イベント 『じっくり語り語られてみよう』に参加し,作品について語っています.作品へのネガティブな表記・ネタばれを含む場合がありますが,イベントの趣旨に乗った上での記述とご理解ください.他の方の語り記事一覧 → 『No.23: 春香×さくら(丹下桜)『10th anniversary』



【語り視点の注文】
基本的には自由に語って頂いてOKですが、可能であれば
「エフェクトや 765comm@ndに極力頼らないこの作品、どこに魅力を感じましたか? 物足りないのはどこですか?」
「あなたの考える“この作品に登場する春香”のPってどんなヤツ?」
この2点が含まれていると嬉しいです。


↓↓↓以下語り↓↓↓


どこに魅力、と言われてもそりゃあ春香に決まってるんです。
エフェクトやコマンドに”頼らない”のは、そうした見た目の技巧が少なくても平気、ということでもあります。この動画の、春香の魅力はそういうところではありません。
それでは、この春香を主役に置いた動画がどのように彼女を映しているのか、それを見ていきたいと思います。


特徴のひとつは、自然さです。
ダンスの組み立てはとても素直。シンプルすぎて”うまく合わせてる”という感じさえさせないほどですが、もちろん簡単にできるものではありません。
選ばれているダンスのテンポについても、ほとんど(もしくはまったく)加減速をかけてはいないようです。スローの美しさや高速の気持ちよさはもちろんあるのですが、ここではそれは必要とされません。求められるのは、無理しない動きのキュートさ。
テンポが合うことで、動きはリズムを取れます。ここで選ばれているダンスは全体に縦ノリというか、膝や足でリズムを取るタイプの動きです。上半身の仕草で見せつつ、つねに下半身はリズムを取り続けている。
春香はひたすら、曲に合わせて、楽しそうに踊っている。その純粋な表現だけで、こんなにも見る側は幸せになれるのです。


そういう薄味の動画では、エフェクトも薄味、というわけでしょうか。でも薄いことは不味いことに直結しません。要所要所で用いられる演出は、逆に隠し味のようにこの動画のうまみを増しています。もちろん初っ端のエプロンへの変身などはいかにもキャッチーですが、そういうのを見せたいわけではないわけですし。
で、実際に使われている効果はと見ると、これもかなり素直なものです。ただ、ダンスが曲=音との同期を獲得していることを見越した上で、演出は歌詞の意味を重視している印象があります。
動きにしても、たとえば1:43、”EVERY”といえば指さし振りを合わせるといった調子で、さりげなく歌詞の意味をすくい取っています。それと同様に、演出のほうは動きでは取り切れない意味を描き出すために用いられます。
1:35あたりからの背景とか、3:07からの輝きなんかはステレートにそういう方向ですよね。2:18のオーバーレイなんかは、春香の内心を強調することであえて胸の内に隠したものの意味合いを強める感じで、実に心憎い。
そしてこの動画での代表的な演出、というべき春香の七変化。それによって私たちは春香の十年に思いを馳せるわけですが、おもに間奏部分に出てくるあたりも面白いというか、Pの確信を感じさせます。歌詞がないところを演出でごまかしたわけではなく、むしろ逆だと思うのです。歌詞がないからこそ画面を注視するし、そこを支えるのは目まぐるしい変化よりむしろ、春香自身のどんな服を着てもかわいらしいという造形です。それを信じてなければ、こうは造れないでしょう。
だからエフェクトが少ないからといって、物足りないとは思いません。Pが自信を持って送り出した春香の魅力は、ここに充分に詰まっています。


さて、もうひとつの質問がちょっと難しい……どんな奴なんでしょうね?
まあ素直でいい奴なのは間違いないでしょう。サプライズパーティを仕掛けられてきょとんとする顔は目に浮かぶようですし、この10年を春香といっしょに過ごしてきたんですから、悪い奴とは思えません。
あと、たぶん、Pも春香のことを好きで好きでたまらない。あの一瞬でああもたくさんの春香の姿を思い出せるんですから、どんだけよく見てるんだって話です。相思相愛、大変けっこうなことでありましょう。


そんな幸せのたっぷり詰まった動画ですので、ひねくれた私などは何度も見ると逆に胸焼けしそうな感がありますw
とはいえ、これは見返せば見返すほどいい動画であるのも事実です。細かな仕草にこめられた意味合いを見つけては、その丁寧な仕事に感心してしまうこと請け合い。冒頭22秒の完璧さなんかは、やっぱり繰り返し見たほうがよくわかると思いますし。
もちろん、春香を見ているだけで楽しい動画でもあります。うん、こういう動画については、あんまり長文とか気にせず、素直に見るのがいちばんかもしれませんね。
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