竹内が私の反応を見て言った。
「ユウコは夕方の夕に子供の子ですから、お間違いのないように…」
「あっ、ああ…」
僕は名刺を見直した。
「ビジネスプランは理事長さんからお聞きしました。」
と、今まで硬かった表情が少し柔らかくなったかと思うと話を続けた。
「とても困難な事業に挑まれるのだと正直驚きましたが、私の周りにもうつ病などで働けないでいる友達がおります。彼女たちのためにもなるのであれば、私で宜しければお力になりたいと思います。」
彼女とは初対面だったし、実力のほどもまったく分からなかったが、僕の事業に対して真っ直ぐに向き合っていくれているようで、その真摯な応対に胸が熱くなった。
「いや、私の方こそ。実際のITの受け入れ態勢となるとまったくもって未知数でして、ご協力頂けたらこんなありがたいことはありません。どうかお力をお貸し下さい!!」
竹内は僕のその言葉を聞くと、すっと息を吐いてこう言った。
「では、早速ですが…。この就業事業のプランでの、企業側のメリットは何ですか?」
「企業側の…メリット…ですか…」
「はい。申し訳ありませんが、商品のクオリティに心配のある障害者に企業は仕事を流しません。」
竹内はキッパリと言った。
「企業側のメリット…」
「桜井さん。私たちはいい事をしてるのだからでは、当然世間では通用しないのはお分かりですよね。」
僕は竹内のその真剣な眼差しに息を呑んだ…。