第20章~再熱


今日もいい天気。絶好の登校日和である。なのに俺は頭がボーっとする。しかし、俺は母親に昨日のことをグチグチいわれたくがないために、いつもより30分前に家を出た。俺の作戦勝ち。

俺はギターケースと空のカバンをもって学校に向かった。朝から教科書を持って学校に行く奴の気が知れない。

俺は教室に入りロッカーの上にアコースティックギターを置いて、まだ誰もいない教室の中でMDを聞きながら机をつっぷして寝ていた。この時間が最近の俺の唯一の憩いの時間となっている。

俺が音楽を聞きながら気持ちよく寝そうになっている時にイヤホンが耳からとれた。俺は上を向くと唯が立っていた。

唯『おーはよ♪今日やけに早いね。こんな早く来て寝てるなら家で寝てたほうがよかったんじゃない?』

そう笑いながら俺を見ていた。昨日まであんな寝込んでた奴とは思えないぐらい元気になってやがる。

健三『風邪はもういいのか?』

唯は元気たっぷりな表情で

唯『すっかり治った♪しかし私が熱出すなんて不覚だわ~。でも何で私が風邪で寝込んでるって知ってるの?』

俺は笑いながら、

健三『昨日俺がお前んちまで行ってお粥つくってやったんだぞ。まぁ治ったのはお粥のおかげだな。覚えてないのかよ。』

唯は不思議そうな顔をして

唯『あれけんちゃんが作ったお粥だったの?舞が作ったのだとおもってた。』

あれ?じゃあこいつ俺が昨日家にいったこと覚えてないのか?

健三『俺、昨日お前んちでお粥作って部屋まで持っていったんだぞ?俺と会ったの覚えてないの?俺と普通に会話してたぞ?』

唯は、え~!と言いながら不思議がっていた。そうすると、あっ。っと漏らす。

唯『夢でけんちゃんがうちに来て看病してくれている様な夢みたんだけど、夢じゃなかったんだ。』

こいつ。あんだけ一人にしないでとかスーパーマンだ、とか甘えた事言っといて覚えてないとか・・・。ある意味リアル病んデレだな。

唯『なんか私変なこといってた?』

俺はにやつきながら、

健三『なーんも。』

唯『あー!その顔はけんちゃんが嘘ついてる時の顔だ!もーーー!何言ったか言いなさいよ!!』

唯はほっぺを膨らませながら叩いてくる。そんな事をしていると他のクラスメイトが入ってくる。唯は女の子の名前を呼びながら走っていった。1日会ってないだけなのに感動の再開を演じている。女は女優だ。

あと、女のあの甲高い声は未だになれない。むしろ一生なれないだろう。俺はやはり女は侮れないと思った。

雄太『朝から女の甲高い声聞くとか頭いたくなるわ。な。マエケン。』

雄太も失恋からすっかり気を取り直している様子だった。

健三『その甲高い声の発信者はお前の初恋相手だぞ。』

雄太は動きをピクっと止めた。

雄太『あ?あああwwwwそそそそうなんだwww別に全然気にしてねーよwwww』

あからさまな動揺が確認できた。お前はほんと分かりやすいな。

そんな時、唯がこっちに気づいて手を振っている。雄太はそれを自分だと思っていた。まぁ後ろの女子に手を振っていたことだったことは俺はそっと胸にしまっておいた。だが、雄太は何を勘違いしたのか、

雄太『やっぱ俺諦められねぇ。』

数秒の沈黙が俺と雄太の周りを支配する。

雄太『今度はマジで頑張るわ。マエケン、これからもよろしく頼むわ♪』

こいつのポジティブを少しは分けてもらいたい。



第21章~保健室


いつの間にか授業も半分終わって、気づいたら昼休みになっていた。午前の授業は1日中寝ていたのだろう。しかしいくら今日はいつもより早起きしたといえ、ここまで体が睡眠を欲しているのは珍しい。それほど疲れがたまってたのだろうか。

前の席の女の子が俺に声かける。

『前田君大丈夫?顔色すごい悪いけど。保健室行く?』

彼女は保健委員だったのであまりに具合悪そうな俺を気遣ってくれた。俺は午後の授業がサボれると思い、保健室に行く事にした。

『私も付いて行くよ。じゃあ一緒にいこ。歩ける?』

そんな歩けるかどうかまで聞いてくるとか、どんだけ俺の顔は死んでるのだろうか。とりあえずさっきから頭もボーっとしてるし、体もだるいしさっさと保健室で寝てよう。2人で教室を出て保健室に向かった。

健三『ああ。ありがとう。ええっと・・・柊さん・・・だったよね?』

恥ずかしい話だが未だにこの高校に入って、唯以外の女の子と話した事がなかった。まぁ名前も覚えるきもなかったし。

彼女は呆れながら笑いつつ、

未来『前田君・・・ちゃんと覚えといてよ~。柊未来だよ。ちゃんと覚えた?』

俺も苦笑いをしつつ、謝っておいた。そんな遅れた自己紹介をしていたら保健室についた。柊が保健室の扉をあける。

ガラガラガラ・・・

柊『あれ?先生いないみたい。まぁとりあえず体温計で熱計ってみよっか。』

そういうと体温計を俺に渡してくれた。俺は脇に体温計を指ししばらく待った。

ぴぴぴ・・・ぴぴぴ・・・

37,9度だった。まぁ俺の平熱は36.7度ぐらいで結構高い方だったからあまり驚きはしなかったが、柊が慌てて、

柊『やっぱり熱あるじゃん!もう寝てな?私から先生に連絡しとくから。』

そういうと俺をベッドに誘導して寝かせた。柊は手際よく氷枕を準備して俺の頭の下に入れてくれた。

柊『あとはゆっくり寝てなね♪体調が戻ったら教室もどってきなね。それじゃ私授業いってくるから~』

そういうと柊は居なくなった。まぁめんどくさい授業を公欠できた事だけでも良しとするか。

保健室のベッドは独特な保健室の匂いがいっぱい染み付いていて、シーツも冷たくてとても気持ちがよかった。俺が寝るのにさほど時間は要らなかった。

俺が気持ち良く寝ていたら頬を突いて来る奴がいる。俺は目を開けるのもめんどくさかったので、払いのける。払いのけた感触で女だという事は分かった。てことはあながち、唯が冷やかしにきたんだろうな。

しかし、しつこく突いてくる。俺は突いてくる手首をもって

健三『唯いい加減にし・・・・・・え?』

そこに立っていたのは30代前半ぐらいに見える白衣を着た女の先生だった。

白衣の先生『彼女じゃなくてごめんなさいね笑 でも授業サボって寝てたら彼女に怒られちゃうぞ♪』

そういいながらニヤニヤしていた。一生の不覚。

健三『彼女なんかじゃないっす。それと、熱っぽくて保健委員につられて寝てました。』

白衣の先生はふーん。と言いつつ、手のひらを額に当ててきた。その手が程よく冷たくて心地よかった。

白衣の先生『ん~。少し熱があるかもね。バファリン飲んで横になってる?まぁ今もう5限が始まる時間だから先に帰っても良いけど。』

放課後はミッキーに色々聞きたいことがあったので俺は寝る選択をした。

白衣の先生『じゃあ私仕事してるからなんかあったら呼んでね。』

そういうとカーテンを閉めて向こうに行った。

しかし、今日はいくら寝ても体力が回復しない日だな。ほんとに風邪引いたのかな。そう思いながら横になった。

チャイムの音で目が覚めた。5限が終わったのを告げるチャイムだろう。

俺はカーテンを開け白衣の先生にお礼を言い保健室を後にした。

教室に戻ったときにはちょうど6限の授業が始まってる時だった。

俺が扉を開けると一斉にクラスの顔がこっちを向いた。この瞬間俺はたまらなく嫌である。

社会科の先生が大丈夫か?という問いに俺はハイと答えて自分の席に着いた。

前の席の柊が気を使って教科書のページを教えてくれる。

俺はその柊に礼を言って教科書のページを開く。

まぁ俺にとっちゃ保健室にいたとしても教室にいても寝てるだけなのだ。俺は教科書を開いたまま就寝した。




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