ゼロからなんて始まらない

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「例えばだよ。」


 なに? 


「お前がね、人として間違ったことを万が一犯してしまったとしても

 俺はそりゃ苦しむだろうけど、

 受け入れるし、受け入れざるおえないよね。」


 なんで?


「愛してるからに決まってるでしょ。」


 そんなふうに愛してるなんて簡単に言っちゃうから、

 あなた彼女に刺されそうになるんだよ。


「そうそう(笑) いやでも、当然それとこれは別の感情ですから。

 同じ天秤に乗せるなんてひどいね」



うん。

私の天秤には皿はひとつしかないので、あなたを乗せることは

ほんとはできていない。

ひとつの小さな皿の上で、触れるか触れないかの距離の、でも

絶対に私を許してくれないであろう、彼の爪を

私はもう何年も見ている。


あのね、たまに電話くれるの、嬉しいけど

私の気持ちに期待をしないでほしい。

女だから、愛してるって言われればどきっとするし、鏡でそんな自分を

もっと見てみたくなる。


あなたはなんでも上手だから、私がいなくても

思うような人生を歩いていけるし、歩いてるし

それ以上何かを求めるのはちょっと下品。


「どうして、僕は愛情だけには恵まれないんだろ。」



「あの時、ずっと一緒にいたいと言ったお前のことを

 あんなに泣かせて、振ったのにね」


この人は、私が合鍵を持っているのを当然わかっているのに

その部屋で別の女の人とキスをしていた。

あぁ、ドラマだったら来週はどんな展開になるんだろ・・・。

あぁ、あたしが女優だったら今どうすればいい画におさまるだろう・・・。


かけよって私に言った彼の言葉は


「・・・ごめん。唇から血がでてる・・」


強く噛んでしまったあたしの下唇は

切れていた。




電話の向こうのその人はたばこを吸っているのだろう。

もう寝るからと言って私から切る。



私は意外と簡単に愛される。

好きも愛してるも、言われなれた。

そんな言葉はなんの意味も、持っていない。

死んでしまう前に聞きたい愛してるは

一人しかいない。


誕生日は静かにやってくる。





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