第22章~初活動


俺が寝てる間に今日1日の授業がすべて終わった。ある意味それはそれでもったいない気もするが、まぁたまにはこんな日があっても良いだろうと思った矢先、唯が耳をひっぱってきた。

唯『まったくあんたは~。一体何時間寝れば気が済むのよ。今日学校に何しに来たの?』

そう言うと唯は俺の顔を冷ややかに見下していた。昨日とのキャラのギャップに俺は笑いそうになる。

唯『何笑ってんのよ。キモイぞ。それより、今日部室いく?』

俺は軽くキモイという言葉に凹みつつ、部室に行く事を唯に伝えた。

唯『おっけー♪私今日掃除当番だから雄太と先に行ってて。』

そうだ。俺は大事な事をすっかり忘れていた。俺が昨日唯んちに行ったのは看病するためじゃなくて、その事を言うつもりだったんだ。俺は唯の顔色を伺いながら、

健三『つか、お前雄太の事どう思ってるの?』

唯は一瞬動きが止まり、すぐに笑顔になった。

唯『ん~。どうって言われても。その調子だと雄太から聞いたのかな?別に雄太の事は嫌いじゃないんだけど、そこまで雄太の事知ってるわけじゃないし、今は付き合うって感じでもないし~ってね。』

健三『なんだ。意外に普通なんだな。俺はてっきり落ち込んでると思ってたよ。』

唯は笑いながら、

唯『何処の世界に告白されて落ち込む人がいるのよ。少なからず告白されたら嬉しいものよ♪』

ああ、俺はこの会話をテープレコーダーにして雄太に聞かせてやりたいと切に思った。

HRが終わり部活がある生徒は部室に行き、入ってないものは家に帰っていく。俺は今まで後者だったんだなぁと今更シミジミおもった。

そんな俺に雄太は朝のテンションで俺にタックルしてきた。

雄太『おいーーす!んじゃ部室いって一暴れしにいこうぜ!!』

コイツは音楽室の機材をぶっ壊すつもりだろうか。そして昨日までローテンションとは到底思えないこのハイテンションぶり。なんかむかつくからさっきの話は別にいわなくていいや。

雄太『そんなふてった顔すんなって♪なんたって今日は3人揃っての初部活だぜ。テンションあがらないほうが嘘だってばよ!』

語尾の言葉使いで俺は今コイツがはまってる漫画が分かってしまった。単純な奴。

健三『つうか、お前ベース無いのにどうやって弾くんだよ。』

雄太は首をかしげながら、ぱっと表情があかるくなり、

雄太『っま、なんとかなるべ♪』

こいつの楽天主義はもう特技だな。たまにこいつがうらやましくなる時がある。

俺は二人で音楽室に向かった。

俺は向かいながら雄太に聞いてみる。この手の話は雄太が一番詳しい。

健三『なぁ、柊未来ってしってるか?』

雄太の目が光に満ち溢れた。そうすると胸ポケットからいつも常備しているという通称【雄太辞典】をめくる。まぁ見た目は普通の生徒手帳だが、コイツは昔から生徒手帳にあらゆる情報を書き込んでいた。この情報収集能力は俺も一目おいている。

勢い良くページをめくっていき、途中でめくるのをストップさせた。

雄太『柊未来。3月12日生まれ。A型。得意科目数学、苦手科目体育。うちのクラスの保健委員。具合が悪い人を見るとついついおせっかいを焼いて逆に悪化させる事もあるらしいぞ。うちのクラスの女子メンバー内では5段階評価の4にはいるな。』

もはやここまで来ると脱帽である。

健三『お前は好きな女の子がいるのに他の女の子まで調べてるのか。』

雄太は真面目な顔になり、

雄太『なんつうか、昔からこんなことばっかやってたからついついな。まぁ趣味みたいなもんだ♪』

こいつに言わせればストーキング行為も趣味の一部に入るんじゃないのかと言おうとしたが、洒落になってないのでやめておいた。

そんなこんなで音楽室に着き、扉を開けたその先にミッキーが仁王立ちしていた。

美樹『うし!!後は安達さんだけだね♪じゃあ先に渡すもん渡しとくね。』

そういうと、またギターケースを持ってきていた。中に入っていたのはベースである。

美樹『それ借り物だから丁寧に使ってね♪やっぱ無いとイメージわかないだろうしね。これからビシビシ鍛えていくわよー。とりあえず目標は文化祭!!頑張ろうね♪』

もはや、こっちの意見は聞こうとしてない。今更何言っても無駄だと改めて確信した。



第23章~楽曲


そんな話をしてる最中に唯が掃除から戻ってきた。

唯『ふー!お待たせ~♪掃除当番も楽じゃないわね~。こんなか弱い女の子に掃除させるなんてまったく男子はなにしてんだか。』

唯は俺と雄太の方をちらちら見ている。俺はニヤニヤしながら、

健三『か弱い。ねぇ~。』

唯はさらにニヤニヤを倍に返してきて

唯『じゃあ美人もつけとくわね♪』

こいつはいくつになってもかわんねぇなぁ・・・。

健三『しっかし、まぁ恥ずかしがらずに良くいえるよ。ある意味才能だな。まったく。』

唯『それほどでも~♪』

健三『褒めてねーって。』

すかさず出したカウンターパンチを華麗にスルーして、唯は満足した様子で先生のところに言ってしまった。俺、有効打1POINT。

そんな唯を見て一人だけ遠い目をしてる男を発見。

雄太『いつも気がついたら唯のペースに巻き込まれちゃってるんだよな。そこが唯の魅力の一つだぜ。』

健三『そんなもんか?てかお前唯の事過大評価しすぎだって。しかし恋は人を盲目にさせるとはよく言ったもんだな。』

雄太『とりあえず俺がまだ狙ってる事唯には内緒にしてくれよ?今度は自分でタイミング図っていくからさ!』

健三『ハイハイ。』

なにはともあれ、ひとまずこうして初期メンバー3人が集まった。しかし俺らは音楽を演奏するのに至ってはまるで素人、っていうか、どがつくほどの初心者。こんな俺たちをミッキーはどんな風に教えんだろ。

美樹『そうね。みんなも集まったことだし練習始めようか!』

健三&唯&雄太『え?』

俺達は先生の突拍子もない発言におどろきを隠せなかった。

健三『練習ってなんの練習ですか。』

美樹『もちろん演奏の練習に決まってるでしょ♪最初だからまず簡単なものから。それに習うよりまず慣れろって言うでしょ。まずこの中のスコアから弾いてみたいの三人で探してみて。』

そういうとカバンの中からドサッとスコアを机の上に置いた。

雄太『うわぁ。少なく見積もっても30はあるなこれ。』

健三『先生こんなのもって学校来たんですか?まじすげぇ。』

美樹『せっかくなら色んな選択肢がないと駄目でしょ?』

唯『わー♪すごいすごい♪先生運び屋みたい!』

運び屋ってお前・・・。それ全然褒めてないって・・・。

俺は心の中で突っ込みを入れつつ、色々スコアの中をめくっていった。色んな数字やら英語やらがかなり沢山書き込まれている。

健三『この3とか5とか書いてるのなんですか?』

美樹『それはtab譜っていって、それを見ながら演奏をするの。他にもパワーコードで弾いたりアルペジオで弾いたりする演奏法があるけど、今はただ音を鳴らす練習でいいわよ♪』

健三『やべぇ。今先生の言ってることが全然理解できなかった。まずアルペジオってなんだよ。雄太分かった?』

雄太『新しい星座か何かじゃね。』

それだけはぜってーちがう。

そんな感じで先生が説明しながら俺たちは練習課題曲を探していった。

健三『なかなかピンと来るのがねぇなぁ。あ!そうだ!』

俺は手に持っていたスコアを置いて先生にこう言った。


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