貸金業の自主規制基本規則 | 福岡市・大濠公園徒歩5分 絆を守る遺言屋かのう法務行政書士事務所

『貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則』


を眺めていたら面白い規定を見つけました。

社内規則の作成上、関連する規程はひとおおり読んでおいたほうが

いいかなと思って読み始めたら、すっかりハマってしまいました・・・。


同規則第45条(貸し付け条件等の表示)


テレビCMを放映する場合に、画面に表示させる方法につき、

守らなければならない事項として、


貸付利率・・・・32級以上の文字の大きさで2.8秒以上


遅延損害金(利率)・・・12級以上の文字の大きさで2.8秒以上


年齢制限・・・・遅延損害金と同じ


その他の事項・・・8級以上の文字の大きさで秒数の指定なし。



だそうです。

文字の大きさを「級」で言われてもピンときませんが、

数字が大きいほうが文字も大きいのでしょう。


「その他の事項」というのは、協会考査承認番号の表示や、

協会員であることを示す、会員番号の表示及び協会マークの表示

あたりが該当するようですが、秒数の指定がないということは、

表示しなくてもいいということなのかな・・・。



また同規則第46条には「啓発文言」として、

過剰借り入れへの注意を喚起することを目的として、

次に掲げる事項を『要素』とした文言を表示することとする。


(1) 契約内容の確認(文言の例:契約内容をご確認ください)


(2) 使いすぎ借りすぎへの注意喚起(文言例:収入と支出の

  バランスを大切に)


(3) 計画性のある借り入れ(文言例:無理のない返済計画を)



どの文言もCMではお馴染みですが、こういう決まりごとがあったんですね。


また、上記の(1)~(3)の表示を行う場合には、次に掲げる事項に

留意しなければならない・・・とあります。


(1) 貸付条件表示と別に単独で表示すること

(2) 啓発文言を『表示』する場合は、切り取り表示とし、

  露出秒数を15秒広告の場合は、1.5秒以上とし、

  30秒広告の場合は2.0秒以上とする。

(3) 啓発文言表示は、ゴシック体にて18級以上とし、

  社名表示はCI文字を使用せず15級以上とする。

  (以下略)



規程が細かいです。



ほかにも、15秒CMの2段積み放送は行わないこと・・・なんていうのもあるし、

青少年に対する配慮として放送時間帯にも規制があるし(第48条)、

ギャンブルを主体とした番組への提供はおこなわない(同条)、

放送量への規制(総量規制)も、時間帯ごとの総量規制も、

放送エリアの規制もあります(同条)。


あとはホームページの表示方法などにも厳しい制限がたっくさん

かかってきます。

たとえば返済シミュレーションを備えろだの、

電話番号やアドレスの脇には「申込先」ではなく「問合せ先」という

表現をしろ・・だの。



う~~ん、かなり厳しいんですね~~~

今夜からCMを見る目が変わりそうです・・・つか早く見てみたい!


貸金業者への規制は、CMやホームページだけではありません。

業務の運営に関しても厳しい規則があります。

それらをすべて把握し、ちゃんと自社のやり方で遵守してますという

マニュアルが「社内規則」です。

この社内規則をすべての貸金業者が作成し、提出しなければなりません。

細かい規制を網羅する社内規則ですから、当然ボリュームがあります。

ちょこちょこっと作れるものではありません。


作成にあたっては雛形が欲しいところですが、使えそうな雛形も

ありませんね。

ひとつふたつくらいネットに転がってても良さそうですが、

こればかりはその会社の実情に合わせて作るべきものなので、

当然、規則内容や表現方法は変わりますし、他社の規則を真似するような

安易な対応を許さないのかもしれません・・・。


私もいま貸金業の社内規則を作りこんでいますが、

正直大変です。

「これでちゃんと網羅しているだろうか・・・」

「この表現方法で誤解を生まないだろうか・・・」

「他の行政書士はどんな書き方をしてるんだろう・・・」


盛り込む量は膨大です。

作ろうと思えばその量は際限なく増やすことができます。

(逆に手を抜こうと思えばいくらでも抜けそうです)

そこをどのレベルで「切る」か・・・

すべての項目を同じレベルで切れるか・・・

悩みは尽きません。


ひとつ出来上がればあとはそれを依頼人ごとの事情でもって

アレンジしていけばいいと思うので、多少は楽になると思うのですが・・・。




貸金業の社内規則の作成には、関連する法令だけでも、

貸金業法、同法施行令、同法施行規則、監督指針、自主規制、出資法、利息制限法、

個人情報保護法、同法施行令、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン、

同ガイドラインの実務指針、犯罪収益移転防止法・・・

これだけ?

いやもっとあると思うけど・・・。


大手はともかく、中小の貸金業者はどの程度把握されているのでしょうか。

行政書士が貸金業者の社内規則作成をサポートし、これらの法令遵守を

トータルにコンサルティングする余地はかなりありますね。






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