賭博罪改正を願う弁護士津田岳宏のブログ

賭博罪、風営法、景品表示法、麻雀、ギャンブル、カジノの話 etc.


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「カジノ法案にひもづいて,法の下ではギャンブルではないパチンコパチスロが,ギャンブル依存のど真ん中で語られるのに対し,よくも悪くも語られない麻雀について,いろいろ思うところはあるし,麻雀業界の人々がどう思っているか気になるところではある。」

 

麻雀を新聞記事で取り上げることに貢献いただいている,日刊スポーツK松記者の755での呟きである。

 

麻雀と賭けは,現在においても切っても切り離せない関係だ。

つい先日も,福岡県飯塚市の市長と副市長が平日昼間に賭け麻雀をしたというニュースがあった。

発覚直後の会見で,市長は,「ストレス解消のため、ゲーム感覚でやった」「社会通念上許される範囲」「賭けなかったら麻雀をする人がどれだけいるのか」などとコメントした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161222-00010000-nishinp-soci

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2016/12/23/kiji/20161222s00042000328000c.html

 

 

麻雀の世間的イメージの悪さは「賭け麻雀」のイメージの悪さとイコールだ。

そんな麻雀を世間にアピールするには,2通りの方法がある。

 

まずは「麻雀」と「賭け麻雀」を切り離すアプローチ。麻雀は賭博とは関係のない知的ゲームだと主張する方法だ(アプローチ①)。

これは麻雀と賭博を切り離すべきという考えなので,パチンコが事実上公認されようがカジノ法案が可決されようが麻雀とは全く関係ない,という話になる。

①のみ主張していくべきだ,という人は,カジノ絡みの議論はスルーするだろう。

 

一方で「賭け麻雀」そのものを世間に認めさせようというアプローチ。ある程度の賭け麻雀は認められるべき大人の遊戯だと主張していく方法だ(アプローチ②)。

この主張をしたい人にとっては,パチンコやカジノの話は大きな関心事だ。

 

私は「賭けマージャンはいくらからつかまるのか」の刊行以来,一貫して②の主張をしてきた。

もっとも今の私は,小銭を賭けて束の間の手慰みにする賭け麻雀よりも,互いのプライドを賭けた記録が残る競技麻雀の方がよほど面白いと思っていて,そういうことを言ったり書いたりすることもままある。その点では①の主張もしているといえる。

 

①の主張と②の主張は,形式的に矛盾する。

なので私も,あんたは矛盾している,なんて突っ込まれたことも複数ある。これには正直,だよねwと思い悩んだこともあったが,今はそれでもいいと思っている。

 

結局、麻雀のメジャー化という到達点は同じである。

主張を2つ出してどちらか認められれば勝訴、というのは弁護士ならよくやることだ。

プロセスよりも結果,矛盾しないことよりも期待値を上げることの方が大切である。

 

そんな私としては当然,カジノ合法化は、麻雀メジャー化の議論に繋げるべきと考えている。先のブログで書いたとおり,賭博罪との関係でカジノ合法化の最大のポイントは、民営賭博が合法化されるという点だ。

なおこの点は,パチンコへの政府答弁も同じだ。

共通するのは,民営による賭博開張が認められる流れになっているということだ。この点で画期的なのである。

 

言うまでもなく,麻雀店も民営だ。

麻雀店での賭博が公認されない法体系上の根拠としては,今までは,麻雀店が公営ではない,という点が第一であった。

しかし,民営カジノが公認されたり,民営パチンコ店における三店方式が事実上公認されるというのであれば,その根拠は薄弱となる。

パチンコ店と麻雀店は,風営法上の規制がかけられている点で共通する。

だとすれば,麻雀業界は,風営法上の規制を遵守する民営麻雀店におけるある程度の賭け麻雀は公認ないし事実上公認していただきたい,と主張していくべきだ。

 

 

上記は私の考えであるが,このように考えている人は,麻雀業界にどれくれいいるだろう。

麻雀業界とひと口に言っても色々な人がいる。

 

ア 麻雀店経営者ないし従業員(麻雀店と密接な取引関係にある企業含む)

イ 麻雀プロ

ウ 麻雀と密接な関係にあるメディア関係者(漫画家,ライター,編集者等)

 

アに属する人は基本的に②を主張したい,と考えている。それは別に彼ら自身が賭け麻雀が好きだからではない。客の中に上記市長のような人がまだまだ多いからだ。

もっとも,アの人たちも,麻雀のイメージアップのために①のアプローチが非常に有意義だ,ということは深く認識している。

だから,アの人たちは,①も②も並行してやろう,という人が多い。つまり,私と同じだ。私はアの組合の特別顧問である。

 

ウに属する人も,基本的に②アプローチに関心が深いように思える。それはやはり麻雀ファンの中に上記市長のような人がまだ多いからであろう。現時点においては,創作するにあたっても,賭け麻雀の要素を完全に除外するのはなかなか困難なのかもしれない。

 

イに属する人は,伝統的な考え方では①のみで麻雀をアピールすべし,という考えになるであろう。

そもそも「麻雀プロ」「競技麻雀」の発足趣旨がそこにあるからだ。

競技麻雀プロが賭け麻雀を認めてくれなどといっては大きな矛盾になるというのは,よく分かる。

 

ただ現実の話をすれば,そもそも,アとイの所属は完全に別々になっているわけではない。

すなわち,イの多くは,アにも所属している。

現実には,アで収入を得ている人がイもやっているという例が一番多い。

イの上層部,いわゆる「トッププロ」と呼ばれる人たちも,アと全く無関係ではいられない。

麻雀店でのゲスト収入は,トッププロの重要な収入源である。

万が一,麻雀店が検挙されたときに当該ゲストごと検挙されたりなどしたら,そのゲストを看板にしている団体にとっては大ダメージである。

 

その意味で私は,イの人たち全員に,②アプローチを応援していただきたいと考えている。

麻雀ファンの多くは今でも賭け麻雀が好きで,そして,賭け麻雀の一般的イメージはすこぶる悪い。

これが現実だ。

夜明けは近いようにも思えるし,まだ遥か先のことのようにも思える。

少なくとも,ハードルは高い。

その中で現状を変えようというのであれば,矛盾しないことよりも,期待値を上げることを優先させるべきだ。

訴訟においては,ひとつの請求を通すために両立しえない複数の主張をしたとしても,矛盾しているとして排斥されることはない。それは,選択的主張などと呼ばれ,正当な戦略である。

麻雀業界は,挙国一致で「選択的主張」をしていくべきである。

 

 

 

 

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