レッドキング雑談 その4

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写真は巨匠たちのレッドキング。
上が成田亨、下が高山良策。
怪獣ファンならずとも、レッドキングを知っている人なら、ちょっと首をかしげて、あまり似てないじゃないかと思ってしまうでしょ(笑)。
当然、映像の中の縫いぐるみのレッドキングのイメージが強いからです。
デザインから造型されたものへ人が入って動き、編集され音楽や啼き声が入って、われわれは、驚愕したものでした。

成田さんの解説が載ったノーベル書房の「怪獣の描き方入門」(67年)は、当時で言えば、小学校の高学年以上が対象だったと思います。
小学校へ入ったばかりのぼくは絵だけ見て楽しんでいました。内容をちゃんと読めたのは、少し後になってからで、意味を理解したのは高校生の頃でした。
物持ちが悪く、当時と同じ物を集めたくなって、捜した時期があります。70年代後半は、まだその気になればマルサンの怪獣が売っていた頃でした。
レッドキングは、下から見上げた時に、頭が小さいので巨大感が出せる。その効果としてブロック模様を容れた。と言うような解説です。
対極に、頭を前方へ突き出して頭を大きく見せる事で迫力が出せたのがゴモラだとも。
成田さんのウルトラ怪獣の三原則も「怪獣の描き方入門」にありました。
この解説は、「宇宙船」の登場以降、何度も成田さんの記事で世に出ました。

デザイン画に近い絵が66年に現代芸術社が出した「怪獣カード」の中にあります(2冊出ている)。先週載せた、レッドキング執筆中の成田さんの写真は、このカードの絵だと思います。
成田さんのコンセプトだと上腕に力がみなぎっていて、下半身はむしろスマートです。
晩年の彫刻は、成田さんにしたら、66年当時とまったく同じコンセプトなんでしょう。つまり、これがレッドキングの本質です。

高山さんは、デザイン画に忠実につくります。ブロックの数も数えて再現しています。人が入ってしまうと、しかしせっかくの形もどんどん崩れてしまいます。
ぼくらがテレビで見たレッドキングは、芸術作品とは違って、そうやって映像のための道具としての形です。デザイン、造型、演技、演出、編集、効果、さらに、メディアの紹介、玩具、本、雑誌などなど。
トータルしたイメージの中で、映像の物を核に枝葉末節が束となって頭に焼き付いたのでした。
その上で、造型した人が15年経ってミニチュアを作ったのは面白い試みでした。

80年頃、安井尚志さんが高山さんにラゴンやセミ人間などのマスクを依頼します。
聖咲奇さんらと安井さんが渡米した際、ドンポストスタジオに見せる目的があって、坪型からスポンと、一発抜き出来る形状で、あの表現になっています(高山さんは前後分割です)。
当時、日本には小川ゴムというマスクメーカーがありました。やはりハリウッドとは比較出来ません。
60代の高山さんが作ったラゴンは、アメリカ人の目には温和しい表現に写ったかも知れません。
ぼくが30㎝の怪獣(グドンを作った)を持っていって、石膏をかけてもらった逸話は以前、書きました。
安井さんがポピーへ行く時、ぼくが作ったグドンかキングジョーを持っていって、リアルホビーの企画の1つの要素になっています。
グドンの後、高山さんは、ガラモンの人形を作りました。安井さんが1つ注文して、コレクターのSさんも1つ注文したと思います。
ある時、これから作って面白い人形をリストアップしてくれと、言われ、面白がって、いくつか挙げました。
でもゴジラは嫌がりました。東宝の教育映画に居た頃、組合との労働争議に巻き込まれて、高山さんは東宝を去っています。
体制が嫌いで、権威が嫌いです。
ただ、自分が作ったセミ人間を利用したバルタン星人ならやっても良いと言いました。
下書きでは、エレキングやゼットンもあったと思います。途中で亡くなりましたから未完の企画でした。

奥さんが、絵だけ描いていれば作品が残るのに、どうして今頃怪獣をやるのか?と聞くと、残るのは絵も怪獣も一緒だから、と答えましたが、その言葉の裏には、ぼくらが喜ぶからと言う気持ちもあったと思います。
1つ終わるとみんなで見に行きました。
高山さんのレッドキングは、スマートで、同じ成田さんのデザインで高山さんが作った「突撃!ヒューマン」のジャイロックに似ています。
淡いパール塗料で、最初のレッドキングも、こんな色だったそうです。
やっぱり脚が長いです。やさしい造型で、温かいです。
成田さんのレッドキングは厳しさや緊張感が伝わって来ます。彫刻だからでしょう。
高山さんのレッドキングは、作品と言うより、後世の子供たちへの贈り物のようです。
縫いぐるみは、どうしても日本人の体形が寸胴短足なので、デザインのスマートさが出せない欠点を逆手にとって、高山さんの造型は寸胴短足を活かした脚色がなされています。
その制約がなくなったのが人形です。
そりゃ芸術家ですからね、中に人間のシルエットなんか容れませんよ。
そこが模型と違う所です。

今となっては、素人に違和感がある方が面白いです。かといって、簡単に真似なんか出来ません。始祖たちの名人芸ですから。$ヤマダ・マサミのブログ
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