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2009年11月23日(月) 08時58分40秒

【映画批評】『探偵物語』

テーマ:▼映画鑑賞録(邦画編)
1983年/日本/ヴィスタサイズ/カラー/111分
製作:角川春樹事務所

天動説。-探偵物語【スタッフ】
監督:根岸吉太郎
原作:赤川次郎
脚本:鎌田敏夫
撮影:仙元誠三
照明:渡辺三雄
編集:鈴木晄
音楽:加藤和彦

【キャスト】
薬師丸ひろ子
松田優作
秋川リサ 北詰友樹
坂上味和 中村晃子
藤田進  鹿内孝
荒井注  財津一郎
岸田今日子



 1週間後にアメリカに旅立つ女子大生・新井直美は
夜遊びに余念がない毎日。そんな時、彼女のボディー
ガードを依頼された探偵・辻山との出会いから、ある
殺人事件に巻き込まれることに。



 まず作品全体の構成、探偵・辻山が女子大生・直美の素行調査をす
る前半から、殺人事件をきっかけに直美が事件の真相を追っていく後
半部へと流れていく「逆転する作劇」の面白さに注目したいと思う。
 直美の不安定な状況に揺れる心情描写が、その前・後半をスムーズ
に繋げ、その一方で辻山の側から観た場合には、徹頭徹尾キッチリと
ハードボイルド・ドラマとなっているという重層的な構成。所謂アイ
ドル映画という形をとりつつも、一切の手抜きや迎合をせず、描くべ
きものをきっちりと描き出す姿勢は、極めて映画的で素晴らしい。

 映像的な部分としては、画面内をちょこちょこと動き回る小柄でキ
ュートな薬師丸ひろ子の魅力と、長身を持て余すようにゆったりと動
く松田優作の存在感、この対照的な二人のコントラストの面白さが際
立っていて、二人が同じ画面で寄りつ離れつする度に生み出されるユ
ーモラスなアクション、例えば、屋根伝い・窓越しに部屋に出入りし
鉄門をよじ登り、尾行し、肩に張り付いては盗聴し、走っては逃げ、
チークダンスを踊り、布団や換気扇に潜り込む。けっしてスマートと
はいえないジタバタとしたアクションを繰り広げる様が、そのまま映
画それ自体の躍動的な面白さに繋がっていく。

 そんな二人を、ロングショット効果的に織り込みながらワンシーン
ごとじっくりと構えたフレーミングのカメラが丁寧に撮っていく中で
そこから強く感じられるのは「息づかい」に似た、あるニュアンスで
ある。「息を凝らす」「息を飲む」「一息に」「息をつく」「息を抜
く」「息も止まるほど」…といった主人公たちの心情的=身体的リズ
ムと、それを描き出す各ショット自体の持つリズムがしっくりと同期
し、観ている側の呼吸のリズムにも心地よくマッチする。映画自体が
息づいているという印象。(もちろん編集のタイミングの良さがあれ
ばこそ、なのは言うまでもない)そのリズムの中から、活劇性やサス
ペンス性が立ち上がり、随所に散りばめられたユーモア(状況を超越
したような存在感の岸田今日子や、実に言いにくそうに「愛」を口に
する財津一郎のチャーミングさ)などが引き立ち、この作品ならでは
の「味わい」や「薫り」が生まれているのではないだろうか。

 ラスト、渡米するために1人空港に来た直美。いろいろな想いが胸
に去来する彼女の目に辻山の姿が映る。ただただ気持ちを確かめ合い
慈しみあう抱擁シーン。台詞の一切ない長いショットから溢れ出る濃
密な情感。離れ難くも意を決して歩き出す直美と、彼女を送り出しな
がらも、取り残されたような辻本。カメラはズームアウト→ロングシ
ョットとなり(この仕掛けにも驚かされる)、エンドロールが終わる
まで、去り行く直美と立ち尽くす辻本を捉え続ける。二人の表情は安
堵感に満ちた笑顔なのか、未練を残した寂しい顔なのかは定かではな
い。しかしこのシーンが物語の帰結であるなら、この物語を観た人そ
れぞれの中に生まれたシンパシー、それがその答えなのではないだろ
うか。「目には見えない」ものをも表現することができる「映画」の
素晴らしさがここにある。            (2009.11.22)
2009年11月23日(月) 02時29分36秒

物語の始まりにあるもの。

テーマ:■獅子座の映画エッセイ。
今日の獅子座 10位

★今日の運勢
集中力に欠ける日です。早合点しやすく、判断を誤る可能性があるため、重大な決断は避けたほうがよさそう。もし、今日中の決定を求められたら、周囲の意見を取り込んで無難な安全策を選ぶようにしてください。


 物語はその過程において、つねに何らかの決断を求めていて、それなしには物語は一歩も前には進みません。現実世界と違って「判断を誤った」決断もまた、ひとつの重要な選択肢と言えます。
 敵地に斬り込んでいく健さんから、戦いに身を投じていくサラ・コナーまで、洋の東西を問わずクライマックスへ向けての決断は、映画においても観どころのひとつです。誰が何をどう決断したかを振り返ってみると、映画の感想がひと味違ったものになるのではないか、と思います。

★今日のラッキーワード
アロマオイル

『ラベンダー』
原題:薫衣草,Lavender
2000年/香港/ヴィスタサイズ/カラー/107分

$天動説。-ラベンダー【スタッフ】
監督・脚本:イップ・カムハン
撮影:クァン・プンラン
編集:モーリス・リ
音楽:ロナルド・ン

【キャスト】
金城武
ケリー・チャン
イーソン・チャン
チェン・ペイペイ


 アロマショップを経営するアテナは、様々な気分
に合わせた香りで人々を癒すアロマセラピストだが、
自分自身は家と店の往復だけの味気ない毎日を送っ
ている。そんなある嵐の夜、背中の羽根が傷ついた
天使が空から落ちてきて…。


2009年11月22日(日) 12時00分14秒

ショットには意味がある。

テーマ:■獅子座の映画エッセイ。
今日の獅子座 7位

★今日の運勢
なんとなく気持ちが不安定になって、気分が落ち込んでしまいそう。繰り返し鏡を覗き込んで、笑顔の練習を心がけてみてください。髪型や化粧の乱れを直すだけでも、ポジティブな考えを促してくれます。


 鏡を見る、という行為には、「具体的」と「抽象的」の二つの意味があります。髪型や化粧の乱れを直すのは前者、気持ちを整えるために笑顔の練習をすろというのは後者。映画の場面において鏡を見るというのはほとんど後者なのではないかという気がします。
 映画のショットにはすべて意味があるものですが、鏡に映った「非実体」の自分をカメラがまた映す、という二重構造において、そこに何の意味も見い出せないとするならば、それは作り手・受け手双方にとって少々問題があると思います。
 映画のあるシーンで「鏡」が映ったら、ちょっと集中して観てみるのが良いかもしれません。



★今日のラッキーワード
目玉焼き

『天空の城ラピュタ』
1986年/日本/ヴィスタサイズ/カラー/124分
製作:スタジオジブリ
$天動説。-ラピュタ
【スタッフ】
監督・脚本:宮崎駿
作画監督:丹内司
原画頭:金田伊功
撮影:高橋宏固
美術:野崎俊郎
   山本二三
録音:斯波重治
編集:瀬山武司
音楽:久石譲

【キャスト】
田中真弓
横沢啓子
初井言栄
神山卓三
安原義人
亀山助清
寺田農

 目玉焼きの食べ方としてはかなり印象的。でもパズーがあの目玉焼きをどうやってカバンにしまっていたのか…は謎ですね。あれならハンバーガーにしても良かったのでは…という気もします。
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