どうしても「破りたい」タイムがあった。
どうしても「知りたい」何かが心を突き動かす。
鈴鹿本コースで行われる
REVSPEED走行会で、それを同時に「手に入れたかった」。
人の「欲しい」という欲求に上は無い。
RushFactoryデモカー
筑波2000 ストリートクラスNA最速を誇る青86。
実はいなゆ!個人の車でもある。
RushFactory今村が ノウハウをつぎ込んで制作したHKS 2100CCエンジンキット。
ECUは細かいリタード域までRushFactoryのノウハウで書き込まれている。
しかし馬力は平凡かもしれない。
207PS
22Kgf.m
車重1210kg
ダンパーチューニングからLSD、ブレーキバランスセッティングはガレージT2いなゆ!が監修する。
ドライバーはもちろん
ARVOUのゆーさく氏。
鈴鹿は初走行となる。
しかし目標タイムは2分23秒台入り。
初だろうが気持ちは取る気で行く。
走行は3トライ1本20分。
2分30秒のコースと想定して1度ピットインするとアウトラップ含めて10分近く費やす。
無駄にピットインはできないからセットアップは最初から当てに行った。
それは。。。
筑波TC2000と全く同じSETである。
初のアウェイコース鈴鹿。
データがないから既存のデータで行ったんですね
いえ違います。。。
このセットで行こうと決める前に何度も目標となる動画のインカメを見ていました。
確信があったんです。
このままで行ける。。。と。
しかし本番タイヤは1SET。
しかも筑波でも一周でタイムが出なくなる。。。と言われるPOTENZA RE05D。
これは一発勝負でしかはけない。
練習タイヤはいなゆ!が年末から300周はした
2年前のPOTENZA RE71Rしかなかった(笑)。
気休めにウォーマーをかけてみたが0.1kg/paしかエア圧が上がらない。
タイヤは1ミクロンも食っていない状態でテストを開始。
「オーバーステアが止まらない。ロールが来てからオーバーになる」と、ゆーさくドライバーのコメント。
そりゃそーだよね、タイヤは既に死んでいる(笑)。
クリアを取れなかったがセクションごとのベストを足すとタラレバで1分26秒4付近となる。
タイヤが死んでいる割には相当頑張っている。
インカメ動画を見る。
(*.*;;ん
ダンパーは。。。。おかしいな
食わないタイヤを履いているのにバネレートが足りないのかこの動きは。。。
設定減衰発生領域とドライバーズコメントが合わない。
テストするにも
うーん、手持ちに硬いスプリングが無い。
そこに
スーパーオートバックス名古屋BAYの名チューナー加藤さんが
「ほぼ同じレートなんですが銘柄の違うスプリングを持っています。試しますか?」
と申し出てくれた。
実はRushFactoryではこの半年ほど
スプリングの
「反発性質の違いによる動きとフィーリングの違いをどうドライバーに還元していくか」
というテーマの実験をしていて
同じレートでもスプリングが伸びた時、ダンパーの減衰発生の違う速度域を使用する事が確認されていた。
ダンパーの動きをスプリングの性質に合わせれば、あるいはレート以上の反発力をトラクションに変えてくれる可能性がある。
実レートよりもスプリングの反発とダンパー作用の相性にかけた。
スプリングをお借りしダンパーの減衰発生位置をアジャスターで変更。
車高を下げた。
その状態でスプリングをなじませてから
ダメだしのため、もうひと声車高を下げてもらい、2トライ目に突入。
↓ セッティングとなると仁王立ちないなゆ!です(^0^;;;。。。
「こんどはむっちゃアンダーになった」
とゆーさくドライバーのコメント。
走行時間は14時。
ポカポカと暖かい鈴鹿ではほとんどの車両が朝のタイムを落としていた。
青86のタイムもクリアは相変わらず取れないものの1分27秒8。
目標タイムからどんどん遠ざかって行く。。。(^0^;;;
でも焦ってはいない。
さて。
同じレートで同じタイヤで
オーバーとアンダーという全く違う現象が出た。
つまりはセッティング次第で真逆の動きとなるわけだからバネレートは足りている。
そして
タイヤの発熱がきた。
タイヤが仕事をするセッティングならタイムにつながる。
むっちゃアンダーになった理由はリアのやりすぎた車高ダウンとスプリングの初期の動きの性質との相性から来ているはずだからこれはセッティングを合わせればいける。
おいらがそう意思を固めた時だった。
ゆーさくドライバーが口を開いた。
「俺はアンダーで待つよりオーバーをいなしてアクセルをあけた方がタイムを出せると思う。オーバーでも持ち出しセットに戻したい。今の状態はおそらく。。。」
彼はしっかりと現在起きている現象を把握しており
自分のドライビングスタイルも自分の使い方も知っていた。
やはりプロになる人は、こうしたセッティング能力も感覚も人一倍長けているのだ。
もう一度ロガーとインカメのゆーさくドライバーの運転を見る。
そしてもう一度、見る。
更にもう一度。。。。ここで、決意した。
「セット持ち出しに戻します。予定通りリア車高は〇mmダウンで。」
しかしひとつだけ持ち出しと変えた部分があった。
その場にいたみんなに
「ゆーさくさんには内緒ねっ」
とおいらはフロントのアジャスター位置を変更した。
そして。。。。
温めたらもたないんじゃないか
と言われていたRE05Dにあえてウォーマーをかけて温度管理をしていたのだが
「このエア圧で行こう」
と決めたエア圧をがっつり変更した。
ゆーさくドラ
「エアいくつにしたの」
いなゆ
「内緒(^0^)」
ゆーさくドラ
「。。。」
ゆーさくドラ
「えーとぉ。。。エアは。。。」
いなゆ
「。。。(^0^;;」
ゆーさくドラ
「まじかっ大丈夫か、それっ
」
アタック開始。
サーキット走行会とは言っても今回は普通の走行会にお邪魔している。
青86の走行班は2分6秒台のスープラが走るマンモスクラス。
車は速いが、クーリング走行も多いクラス。
遅い86はアクセルを緩めたらもうタイムが出ない。
そこで前の走行時間で集団が周回してくる間合いも測っていた。
最初の車両がスタートしてから2分経過後、コースイン。
3分かけて最終コーナーまでタイヤを温存しながら走り一発勝負でいく。
タイヤは一発勝負でしかタイムが出ない状態まで温度と内圧管理を追いこんでいた。
ゆーさくドライバーは3分かけて最終コーナーまで来るところを4分かけて現れた。
おそらくコースクリアになるように調整してペースを取ったのだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=nr_oULNRqpA&feature=youtu.be
2分23秒948
この一発アタックで鈴鹿最速タイム更新。
この車格のベストタイムは
2016年12月に出された
2分24秒2
であった。
あえて過去形で書こう。
役者が揃った時、力は力以上を発揮する。
タイムアタック。
この瞬間だけの煌めき。
車は車だけじゃ走らない。