「金と拘束と命」 | 福盛貴弘の脳炎日記

福盛貴弘の脳炎日記

日常生活で起きたことを素朴に書き記しています。
まずは、予告編2編をご覧ください。

入院中、意識が混濁している間は個室であった。
私の知らぬところでそうなっていた。

暴れる、掻きやぶるので、ベッドに拘束されていた。
手はミトンで拘束されていた。



ミトン

※ミトン 蒸し暑いし、痒いし。



意識の混濁が収まった時、自身が個室にいることを認識する。
よく分かってはいなかったが。

私の知らぬところで、部屋を移動したらしい。高い個室からやや高い個室へ。
不思議なことに、これは理解していた。夢の中の記憶があったので。

ベッドに拘束されていると、毎日、天井を眺めている生活となる。
そんな中、夢の中で、天井の形状が変わっていることに気づいた。

その頃は、私は何かの機関に捕らわれの身になっていた。
だから、「なぜ動かしたんだ」と叫んでいた。

意識混濁中、少しは現実とつながっていたんだろう。
本人が制御できないだけのことで。

夢かうつつか。
この時期は、まさにうつつを抜かしていた状態だったのかもしれない。

個室で拘束。まあ、しんどい。
でも、親がそれだけの金を肩代わりし、払ってくれた。

だから、今がある。個室で1か月以上過ごしたから、高かった。
でも、金で命が買えることもあるものだから、仕方ない。

生き返ると、「うわっ、めっちゃ高いやん」と思ってしまう。
これはこれで健常の感覚なんだと思っている。







ブログネタ:ぼったくられたことある? 参加中

そういう点では、今回の入院ではぼったくられたとは思っていない。
あの料金なら、もっときれいな部屋を用意しとけよとは思ったが。

ぼったくられた経験は、今から20数年前まで戻る。
今は亡きある男と飲みに行った時のこと。

若気の至りで、勢いでミナミのおなべバーに入る。
決して、を食いに行ったわけではない。

おなべと楽しく飲んでいた。とにかく飲んでいた。
それはそれで楽しかった。

ただ、その頃は若くて何も知らなかった。
支払いの時、高すぎるなあと思いながら、支払いをしようとする。

やられた! 財布から金が抜かれていた。
上着に財布を入れたまま預けてはいけないという基本を知らなかった。

相方は、カードまで抜かれていた。
これはまじでやばいぞ。

向こうは、男が出てきてすごみ始める。
当時、携帯を持っていない。今も持ってないけど。

とっさに連絡できる先が思いつかない。
こっちは謝っていた。理不尽だが。

相方は酔っぱらってキレそうになっている。
そんな中、相方が紙袋に手を入れる。

底の方にカードが1枚残っていた。首の皮1枚つながった。
何とかそれで払って、店を出た。ご丁寧な見送りで。





死んだ祖父に「飲むんやったら、分相応な飲み方をしろ」と言われていた。
最も実感したのは、この時だった。

ちなみに額は8万ぐらい。
だから、めちゃくちゃ高いわけではない。

ただ、私は現金、相方はカード類をぬかれている。
だから、あわせると結構な額になる。

これ以降、ぼったくりにあったことはない。
自分が払えそうにない店に入らなくなったので。





金額で言えば、入院中の個室料金よりこっちの方が安い。
ぼったくられるは、額だけの問題ではない。

遊ぶんだったら、その分稼いで、分相応に遊べばいい。
そしたら、高くても、それは自身で支払える範囲の遊びだから。

改めて言うが、入院費用はぼったくられたとは思っていない。
高かったとは思っているが。

健康になった証拠である。

















【追記】
その店に、相方が友人を引き連れてリベンジに行ったらしい。
散々遊んでごねたらしい。

その後、その店はつぶれた。
それが原因であったかどうかは分からない。





その彼も数年前に亡くなった。
まだそんな歳やなかったのに。

香典代わりに、その時の飲み代を奥さんに払う。
昔、こんなことがあったんで、と言って。

逢いたくなった時に君はここにいない
若気の至りに合掌。