伊達直人

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今日のニュースで、全国の養護施設や市へ伊達直人や他を名乗る人の寄付が一日70件以上あったそうだ。今までで延べ100件を越える。
伊達直人の他は、肝っ玉かあさん、桃太郎、矢吹丈を名乗っているようだが、圧倒的に伊達直人(タイガーマスク)が多い。
これは40~50代の人がやったからだろう。
伊達直人は、孤児院の出身で、幼少時、強くなるために虎の穴という悪役レスラー養成所にスカウトされる。
アニメのエンディングを見ると、あきらかに戦争の傷跡を思わせる廃墟を孤児である直人少年が靴磨き姿で彷徨うから、戦災孤児だったのかもしれない。
漫画は68年、「ぼくらマガジン」で始まって、やがて「少年マガジン」へ移される。「ぼくらマガジン」は当時、「ハルク」「魔王ダンテ」「デスハンター」「仮面ライダー」などがあって、「タイガーマスク」は中でもよく表紙を飾っていた。生頼範義が描くタイガーマスクは、アートっぽくて少年誌の中でも異彩を放った。どぎつい内容の多い漫画本という印象だった。
「少年マガジン」の方では、すでに同じ原作者である梶原一騎の「巨人の星」と「あしたのジョー」があった。アニメとのメディアミックスという意味では「巨人の星」と「あしたのジョー」以上の展開を「タイガーマスク」見せている。
一番は、マスクの取れる中嶋製作所の人形だろう。悪役レスラーを揃えて、特製のプロレスリングで遊ばせる事が出来た。
それはでも「タイガーマスク」がもつ世界観の付随的な解釈であって、本質はもっと精神的なところに魅力がある。
おそらく今回、40~50代の人である最初に伊達直人を名乗った人物も、直人の崇高な気持ちを忘れなかったのだろう。
こんな時代だからこそ、子どもたちを大切に思う気持ちに、みなが感動した。

伊達直人は、原作の漫画版と、アニメ版と、2人居る。
原作は梶原一騎だが、アニメの方は自由に任されたらしく、途中から漫画連載のネタを越えてしまってオリジナルの話になる。こと、ラストの3本くらいは最終回へ向けての連作で、壮絶なラストへ、梶原自身も漫画より良いと絶賛したそうだ。
伊達直人は、崇高にして孤高。
タイガーマスクとして日本へ帰り、世話になった孤児院を訪問し、プレゼントや寄付をした。
ある時、立ち退き問題が起きて、虎の穴へ上納するファイトマネーをつぎ込んでしまう。その事から組織に終われるようなり、直人は虎の穴に逆らうように、全国の孤児院を回ってはプレゼントや寄付を繰り返した。
虎の穴はもはや威信を賭けて裏切り者を消しにかかる。
伊達直人そのものは、漫画とアニメとまったく同じ人物と言って良いが、大きな違いはラストにある。
漫画では、直人は三輪車を漕ぐ子どもに迫るトラックへ身を挺してかばってあっけなく死ぬ。子どもは助かり、虎の覆面を川へ捨てて、最後まで正体を明かさない。
アニメでは、虎の穴の幹部レスラーである実力者の3人、ブラックタイガー、ビッグタイガー、キングタイガーが刺客として送り込まれて、直人一人に任せるわけに行かないと、かつて虎の穴でコーチをしていた同僚の大門大吾と、後輩にあたる高岡拳太郎が戦いに加わる。
その戦いで大門は命を落とす。
拳太郎は当初、母を失ったのはタイガーマスクのせいだと虎の穴に教え込まれてタイガー抹殺を試みたが、直人に真実を知らされ、改心し、直人の後継者に見込まれるものの、重症を負う。
最後の刺客はボス自ら、虎の穴そのものと言えるタイガー・ザ・グレート。
その一騎打ちは凄絶だ。応援する子ども達のために反則を捨てたタイガーマスクを、グレートの反則技が圧倒する。
ありとあらゆる責めを受けて、ついに覆面が破かれ、捨てざるを得なくなった直人が素顔をさらす。
ちびっこハウスでこのテレビ中継を見ていた健太ら子ども達は、タイガーマスクの正体が伊達のキザ兄ちゃんだと知り、愕然とする。幼なじみのルリ子だけは知っていた、直人の命がけの今までの行動を。そして、子ども達は直人を応援する。
正体の暴かれた直人がとった行動は、それまで虎の穴に仕込まれた反則攻撃のすべてだった。
互角の勝負が、若さと信念に勝る直人の優勢に傾いて行く。それは常軌を逸した大反則だった。
馬場も猪木も止めに入るが意に介さない。直人の心は虚無になっていた。ただただ悲しかった。
幼かった自分を強く育てた虎の穴が崩れて行く。そうしてボスと虎の穴は滅びた。
我に返った直人は傷ついたマスクを拾うとリングから走り去る。
直人兄ちゃんは、いつ帰ってくるの?
健太がルリ子に問う。
直人は、夜間飛行の旅客機へ乗り込んだ。どこへ行くのか、ひと知れず。
遙か彼方の国へ去りゆく虎・・・。

最終回は71年の放映だから、ぼくは10歳だった。
ウチは中華屋だったので、少年誌が揃っていて、テレビも漫画も「タイガーマスク」は楽しみだった。やはり印象に強いのはアニメの最終回になる。
今回の善意の行動に、伊達直人を選んでくれた人はエライ。
タイガーマスク名義だったら分かり易いが、わざと避けたのだと思う。
タイガーマスクはたくさん居る。プロレスの佐山以下、4代目まで生まれたし、亜流もたくさん。現実のレスラーはとても俗っぽくて、汚れた感じがしてならない。
それに、プロレスラーが孤児へ慰問や寄付をしたという話はあまり聞かない。悪役として絶頂にあった上田馬之介がタイガー・ジェット・シンを連れてよく地方の養護施設を訪れたのは有名な話だが。
野球選手だと松井が足長おじさんをやっている。
お金持ちの人たちは今みたいな時代だからこそ、親のない子ども、貧しい子どもを大事に育てて欲しい。
伊達直人に感動して、この稿を書いた。

それにしても、ぼくらが子どもの頃のヒーローを産んだ会社や玩具メーカーがそういう善意をした話は、残念ながら、聞いた事がない。
なぜだ!ウルトラマンも仮面ライダーもゴジラも沈黙か。

タイガーマスク主題歌(テレビ)
http://www.youtube.com/watch?v=T4v7R2SaEX8&feature=related
タイガーマスク主題歌(ライブ)
http://www.youtube.com/watch?v=xf-4K4ZJAYk&feature=related
みなし児のバラード(テレビ)
http://www.youtube.com/watch?v=DiytzibwMjQ&feature=related
みなし児のバラード(ライブ)
http://www.youtube.com/watch?v=hvHm_cE1_XM&feature=related
さらば!タイガーマスク(スペイン語放送版)
http://www.youtube.com/watch?v=GWkHs42ckqQ&feature=related

伊達直人はいつも悲しかった。だけど涙を見せない。
弱くて純粋な、守るべき人たちが居たから。
$ヤマダ・マサミのブログ
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