その22「デゼニワールド」
Theme: 甦るパソコンゲームの栄光前回のリバーヒルソフトの時もそうですが、やはり生き馬の目を抜くとまでは言わないまでも、相当に生き残りは厳しいと思われるゲーム業界で、またひとつ、あるソフトメーカーが消滅するというニュースを聞きました。すなわち、蜂のマークでお馴染みのハドソンが、今では親会社となっていたコナミデジタルエンターテイメントに吸収されることとなり、来る3月1日をもって、この世からハドソンの名前が消滅することになりました。かつて、コンシューマー機PCエンジンを開発したことで知られ、また、ソフト面でも「桃太郎電鉄」、「ボンバーマン」を初めとする数多くのタイトルを世に送り出してきたメーカーですが、筆者にとっては、パソコンゲーム界の黎明期、特にアドベンチャーゲーム界で名を馳せた、古参のソフトメーカーという思いです。今回も、前振りが長くなってしまいそうですが、しばらくお付きあいください。
タイトルを見て分かる通り、パソコンゲーム考も22タイトル目を迎えましたが、その1で紹介したタイトルは何だったか覚えているでしょうか。そうです。「オホーツクに消ゆ」でした。発売当時、そのシナリオの完成の高さもあいまって、日本最高峰の評価を得ましたが、実は、それ以前に日本最高峰のアドベンチャーゲームと呼ばれたタイトルがすでに存在していました。それが、ハドソンが1984年に発売した「サラダの国のトマト姫」、通称「サラトマ」だったのでした。無論、筆者は知っていましたが、プレイしませんでした。というか、当時はアドベンチャーはおろか、パソコンゲーム自体、当時の友人宅で、友人所有のゲームを嗜む程度でした。そのような時にプレイしたタイトルだったのが、ボンドソフトの「タイムシークレット」、マイクロキャビンの「ミステリーハウス」、「ドリームランド」、そして、ハドソンの「デゼニランド」でした。
これらにT&Eの「スターアーサー伝説」3部作を加えて、今ではアドベンチャーの古典的名作といわれていますが、なぜか、その友人は「サラトマ」は所有していなかったので、結果、やらず仕舞になったのでした。なお、これらはもちろん、コマンド入力方式であり、言葉探しゲームの感があります。当時のアドベンチャーはストーリー云ねんより、どうやって目の前の難関を突破するかという、製作者側との知恵比べが主題だったように思います。今でも語り草というか、伝説とさえなっていますが、「デゼニランド」における「ATTACH CROSS」でつまずいたことは苦い思い出です。しかしながら、ゲーム自体は当時のアドベンチャーの水準を超えた出来となっており、アドベンチャーファンでは知らない者はいない人気作となっていました。そうなると、今も昔も人気作に期待するのは続編ということに変わりはないようです。その後発売の「サラトマ」の興奮冷めやらぬ中、大々的に発表されたのが、「デゼニランド」の続編、「デゼニワールド」でした。
「デゼニワールド」に触れる前に、今一度、「デゼニランド」と「サラトマ」のストーリーを振り返ってみることにします。千葉県に出来たディズニーランドに対抗すべく、埼玉県の悪徳知事がデゼニランドを作りました。しかも、千葉県の宝「三月磨臼」(ミツキマウス)を盗み出し、このデゼニランドに隠したというのです。プレイヤーは、この宝を取り返すべく、デゼニランドの5つのパビリオンに挑みます。次に「サラトマ」を紹介します。昔、昔、地球のはるか彼方の星のサラダ国では、色々な種類の野菜が平和に暮らしていましたが、パンプキン率いるカボチャ一族がクーデターを起こします。前国王の一人娘、トマト姫は反乱軍を結成し、対抗しますが、カボチャ一族に捕らわれてしまいます。そこでプレイヤーは、キュウリ戦士となって一人、トマト姫の救出に向かいます。登場人物が全て、野菜、果物というハイセンスであり、グラフィックもプロのイラストレータを採用した、まさに野心作だったのでした。
そして、問題の「デゼニワールド」です。まず触れておかないといけないのですが、以前の「ぎゅわんぶらぁ自己中心派」同様、この「デゼニワールド」も重大な失態を犯しています。すなわち、大々的に広告を打ったのは1984年ですが、実際に発売されたのはなぜか1986年を迎えてのことでした。「デゼニランド」からそれまでの間、筆者は「ウイングマン」、「オホーツクに消ゆ」、「道化師殺人事件」等々をプレイしており、アドベンチャーのレベルが上がっていったのを目の当たりにしていました。「デゼニワールド」は、明らかにまわりの環境についていっていませんでした。内容はというと、ライト・コメディー・アドベンチャーとでもいうのか、難易度というものはほぼ存在せず、ところどころでBGMとともに現れる有名人のパロディを楽しむという感じでした。その中に「サラトマ」のキュウリ戦士、パンプキン大王もいました。しかし、カタカナ表示のみのコマンド入力方式と、何のひねりもないグラフィックは、今までの期待を大きく裏切るものであり、エンディングシーンを見ても複雑な心境でした。
「デゼニワールド」のオープニング画面ですが、「マデリーン」のスクリーンショットの時同様、今は昔を感じます。ただ、画面が綺麗であることと、名作であるということは別の話です。
なお、余談ですが、「デゼニランド」の気分を手っ取り早く味わいたい方には、Windows上でプレイできるH・O SOFTの「デズゼニーランド」というフリーソフトが存在します。一度やってみるのも一興でしょう。それと、久し振りに「オホーツクに消ゆ」の名が出てきましたが、これを機に、次回は「オホーツクに消ゆ」のシナリオライターである堀井雄二氏が手がけた、堀井ミステリー3部作と呼ばれたうちの最終部を紹介したいと思います。当初、画面写真やパッケージの様子から舐めてかかっていましたが、ただものでないことを実感させられたのを覚えています。携帯電話アプリとして復刻されているので、その評判から最近プレイした読者もいるのではないでしょうか。ちなみに、第一部は「ポートピア連続殺人事件」ですね、ボス。
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