育てやすい環境を作ってこなかったことが問題だ」と批判。社民党の福島党首は同日、党本部での会合で「最低の発言だ。このような閣僚がいる内閣は是認しがたい」と強調した。29日にも辞任を求める文書を厚労相側に提出するという。共産党も「絶対に許されない発言だ。厚労相としての資格に欠ける。辞任に値する」とのコメントを発表した。
 一方、自民党の中川幹事長は28日のフジテレビの番組で「発言を言い直している。釈明したと理解している」と述べた。ただ、公明党からは「穏当でない発言だ。気を付けてほしい。首相が注意すべきだ」との声も出た。(2007年1月29日 読売新聞)

「少子化問題はわかりにくいので、モノの生産に例えて機械という表現を使った」

これらが、言い訳の中でも最大の非現実的なポイントです。


指摘事項のひとつめとして、こんなこと、熟考した例えなんかではなくて、一生抜けられなくなっている、習い性のシステム思考法だか何かから出てきたものなのでしょうね(思考法には罪はない)。

「蔑視する考えは全くなかった」⇒たしかに意識した蔑視ではなく、すり込みの段階に起因してるんでしょうね。

ふたつめには、同じような無理のある比喩が言い訳としてどこで通じるでしょうか?


たとえば、いずれかの省庁の大臣が講演会を行うと、

  ・マネーロンダリングはわかりにくいので、お年玉に例えて説明
  ・温暖化問題はわかりにくいので、こたつに例えて説明
  ・原発問題はわかりにくいので、お仏壇のロウソクに例えて説明
  ・大陸弾道弾ミサイルの問題はわかりにくいので、ラジコン飛行機に例えて説明

ということを試みたのだ、そんな言い訳を駆使することはできるでしょうか??


電車でクリームパンを食べることを規範の低下の問題に例えて、だから基本法を変えるのだと語った伊吹文科相がいたことを思い出しましたけどね。


その後、「女性を傷つけた」と語ったそうですが、その言葉にすでにご本人の自覚がないままに見下す条件反射があることくらい、十分伝わっています。


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こんな柳沢氏に、大仕事が任される。


Mainichi-MSN 2009/1/29

 政府:「子どもと家族を応援する戦略会議」設置  (管理人注: 仮称とされていたもの
 塩崎恭久官房長官は29日午前の記者会見で、「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」(議長・塩崎恭久官房長官)を設置すると発表した。2月上旬に初会合を開き、(1)基本戦略(2)働き方の改革(3)地域・家族の再生(4)点検・評価--の4分科会で具体策を協議する。来年度の骨太方針に盛り込むため、6月に中間報告をまとめる。戦略会議には参院選に向け、政権の姿勢をアピールする狙いもある。
 戦略会議は2030年以降に若年人口が大幅に減少することを視野に置く。児童手当や育児休業給付の拡充など経済的支援が中心だった少子化対策の方向性を、「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)重視に転換し、少子化対策を再構築する方針だ。
 戦略会議設置は、安倍晋三首相が26日の施政方針演説で「本格的な戦略を打ち立てる」と表明した。政府には全閣僚で構成する「少子化社会対策会議」があり、その下部組織として「少子化社会対策推進会議」が設置されていたが、廃止する。【渡辺創】
 ◇会議のメンバー
 <閣僚>官房長官(議長)、総務相、厚生労働相、少子化担当相、財務相、経済産業相、経済財政担当相、文部科学相、国土交通相
 <有識者>吉川洋・東大大学院教授 (基本戦略分科会主査)、樋口美雄・慶応大教授 (働き方の改革分科会主査)、岩渕勝好・東北福祉大教授 (地域・家族の再生分科会主査)、佐藤博樹・東大教授 (点検・評価分科会主査)、池田守男・日本経団連少子化対策委員長古賀伸明・連合事務局長清原慶子・東京都三鷹市長
毎日新聞 2007年1月29日 12時05分


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このような事件があった以上、打開策に取り組んでも出生率は低下するだろうと想像されます。
ここまで言われ、さらに改めて生みたいと考え直す気分にはなりにくいでしょう。

それと、いささか感情的ではありますが、ワークライフバランスという、決してそれ自体邪悪な意図はなかった言葉に汚い手垢が付けられたことも不本意です。
「美しい」「再生」とともに「ワークライフバランス」とカギカッコ付で、原義とアベ語を分別しなくてはならない。

家族を再生する、とあるけれど、ここでは家族を働く者の回復の場として機能させ、働き手を「再生可能エネルギーとして最大効率で利用しよう」という復刻版高度経済成長モデルの家族像などはイメージしていないことを願います。

高度経済成長と異なるのは、女性も働くことが前提、なのだけど、育児のための時間の自由さを配慮するから子どもを生めと高圧的に指示されるいっぽうで、子どもを生むことを理由に女性は労働ダンピングをされる、そんな悪夢も喚起されます。

男性と女性の労働時間がともに適正化されることを目標におくことができるのでしょうか、塩崎&柳沢コンビ+1(伊吹)は。

家族の再生の試みはWEの実現とセットではないですよね?


2007/1/29 東京新聞社説 やはり導入は無理だ 自己管理労働
 一定の要件を満たす事務職(ホワイトカラー)に対して労働時間規制をはずす「自己管理型労働制」について、厚生労働省は法案要綱をまとめた。同制度は問題が多すぎる。導入は見送るべきだ。
 先週の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)労働条件分科会で、厚労省は日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)を「自己管理型労働制」と呼ぶことを示した。労働時間では成果を評価できない業務に従事していて、年収が相当高い人が対象-などの内容は変わっていない。
 なぜ名称を変えたのか。同制度導入には労働基準法の改正が必要だ。そこで「国民の理解をより深めるため」とする。“残業代ゼロ制度”の悪評を打ち消したい思いもある。
 だがこれまで「自律的労働時間制度」などと呼んでいただけに、出席委員からは「聞き慣れない言葉だ」「名称が何度も変わるのはつくっている担当役人も悩んでいるからだ」など厳しい声が相次いだ。
 厚労省が同制度導入に固執するのは、長時間労働の是正が喫緊の課題としているためだ。「三十代男性など働き方を抜本的に変える必要がある。しっかり働いてきっちり休む仕組みをつくる」。別の幹部は「働き方を労働時間管理から休日管理型に切り替えることが不可欠」と語る。
 働き過ぎの現状を変えることに異存はない。だがその方法は現実に立脚したものでなければならない。
 長時間労働の抑制には残業代の割増率を引き上げることが有効だ。現行は週四十時間超の労働時間について25%以上50%以下の範囲で割増賃金を支払わなければならないが、多くの企業は25%のままだ。
 厚労省はこれを残業が月四十五時間までは25%、45時間以上一定時間までは25%超、さらに一定時間以上の長時間残業にはもっと高い割増率とすることを考えている。これは評価できる。早急に実施すべきだ。
 問題は割増率引き上げを自己管理型労働制の導入とセットで考えていることだ。ここは割増率の引き上げを実現させるべきだ。自己管理型労働制は参院選後に再浮上するとの見方があるが、それは許されない。
 今回、同省が年収九百万円程度以上などの要件を掲げたことで問題は複雑になった。経営側は年収四百万円程度以上を想定している。その結果、労働側はなし崩し的に対象者が拡大すると反発を強めている。
 安倍晋三首相は同制度は「国民の理解が足りない」と語っている。与党も導入には慎重だ。この際、同制度の撤回を検討する必要がある。

油断ならない人をあえて置くのは、油断ならない法案を罪悪感なく扱わせるためか?という気にすらなります。

動向注視。


【TBしたいのですが動作不安定で遅れています・・・】


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