【今日のワンポイント】

肺腺癌は、脳に転移する事が多く、その場合ガンマーナイフあるいはサイバーナイフ
という放射線治療装置で治療します。

いずれも、あらかじめCTとMRIで撮影した脳とその中の病変の映像を元に、
病巣部に集中的に照射をする定位放射線治療装置です。

様々な方向から、病変部を狙って放射線を照射し、病変部以外にはあまり
放射線が当たらないように、病変部にだけ集中して当たるようにします。

放射線は、ガンマーナイフではγ線、サイバーナイフではX線を用いますが、
治療効果に差はありません。

一番の違いは、ガンマナイフは、局所麻酔を行って、頭蓋骨にボルトを
ねじ込んで、金属フレームを固定した状態で、画像検査、治療計画、
ガンマナイフ治療の一連の過程を行います。
およそ半日の間身体的苦痛を伴います。
やった事は無いですが、聞いただけでも痛いです。

サイバーナイフの方は、メッシュ状プラスチックのマスクを顔の形にあわせて
作り、これを固定具として覆うだけです。
ロボット工学・画像認識技術の進歩を基に、高度な位置認識システムを
用いており、患者が少々動いても追尾していくため、これだけの固定で
済んでいます。

費用は健康保険適用前だと、ガンマーナイフが約50万円、サイバーナイフが
約64万円ですが、高額医療費制度を使えば、どちらも同じ値段になります。



【これまでの経緯(12)】

[2015年末~2016年始]

年末年始休暇の間、オプジーボをもっと強く医師に要求するかどうか、
考えていました。

確かに20%という奏効率は、あれだけ世の中で騒いでいる割には、低い。
それと、自己免疫疾患系の副作用が怖い。
オプジーボに賭けるよりも、タグリッソが承認されるのを待った方が得策か。
しかし待つとすると、早くて5月ごろ、それまで病状が持つだろうか。

どうもこのところ、咳やくしゃみをすると、痛いと言うほどではないが、
右胸に響くような感覚がある。

腫瘍マーカーのCEAも基準の5.0ng/mL以下ではあるが、

(8月)1.3→(9月)1.7→(10月)1.9→(12月)2.7

と、ジワジワ増えているのも気になる。

5月までは待てないのではないか。

考えた末、2ndラインは、医者が勧める通り、カルボプラチン+アリムタ+
アバスチンにして、その後カルボプラチンを途中でやめて、維持管理療法
へ移行する事に心を決めました。

3rdラインはタグリッソで。4thラインはオプジーボ。

そのようなストーリーで行こうと思いました。


[2016/01/19]

定期診察の日です。

M医師「胸部CTの方はそんなに変わりはありません。それより頭部MRIで、
転移らしき像が映っています」
私「えっ」

確かに白い楕円形の病変らしき像が映っています。
ついに遠隔転移を起こしてしまったか。これだと立派なステージIVになります。

M医師「紹介状を書くのでガンマーナイフを・・・」
私「すみません、ガンマーナイフではなくサイバーナイフでお願いします。」

M医師「サイバーナイフの方は値段が高いですよ。」
私「値段は、健康保険の制度により、関係ないのです。ボルトで頭蓋骨を固定
するなんて、まっぴらです。」

M医師「わかりました。ではSR脳神経外科宛に紹介状とMRI画像のCD-Rを用意
するので、待っていてください。」

少し待って、紹介状とデータをもらえたので、帰宅してからさっそく
SR脳神経外科へ予約の電話を入れました。


[2016/01/21]

バスとタクシーを乗り継いでSR脳神経外科へ到着。

30分ほど待たされて、初診です。

医師「左後頭部に約9mmの腫瘍がありますね。これ1個だけのようですから、
1回の照射で治療は終わります。
腫瘍の部位からして、右目の視野が欠けるかもしれません。
この後MRIを撮って、今後のスケジュールを決めて、本日はお帰りください。」

そして待つほどの事は無く、MRI検査。造影剤を注射して行なう。

その後事務の方と、今後の予約調整。CTを撮るのに1日、治療に1日
合計2日間予約が必要であるが、果たして1月中に全部終えることができるか。

実は、1月末日に退職する事になっていて、健康保険組合は、そのまま任意継続
にするのだけれど、保険証の番号は変わるので、一旦返却しなければなりません。
新しい保険証ができるまで、2月上旬に10日間程度、健康保険証の無い期間が
発生してしまいます。
治療が2月に掛るとやっかいで、一旦10割負担で払って、後で返還の手続きを
しなければならなくなります。

しかしそれは杞憂に終わり、1月25日にCT、1月28日夕方に治療と決まりました。

家に帰ってから、電話でYC病院の呼吸器の看護師さんに、治療のスケジュール
についてお伝えし、またMS病院の緩和ケア病棟の看護師さんに、これまでの
顛末を説明しました。


[2016/01/25]

またバスとタクシーを乗り継いでSR脳神経外科へ。
造影CTは、YC病院でいつもやっているのと同じです。

なぜMRIとCTの両方を撮るのでしょうか。
片方だけで十分な気がしますが。聞いてみました。

医師「MRIとCTでそれぞれ映る対象に、得手不得手があるんですね。
だから両方撮って、画像を重ねて、治療計画を立てます。」

CT撮影前に、マスクの作成があります。
温めてフニャフニャになったメッシュ状のプラスチックを顔にぴったり当て、
冷たいタオルで押すと、プラスチックが固まって、型になります。

これを付けたままCTの撮影です。


[2016/01/28(木)]

サイバーナイフ治療の日。

午前中は会社に出社して、退職の挨拶をしました。29日(金)も出社するのだけれど。

午後からSR脳神経外科へ。

9mmの腫瘍を狙って、12分間の照射だそうです。

照射中は目を閉じていたので、機械がどんな風に動いているかはわかりません
でした。ウィーンというような音や、レールの上を走るような音がしました。

無事治療は終了したのでしょうか?

約1か月後、またMRIを撮って、うまくいったかどうか確認するとの事です。

3日間のお会計を合算して支払い。高額医療制度を使用して、57,600円也。



つづく