福岡の資産税専門税理士のブログ

山本扶美子税理士・行政書士事務所


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今回は、前もって相続税の試算をしていれば、財産を手放さなくて済んだのに・・・
という方のお話です。

亡くなられたお父様の財産は、
・8割が不動産
 で、あとの
・2割が預貯金
という方でした。

相続人は、ご長男とその妹さんの2人で、生前、お父様とご長男は同居されていたそうです。

そこで、お父様は、
・不動産を長男
・預貯金をその妹
に相続させるという、自筆証書遺言を遺していました。

ですので、遺言のとおりに相続すると、妹さんは遺留分に満たない事になってしまいます。(妹さんの遺留分は1/4)

相続財産のうち、不動産は、同居していたご自宅とアパートが2棟。

で、このアパートが問題なのですが、2棟とも築40年クラスの木造です。
当然、空室も多く、相続の時点で6割が入居者がいない状態でした。

この様な状況は、長く続いていたのでしょう。
もう、不動産会社へ入居者募集の依頼もしていませんでした。

相続に当って、

 自筆証書遺言 +  遺留分侵害

というのは、揉める確率が高いので、てっきりそういったお話しかと思っていたところ、
幸い、妹さんは2割の預貯金で納得してくれたそうです。

そこで、遺言に基づき、相続登記もすぐに済ませたとの事でした。

ところが、大変な事になったのはご長男の方です


家賃収入なんてわずかですし、あちこちの修繕費がかさむので、お父様の所得税の確定申告は、ご自分でされていたそうで、税理士からアドバイスを受ける機会も無かったのでしょう。

ですから、全然気が付いていなかったんです。

相続税が2千万円もかかって来るなんて・・・

2千万円のうち
・ご長男が1,600万円
・妹さんが400万円
それぞれ、納税しなければなりません。

妹さんは、相続した預貯金から支払う事が出来ますが、ご長男が相続したのは不動産だけです。
納税資金は自分で工面しないといけません。

手元にそれだけの現金を用意できなかったご長男は、結局アパートを1棟取り壊してからその敷地を売却して相続税を納税する事にしました。

そうすると、別途、譲渡所得税もかかってきます。
また、アパートの取壊し費用や入居者へ敷金の返還や立退き料なども必要になってきます。

譲渡所得税については、「相続財産を譲渡した場合の取得費加算」という特例があるので、相続税のうち一定額を経費化できましたが、それでも、先祖代々の土地でしたから、譲渡所得税だけでも約600万円かかって来る事になりました。

お父様としては、同居して老後の面倒を看てくれたご長男に、多くの財産を遺してあげたかったのでしょうが、相続税の試算をしてその対策を立てていなかったために、結局、土地を一部、手放さなければならなくなってしまったのです。

このケースでは、アパートの入居募集も行っていなかったため、空室部分については、土地・建物の評価減が受けられなかった事も、大きく影響しています。

立地は良かったので、さすがに、アパートの建て替えの話も出ていたそうですから、それを相続前にしていたら、相続税はゼロで済んでいたでしょう。

せめて、相続登記前であれば、遺言ではなく、遺産分割協議をすることによって、土地を手放さないで済むような分割案も検討出来たのですが・・・残念です。

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山本扶美子税理士・行政書士事務所 公式HP
『相続・不動産コンサルサポート福岡』     

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