ルサンチマン は英語でre-sentiment、すなわち感情が反復することである。たとえば、怒りをごまかす言葉がマインドセットされると、怒りはずっとつづく。それが集団内に浸透したなら、下手したら何世代、何十世代にもわたってつづくことさえある。下の図は、その構造を表している。

 

 

■傲慢について

ルサンチマンを説明する時、ニーチェの哲学をとりあげる人が多い。

 

ニーチェいわく、キリスト教とはユダヤ人のローマ人に対する怒りが道徳にすりかわったのが起源だそうだ。

 

このように精神的な勝利感で怒りをごまかす言葉(ごうまん)はルサンチマンになりやすい。

 

ちなみに傲慢という言葉は、「俺が上だ、お前は下だ」という心理を現している。

 

もちろん根っこに怒りがあるから、こんな気分になっている。

 

でも、ろこつに暴力を振るうわけにもいかないので、精神的な勝利感で怒りを静めようとする。これが傲慢の仕組みである。

 

傲慢は、日常的な正しさや権威を振りかざしているうちはまだマシだが、エスカレートすると、もっと根源的な正しさや権威を振りかざしたくなってくるらしい。

 

神、道徳、正しい歴史認識…。傲慢は集団的になると、次第に宗教っぽくなり世代を超えて根付いていく。

 

【傲慢】 「俺が上だ、お前は下だ」をはっきりさせたがる感情

 

■嫉妬とはどういう感情か?妬みと嫉みの違い
嫉妬の根っこにあるのも怒りである。

 

名誉、美貌、正しさ、は一種の所有物であると考えられるけど、マインドセット(信念)の偏っている人は、他者がそれを持っているだけで、自分の所有物が減った気分になるらしい。

 

でも、それはさすがに気分的なものだと分かっているので怒るわけにもいかず、嫉妬という心理表現(感情)をするようになる。

 

ちなみに嫉妬は妬みと嫉みに分けることができる。

 

妬みは、陰口や風評を使い、相手の所有を減らそうとする感情であり、嫉みは、周囲から同情を得ることで自分の所有を増やそうとする感情である。

 

【妬み】 羨ましい相手を低めようとする感情
【嫉み】 同情を得ることで自分を高めようとする感情
 

■ルサンチマンはいつか激怒・憎悪に変わる

ルサンチマンと言っても、怒りをごまかして傲慢や嫉妬でいるうちはまだマシである。

 

しかし、いつまでもごまかし続けることは難しい。

 

ルサンチマンが最終的に求めているものは憎悪によるはいじょ、激怒による破壊である。

 

ルサンチマンがグルグルと回り続けている限り、いつでもこれらにへんぼうする可能性がある。

 

ルサンチマン、すなわち言葉の反復は、排除や破壊が目的と言ってもよいかもしれない。

 

「正しさ」をひょうぼうしているはずの宗教が、とかく戦争の原因になるのも、宗教自体がルサンチマンだからだと思う。

 

【憎悪】排除したい理屈を作り上げる心理表現

【激怒】大声を出したい、暴力をふるいたい、破壊したい心理表現