1990年の映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世記」を見ました。

実は、たしか、私が生まれて初めて自分で見たホラー映画です!

(もしかしたら「ゾンビ」が先かもしれないけど、思い入れは同じくらい!)



私の不勉強だったのですが、

こちらのリメイクってトム・サヴィーニ監督なんですね。

どちらかというと私はこちらが大好き。



原作(オリジナル)との違い。

・女性がただ叫ぶだけではなく、「戦う女」になっている。

・立てこもることになる家に、ゾンビが多数登場する。

肥満体のゾンビが主人公を追い詰める!

・ストーリーは変わらないが、エンディングが大きく違う。

みたいな感じ。





DVDにはいくつかバージョン違いのものがありますが、その違いがよくわからない。

にしても、このジャケコワイヨー



郊外の一軒屋を舞台に、突如甦った死者たちと生存者の攻防を描いたジョージ・A・ロメロの先駆的傑作「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生」のカラー・ステレオ版リメイク。

前作の脚本(ジョン・A・ルッソ)をロメロ自身が脚色、オリジナルを重視しつつも時代性を取り込んだアレンジを見せ、特殊メイクアップ・アーティストの盟友T・サヴィーニの演出がそれに見事に応えた。

米版96分。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=16436




何でリメイクしたかっていうと、オリジナル版のほうに会社のロゴを入れ忘れたそうで、このまま放置すると著作権が失われてしまうということになり、「パロディや駄作を乱発されるかもしれないなら、じゃあリメイク作るべ」という話になったらしい(特典より。細かく違ったらゴメンネ)。



ネタバレ

※本編を絶対に見てほしい



有名な「奴らが来るぞ、バーバラ」という言葉から始まるこの映画。

母ちゃんのお墓参り(オリジナルではお父ちゃん)に来た兄妹ですが、母ちゃんの写真がなんというか「もっといい写真もってきてあげてー」と言いたくなる仕上がり。



そしてお墓参り中に、「ゾンビが襲ってくるぞ」と煽りだす兄ちゃん。

熱演ぶりが中二っぽくてすごい。ひとりでウエーウエー騒いでます。

呆れるバーバラ。

で、この映画の特徴といえば、ゾンビの登場がすさまじく早いというところにありますが、今作でもそれが踏襲されています。



うしろにチラチラ映り込んでいるじじいがゾンビ…というわけではなく、このじじいも単なる被害者。

突然フレームインしてくるゾンビに兄ちゃんは殺され、主人公のバーバラも追いかけられます。



ふと現れたイケメンに助けを求めるも、彼のバックショットを見ると、なんとお尻丸出し!

変質者や!

ということではなく、死体に服を着せる時はこうなるらしいです。えっ、そうなの??



で、歩いているうちに徐々に服がずり落ちて、手術跡が丸見えに!

このシーンがもうたまりません。

何より、イケメンなのにケツが汚いというこのギャップ。



主人公の乗り込んだ車の窓ガラスをゾンビが石で砕きに来るところなどは、オリジナルに近いかも。

まあ、そのままなんとか逃げるのですが、こちらのほうの作品は、抜けるような夏の青空が美しいのです。

(原作は白黒なので、曇りっぽい印象)

ただ、その青空がすごく哀しい(カックイー!)というのでしょうか。

これもたまたまらしいですが、監督が気に入ってそのまま撮影したそうです。

(サヴィーニのほうね)



必死で逃げたバーバラが辿り着いたのはある一軒家。そう、この映画の舞台です!

ですが、その家のロビーの吹き抜けの二階部分から滴り落ちてくる血。

そして見上げると手が…そのまま落ちてきます!

そしてデブのゾンビもそのまま落ちてきます!

(この人、サヴィーニの友達で俳優さんじゃなく、なんと警官らしい!)



逃げようとしたらドアから別のゾンビが入って来て困る主人公。

しかし、そこに登場するのが今作のもうひとりの主人公・ベンです。

ベンはゾンビをどんどん退治してくれます。

ですが、バーバラも負けてない!デブゾンビを仕留めてくれます。

そうなんですね、メガネで地味っこだったバーバラが突然覚醒するのもこの映画のみどころなのです。



ちょっぴり取り乱すバーバラを、抱きしめてくれるベン。

これが恋愛要素じゃなくて、同士のようにギュッと抱きしめてくれるところもいい。




そして、その後に登場人物がほぼ全員集合。




たのしいとうじょうじんぶつ

バーバラ:ヒロイン。今作では闘う女に!

ベン:黒人主人公。正義感が強い

ハリー:いじわるワガママおじさん

ヘレン:ハリーの奥さん。いい人

娘:ゾンビにガブガブされました

トム:今作では、「BTF」のマーティみたいなファッション。この人も基本はいい人。だけどバカ

ジュディ:トムの彼女。ホラー映画における「ダメな女」を体現したようなミスを連発




この後はオリジナル通り

・地下室に隠れる派のハリーと、籠城の準備をしよう派のベンで大喧嘩

・トムのおじさん(この家の主、バーバラが始末済みのゾンビ)が、給油タンクの鍵を持っているのでは?ということで死体をゴソゴソ。ベンとトム、ジュディでトラックを給油に出る

・鍵が合わない!短気を起こしてタンクを撃つという暴挙に出るトム。

暴走するジュディ。共に炎上!死体はゾンビがいただきます。

今夜は焼肉だネ!



・その頃、ハリーはバーバラの銃を力ずくで奪おうとしていた

・戻ってきたベンとハリーで撃ち合いに。

そこにゾンビ化したハリーの娘も登場

なんということでしょう、ゾンビが外にいて協力しあわなきゃいけない状況で、なんと人間同士が殺し合いになってしまいました。



・ハリーは天井に隠れ、バーバラは外に逃げます

ベンは地下に。

そこでゾンビ化したヘレンを殺すベン。

そして、地下室にあった給油タンクの鍵に気が付き、大笑いします。

このシーンはよく覚えてる。

家の中にゾンビがなだれ込んできて、彼のいる地下室のドアをガリガリしますが、彼はただただ笑い続けます。



・ゾンビの中をすり抜けて逃げるバーバラ。

(この映画のゾンビは道具は使うものの、非常にのろいので間をすり抜けたら逃げられる)

そして人間たちと遭遇するも、彼らはゾンビ狩りの真っ最中。超感じ悪いです。

彼らのトラックの荷台には、兄のゾンビの死体が…!



・そして人間たちのキャンプ。

ゾンビと人間たちが戦うレスリングごっこや、ゾンビを吊るして銃で狙い、撃つ遊びなどが流行中。

「彼らは、私たち自身よ」とつぶやくバーバラ。



・一軒家に戻る!

地下室を開けると、そこにはゾンビ化したベン。

息をのむバーバラ。間に合わなかった…。

しかし彼女の前に現れたのは、なんと生きているいじわるじじい・ハリー。

彼女は助けを求めるハリーの頭を撃ち抜きます。

そして、ゾンビたちを集めてキャンプファイヤーが行われ、その周りを楽しそうに囲む人間たちの姿がありました…!




特典では、出演者(ただし、バーバラのみ)や監督の秘話が聞けます。

ベンの役を演じた俳優さんは、たしか「キャンディマン」で死の使いを演じ、さらには「ファイナルデッド」シリーズで悪魔に詳しい謎の男を演じていたような…。

この役でも素晴らしくマッチしているので、見るべし!




特典を見て、秘話をまとめます!

・当初、この映画は「ナイト・オブ・フレッシュイーターズ」というタイトルだったらしい。

人肉食いの夜、みたいな感じかな?



・リメイク版のヒロインは、自立した女性として描かれているそう。

バーバラ役を演じた女優さんも、そこに非常に満足していらっしゃいました。

ただ、年齢を重ねてまるまると…!



・今では珍しくない、ゾンビの目にコンタクトレンズを入れて白目にする演出。

これもおそらく、この映画が初めて。

単なる演出ではなく「魂がなくなってしまった」という意味を込めて、白目のコンタクトを入れているそう。

しかも、この白目ゾンビは主要キャラのみになっています。

(最後のベン、途中で出てくる赤ちゃん人形を抱いたおばさんなど)



・前述通り、トムのおじさん役の肥満ゾンビは、本職が警官だそう。

この撮影の前に怪我をされていたそうですが、ちゃんとスタントを乗り切ったそうです。

(たしか肋骨にヒビが入っていたそうですが、二階から落下するなどスタントをこなした)



・窓から侵入してくる、細いゾンビ。

ガリガリに痩せていて、上半身裸のゾンビなのですが、この人はサヴィーニが撮影現場が乗った(どこでかは忘れたけど)タクシーの運転手さんだったそう!

ちなみに、上半身裸のところに拳銃を撃ちこまれる演出も、この映画がほぼ初めてらしい。

(今まではシャツで隠して、そこから火薬と血のりで演出していたみたいです)

偽物の胸板を足しているそうです。



・オリジナル版のバーバラの兄が、ラストのキャンプ部分でテレビインタビューに答えているおじさんとしてカメオ出演している。

これは有名かな?



・サヴィーニはオリジナル版にもスタッフとして参加する予定だったが、ベトナムに徴兵されたため、参加が叶わなかったらしい。




などなど、特典までまるっと楽しめる内容になっております!




「ゾンビ」はさびしさ、孤独感が強い映画ですが、こちらの作品はカオスという感じ。

鳴る前の目覚まし時計をひたすらじーっと見ていているような、トイレを我慢しているような気持ち悪さと、いかにも夏らしい暴力性・攻撃性が強い映画だと思います。