• 02 Mar
    • The Ink Drinker

      本の読み方は人それぞれ?? Eric Sanvoisin, Georges Moroz, Martin Matje The Ink Drinker (Ink Drinker) 私の先輩に魚介類の苦手な人がいました。彼の生家は漁業を営んでいるのですが、それゆえ魚漬けの食生活だったのでしょうか、魚介類が嫌いになってしまったのです。漁師の息子が魚嫌いとは、皮肉なものですね。子供のころ、毎日どんな思いで食卓に向かっていたのでしょうか。 もしも自分の嫌いなものを自分の家で取り扱うことになったら、どうなるんでしょう。 本書の主人公、ボクは本が嫌い。でもお父さんは本屋さんを営んでおり、本が大好き。サッカー好きの少年が 「ボールはトモダチ!」 と叫ぶように、お父さんも "my little bookies."  (ぼくのカワイイ本ちゃん達♪) なんて呼んでおります。 こんなお父さんがいたら、本が嫌いになる……かな? ところがボクは夏休みの間、お父さんを手伝うことになってしまいました。 本嫌いの本屋の店番です。 ここでもう一度表紙を見てください。 表紙の右下にうずくまっているのが、主人公の男の子。隠れてお客さんたちを観察しているんです。ちょっと趣味が悪い。 そして表紙の中央には、なんとも奇妙な人物が。……本にストローをさしています! この奇妙な客にびっくりしたボクは、好奇心満々で彼の後をついてゆくのですが……。 A to Z mysteriesよりもさらに短い35ページ。しかもイラストも多く、すべてカラーですからストレスを感じずに読み進めることができます。ペーパーバックにしては紙質もよく、真っ白。活字も見やすく大判ですから、まるで学生時代の教科書を読んでいるかのようです。見慣れない単語がいくつか出てきますけれど、無視しても大丈夫なテンポの良いストーリー。表紙からして興味をひきますが、中身も同様で、難しい単語が気にならないほどひきつけられてしまいます。 はたして謎のお客の正体は? 主人公はどうなってしまうのか? 学生さんのサイドリーダーにもよいのではないでしょうか。

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  • 20 Feb
    • The Empty Envelope

      今度は暗号だ~! Ron Roy, John Steven Gurney The Empty Envelope (A to Z Mysteries) おなじみのA to Z Mysteriesの5作目はEmputy Emvelope(空っぽの封筒)。タイトルからしてミステリじみています。 去年の5月から始めて、まだ5作目。せめて月イチくらいのペースでご紹介できるよう、がんばらなきゃ。 前作でメーン州に出かけ、お城のなぞを解いた三人組。今回は再び自分たちの町、コネチカット州はグリーンローンに戻って活躍します。 わが町に戻っても、仲良し三人組はいつも一緒。今日もDinkの家の庭でバレーボールをしています。 それにしても、庭でテントを張ったり、バレー(挿絵だとバドミントンコートくらいの広さだけど)ができちゃう、郊外の中流家庭、庭付き一戸建て。やっぱりアメリカは広いですねえ。 さてそこに届いた一通の手紙。宛名はD.DUNCAN。われらがDick Duncan君のことかと思いきや、さにあらず。DickならぬDorisさん宛のお手紙だったんですね。住所はDickのものなのに。しかも今日ので5通目。 表紙は5通目の封筒を開けているところ。他人宛の手紙を開けちゃうところがすごいですが、こんどこそDick Duncan宛てかもしれませんからね。そこは大目に見ましょう。 ところが封筒は空。まさしくemputy。ミステリです。 そして三人はまたもや犯罪に巻き込まれてしまうのです。 表紙のイラストで 封筒をあけているのが、読書家、特にミステリが好きなDick。 後ろで見守る、赤毛の男の子が、絵を描くのが好きなJosh。 そして紫の服を着ている女の子が、いつもここ一番でひらめきと度胸を見せているRuth Rose。 空っぽの封筒で、何が送られてきたのか。 今回はJoshが暗号を解読し、Ruth Roseが大胆な演技で犯人をわなにはめちゃいます。 しかし、そんな三人の後ろには、大人たちの温かい目とがっしりした腕が、いつも彼らを支えているんですよ。 よい子は(大人も)真似しないでね。危ないから。

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  • 31 Jan
    • The Deadly Dungeon (A to Z Mysteries)

      一巻(The Abesent Auther)を先に読まないでね! Ron Roy, John Steven Gurney The Deadly Dungeon (A to Z Mysteries) 推理小説の好きな男の子Dink、絵を描くのが好きな男の子Josh、そして元気一杯の女の子RuthRoseの三人組。 彼らが活躍するタイトルがABCで始まるシリーズの四作目。Dの巻。 各巻のタイトルはいずれも頭韻を踏んでます。 だからDの巻はD&D! D&D というとやっぱりロールプレイングゲーム(Dungeons & Dragons)のことだなと思ってしまう私。 だからこのA to Z MysteriesのシリーズでもDはどんなタイトルか期待してたのですが ダンジョン(Dungeon)! やっぱりダンジョン登場ですよ。 なんとお城も登場します。。。アメリカにお城だって?? ディズニーランドのシンデレラ城ではないですよ。まあ、近いけど。そこはやっぱりアメリカ。かつて映画スターが別荘として作ったお城だそうな。 仲良し三人組(ハリポタみたいですね)。今回は自分たちの町、いや州を飛び出して、知り合いのお城でバカンスを過ごすことに。ところがこのお城には幽霊が出るそうで。。。 タイトルになっているダンジョンだけでなく、幽霊騒動、夜中に見かける怪しい光など、ミステリーよりアドヴェンチャーくさい展開になっていきます。もちろん海に出てロブスター漁を体験したりとしっかり遊んでおりますが。 シリーズも4作目になり、ますます面白くなってます。件の幽霊の正体には私もびっくり! 子供さん向けのほのぼのミステリーとあなどることなかれ、です。 ええとね、ネタバレにならない程度に。最初の章から油断しちゃあいけません、さらりと読み飛ばしちゃあ、いけませんよ。 冒頭にも書きましたが、1話完結のこのシリーズなんですけど、1巻との関連が強いこの4巻。こちらを先に読むと1巻の面白さが激減しますのでご注意を。

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  • 24 Feb
    • The Canary Caper (A to Z Mysteries)

      子供の頃に帰りたくなるよ~ Ron Roy, John Steven Gurney The Canary Caper (A to Z Mysteries) 推理小説の好きな男の子Dink、絵を描くのが好きな男の子Josh、そして元気一杯の女の子RuthRoseの三人組。 彼らが活躍するタイトルがABCで始まるシリーズの三作目。Cの巻。 CはカナリアのC。 なんて書くとブラッドベリのパクリになっちゃいますね。 カナリアといえばヴァン・ダインの『カナリヤ殺人事件』。古典の傑作であります。 (ちなみに私はこの小説のトリックを、子供向けの「推理クイズ」《書名は忘れた》で先に知ってしまった~。 この手の本を出版する方は、頼むからオリジナルのパズルにしてほしい~! ) ヴァン・ダイン, 井上 勇 カナリヤ殺人事件 トリックがわかっていてもおもしろいですけどね。 もちろんこのシリーズ、「A to Z Misteries」は子供向けですから、血なまぐさい殺人事件ではありません。 「Canary Caper」 カナリアの。。。なんだっけ? ca・per1 [/kipr/] [名] 1 飛びはね, はね回り. 2 ((略式))(窃盗(せっとう)・強盗などの)犯罪, 悪事. 3 ((略式))(酔っての)ばか騒ぎ;悪ふざけ, いたずら;軽薄[無責任]なふるまい (プログレッシブ英和中辞典より) つまりは「カナリア窃盗事件」。 その名の通り(表紙イラストでもおわかりのように)、カナリアが盗まれるお話。 とはいえ、資産家が飼っている高価なカナリアでも、カナリアの体のどこかに秘宝のありかが示されているのでもありません。 ごく普通のご婦人の飼っている、ごく普通のカナリア。 このカナリアをはじめ、ウサギ、オウム、そしてRuth Roseのネコまでが行方不明になります。全て同じ日に。Ruth Roseは早速「誘拐だ!」と騒ぎたて、三人一緒に警察に駆け込みますが。。。 はたして誰が、どうしてペットを誘拐したのか。 いつもどおりラストにはちゃんと微笑ましいオチがついています。 この本のもう一つの魅力は、主人公三人組を通して、彼らを取り巻く社会が魅力的に描かれていることでしょう。 夏休みなので庭にテントを張ってキャンプをしたり、 町内の誰もが 「Hey, kids!」 と気軽に声をかけてくれる。 もちろんフィクションですから、実際と異なる情景もあるでしょう。それでもフィクションゆえに、そこには著者や読者の理想である地域社会が描かれているのです。 あとがきで著者は読者(子供たち)にこう投げかけています。 「君たちの手紙からインスピレーションを得ることが多いんだよ」 子供は物語を読むのも、つくるのも大好き。 この言葉に作者の優しさを感じます。

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  • 08 Feb
    • The Bald Bandit (A to Z Mysteries)

      手軽で楽しいシリーズ Ron Roy, John Steven Gurney The Bald Bandit (A to Z Mysteries) 今じゃ小学校で英語を習う時代。 私が子供の頃は中学から、でした。新しい科目にわくわくしたものです。 が、中学英語の難点。それは テキストがつまらん! そりゃ語彙も少ないんで、表記できる内容に限度があると思うんですよ。それでも内容があまりにも幼稚すぎた。それにカタイ! だからつまらないのかも。 各巻のタイトルがそれぞれA~Zではじまるこのシリーズ、2巻目はBlad Bandit。 (1作目の記事はコチラ ) 毎回毎回頭韻を踏んでいるところが遊び心があっていいですね。 bald [形] 1 〈頭が〉はげた, 〈人が〉はげ頭の(▼全体でも部分的でもよい);木[葉, 草]がない bandit [名](複~s, ~・ti /bndti/) 1 無法者;盗賊, 追いはぎ;(特に地中海周辺の)山賊(brigand) a gang [a set] of bandits 山賊の一団. [ プログレッシブ英和中辞典(小学館)] 表紙のイラストどおり。 こういった言葉は日本では使うのに勇気が要りますね。商品名や本のタイトルにはまずできないでしょう(あったらゴメンナサイ)。ましてや教科書には載せられないでしょうね。 井沢元彦さんのおっしゃるとおり、日本は言霊(ことだま)の国なんだなあ。。。 もちろん、タイトルだけでなく中身もおもしろいですよ。平易な表現ですが、ミステリの名に恥じず、オチもしっかりしてます。70ページと小ぶりながら、さすがです。イラストも多いので、本文理解の助けになります。 タイトルのBaldもそれほど汚い言葉ではありませんが、中身も汚い言葉は使われていません。そこらへんは児童書ですから、しっかりしています。 Dink、Ruth Rose、Joshの仲良し三人組。今回は前巻と異なり、銀行強盗という実際の犯罪に巻き込まれます。巻を追うごとに三人のキャラクタがしっかりしてきて、おもしろい。これもシリーズを読むおもしろさでしょうね。

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  • 06 Feb
    • The Lion, the Witch and the Wardrobe

      あの人の名は……! C. S. Lewis, Pauline Baynes The Lion, the Witch and the Wardrobe (Chronicles of Narnia, Book 2) 英語の多読を広めたい身にとって悲しいことは、お値段。 日本の文庫本も最近は高くなったけれど、ペーパーバックは書店で買うと1,000円くらいします。 ネットで買うとお得なんですけどね。 ところが 「映画化決定!」 となればしめたもの。 書店によっては平積みされ、ちょっと割引になったりします。 『ヴェニスの商人』もそうでした。 (「それにしてもシェイクスピアは高いなあ。。。」  「同じ本を2冊も3冊も買うから。『ヘンリー五世』だけで5,6冊買ったそうじゃないですか!」  「いや、出版社によって注釈や解題、系図などが違うのだ」  「。。。おバカ」) ということで今回は『ナルニア国物語』。その第一巻『ライオンと魔女』。 『指輪物語』が映画になってから、いつかは、と思ってたんですが。ついにあのナルニアも映画化される、というよりも、もう前売りが売ってますよね。 とらさん も書いてらっしゃったようにこの物語、異世界への入り口の設定がすばらしいものであります。 私、このナルニアと星新一さんの『ブランコの向こうで』を読んだときは、試してみちゃいました、別世界へ(別の人の夢へ)いけるかどうか。 星 新一 ブランコのむこうで 映画がすばらしいできになることを祈っております。 さて、今回はその原書。 私が邦訳を読んだのは主役の一人、エドマンドと同じ年頃、小学2年生くらい。 だからエドマンドの行動、境遇に腹を立て、かわいそうになり、よかったよかったと胸をなでおろしたものです(詳しくは物語を読んでね)。 実は私、それ以来ナルニアを読んだことはなかったのですが、あら不思議。ひとたびペーパーバックをめくるや、次々に思い出してくるではありませんか。 小さい頃の体験や記憶って結構残るものなのですね。 幼き日に読んだ本は懐かしい幼馴染のようなもの。今でも児童書店にいけば、古きよき友達に会えた嬉しさに時のたつのも忘れてしまいます。 そして英語版は。 幼友達のもう一つの姿を見つけたようで。 それでもイラストは同じですから、すぐに親しめました。 この物語で一番光っているのは、私にはエドマンドですね。 ピーターは子供心に「かっこいいお兄さん」でしたけど、アスランにはかなわない。 映画では誰が演ずるかわかりませぬが、難しい役どころとなるでしょう。 そしてもう一つ。 英語版を手に取ってからわくわくしていたこと。 それはあの人の名前がわかる! というのでした。 あの人。それは、巨人ごろごろ八郎太です。 巨人ごろごろ八郎太! なんとすばらしきネーミングでしょう。 「ごろごろ」と「八郎」がひびきあって、一度口にすればもう忘れられなくなります。 さらにそのおもしろい音感から、彼が気のいいキャラクタ、善玉であることもわかりますしね。 実は私、四兄弟やアスランの名はうろ覚えでしたが、彼の名前はしっかりと覚えてました。 この記事を書くために、岩波版をもう一度読んでみたのですが、役者の瀬田貞二さんがあとがきで 日本になじみのないものは名前を変えました、 ということをお書きになっているんですね。エドマンドが食べて魔法にかかってしまうお菓子も「プリン」としてあります。 ならば巨人ごろごろ八郎太も。 そしてついに物語の終盤で彼の名前に行き当たることができました。 "Giant Rumblebuffin" rumble [動](自) 1 〈雷・地震・車・腹などが〉ゴロゴロ[ガラガラ]音を立てる[鳴る], とどろく My stomach is rumbling. (お腹がすいて)腹がゴロゴロなってる. 2 〈車などが〉ガラガラ[ゴロゴロ]音を立てて進む. [ プログレッシブ英和中辞典(小学館) 提供:JapanKnowledge ]より うん、やっぱりゴロゴロなのですね。 buffinはワカリマセンでしたが、人名らしくするためにくっつけたのかな? それにしても八郎太。やっぱりすばらしいネーミング。 かように、 「原作ではあれはなんて書いてあるんだろう?」 というのも、洋書を読む一つのきっかけであり、楽しみですね。 付記 おとといは路面が凍ってまして、エドマンドがぬかるみの中を歩いて滑った場面を読んだちょうどそのとき、私も滑ってしまいました。見事に。 本は折れてしまうわ、腰は痛いわ。 歩き読みは、やめよう!

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  • 30 Jan
    • Sideways Stories from Wayside School

      そんなバカな! のオンパレード しばらくぶりにアメブロに帰ってきて感じたこと。 みんなスクラップブックに参加してるなあ。いいなあ! 私も参加ブックを増やしたい! とは思ったものの、最近歴史物ばかり書いておりました。 これじゃあ増やせない。自分で「シェイクスピア」でも作るか? でも史劇ばかりで、しかも半可通だしなあ。 とゆことで「英語の多読をひろめよう~!」に参加しました。 英語の本をたくさん読むと、楽しみながら英語が上達していきます。 そんな楽しんで読書するための おすすめ本紹介 を主とし、交流していきたいと思っています。 という主旨のブックです。 いいですねええ。 もともと私は勉強一本槍! というタイプではなく、できるなら楽しんで勉強したい、何かと抱き合わせで勉強をしていた学生でした。あまり勉強を意識せずに勉強したい少年だったのです。 古文・漢文も歴史も文学作品や教養書を読んで楽しみながら知識を増やしていったものです。 英語は高校生のときにリーダーの先生を囲んでグループでちょっといかがわしい英語の本を読みましたっけ。当然男ばかり。皆一所懸命読みました。(良い子はマネしないでね!) とゆことで久しぶりの「英語の本」です。 前回が7月31日のハリポタだから、かなり間があいております。 Louis Sachar, Julie Brinckloe Sideways Stories from Wayside School さて、Wayside School。 平屋で30教室の学校を建てるつもりが、業者の間違いで1フロアーに1教室ずつの、30階建てになってしまったというとんでもない学校です。 そんなナンセンスな学校に集う教師も児童も、そして職員もとんでもないやつらばかり。彼らとんでもないやつらが繰り広げるナンセンスなお話が沢山詰まってます。 1話あたり3~5ページの、30章仕立て。1話ごとに1人の児童が主役を担ってます。例外として最初に教師の、最後に作者の分身である職員の話が入っておりますが。 どれも簡単な語句ばかりですので、多少わからない言葉があっても辞書無しで充分楽しめます。高校初級、英語好きなら中学生でも読めるでしょう。各話ともオチ、というよりばかばかしい結末になっていますので、飽きがきません。 う~ん、日本でいうと『怪傑ゾロリ』シリーズのようなばかばかしさ、かな。 これはシリーズになっておりまして、今回紹介したのは1作目。どこから読んでも楽しめますが、全体で話がつながっているので、なるべくなら1作目から読んだ方がいいですよ。

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  • 31 Jul
    • Harry Potter and the Half-Blood Prince

      悲しいぜ。。。 うわ~ん。 ゴメンナサイ! 今日は久しぶりに尾張徳川家を書こうと予定してたんですが、 ハリポタをやっと読了して、そちらの方に浸ってます。 ハリーさん(@「その日暮らし」http://harryhk.exblog.jp/ )が以前おっしゃっていたように、 シリーズ最終間に向けてますます重く、暗い事件が続いてゆきます。 このシリーズは1年に1作ずつ出版され、その1作が作中でもやはり1年に相当する、というのがひとつの売りでありました。1年に1作ずつ、というのはさまざまな事情で崩れてしまったのですが、1作が作中の1年に対応する、という構成は変わっておりません。US版では背表紙にYEAR1~YEAR6の番号が振ってあります。 ですから主人公ハリーも1年ずつ年を取り、彼のものの見方考え方も変わってきますし、彼を取り巻く周囲も変わってゆきます。 子供の本とはいえ、ハイティーンにむけたものになってます。 シリーズの後半(5,6巻)で重い雰囲気になるのもそのゆえでしょう。 もちろん、そういったことをあえて避けて明るい面のみを描写しても主人公の成長はきちんと描けるでしょうが、そうしなかったのはローリングさんの人間や社会、あるいは子供の成長に対する見方、考え方によるもの。 とまあ、当たり前のことをえらそうに書きましたが、私はこの作品が好きですし、また映画も楽しみです。 ファンタジーの本家、英国で、これまでの傑作ファンタジーのエッセンスを用いたこのシリーズももう少しで終わろうとしています。 ローリングさんが最初に思いついた最終作の最後のシーンももうすぐ。

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  • 20 Jul
    • Harry Potter and the Philosopher's Stone

      物語はここから始まる J. K. Rowling Harry Potter and the Philosopher's Stone (UK) (Paper) (1) 現在6巻を読んでいるのですが、5巻と同じくはじめの方を読むのがやや苦しいです。 自分の語学力不足を棚に上げてえらそうなことを言いますが、盛り上がるのが2章くらいからで、それまでは辛抱を要しました。 それでも5巻よりはスムースに読み薦めることができます(5巻ではハリーの不安定な感情にこちらも疲れてしまいましたから)。 日本語版の5巻では人気にやや陰りが見えたかな、と思ったのですが、ハリーポッターの人気はまだまだ健在のようですね。 人気作ゆえ厳しい評価も与えられていますが、それでも読者層の拡大と洋書コーナーの拡大はこの作品のお手柄といっていいでしょう。 ベストセラーになる本というのは、普段本を読まない人にも読める(この本の場合更に普段英語の本を読んでいない人でも読める、というのがありますね)本のことでしょう。ですから当然そこにはわかりやすさが求められます。 改めて1巻を振り返ってみると、シリーズの発端だけあって1ページ目からぐいぐい引き込まれていきます。 「物語はここから始まる」というのは1巻1章にあるフレーズですが、何の変哲もない現代の公害の風景からこの魅力的な物語は始まったのです。 私は英語版の中ではこのUK版1巻の表紙が一番好きです。 UK版は巻ごとに表紙のイラストレイタがことなるんですが、1巻のこのハリーの顔が実に味わい深いですね(US版はちょっと漫画チックです)。巻を追うごとになぜかかっこよくなってゆく表紙のハリー。でも本当はどこにでもいる、どちらかといえばややかっこわるい男の子だったはず。この1巻のハリーの風貌、そして表情が一番近いと思うのですが。。。   *各国でそれぞれの翻訳が出されていますが、     なんと古代ギリシャ語やラテン語版も出ているそうです。     どちらも表紙はUS版と同じイラストらしいです。     フランス語版はなかなかおしゃれですよ~ 私は新しい巻が出るたび―それは英語版も日本語版も両方を指すのですが―このUK版1巻を読み返しています。分量も一番少なくてちょうどいい。ハリーのまだおどおどした様子がこれまたいい。継子いじめのようすがそれでもユーモラスに描かれていてまたまたいい。 私は1巻が一番好きです。 ハリーポッターシリーズは中学生でも読める、と言われることも多いですね。 英語を始めたばかりの人が読むにはちょっと大変ですが、中学2~3年生くらいの英語力があれば大丈夫です。 知らない単語はそれこそたくさん出てきますが、それらをいちいち気にせず、楽しんで読み薦めれば大丈夫。もし楽しくないと感じたらその場でやめちゃってもぜんぜんかまいません。 そういった点でペーパーバックはお値段がお手ごろ。 またハリーの物語は日本語版でも確認できますし、映画も出ています。もちろん映画と本では違うところが多いのですが、それを見つけるのもまた一つの楽しみ。 また朗読CDやカセットも出ていますので、これらでも物語の雰囲気が味わえます。 さらにハリポタ専用の単語集も出ているそうです。 ともかく楽しく読めればそれでいいのです。英語の勉強として読もうとすると楽しさが2の次になってしまい、途中で投げ出したくなります。 読書は娯楽なんですから。。。 実は高校(1年生)のリーダーの教科書にも載っているんですよ、ハリーポッター。 1巻の初めての飛行訓練の章、前半が出ています。 そこに描かれたイラストもまた味がありますよ~。

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  • 08 May
    • A to Z Mysuteries

      このコーナーでは中学生、高校生でも面白く読める本を紹介してゆきます。 AからZまで、手軽に読めて面白い×26冊! 著者: Ron Roy, John Gurney タイトル: The Absent Author (A to Z Mysteries) ミッキー・マウスにドナルド・ダック。ディズニーを代表するキャラクタですが、皆から親しまれるように名前にも工夫が凝らされています。 Micky Mouse、Donald Duck。上下の名前がMMとかDDというように同じ文字で始まっています。 頭の音をそろる(頭韻)ことで、リズムよく親しみやすくなっているのです。 英語では人物の名前や早口言葉、本のタイトルなどに頭韻を用いたものがよく見られます。 このA to Z Mysterisシリーズではこれも頭韻を踏んだ名前のRon Royさんが、その名の通りAから始まってZにいたるまで、頭韻を踏んだタイトルのミステリを26冊書く、という趣向を凝らしたもの。 現在Runaway Racehorse まで刊行。もうすぐZまで行きそうですね。 シリーズでは小学生の仲良し三人組、Dink Duncan, Josh, Ruth Roseが身の回りに起こるふしぎな事件に取り組んでいきます。 まとめ役はミステリの大好きなDink。大抵このDinkのところから物語が始まります。 ひらめきを見せるのは大抵女の子のRuth Rose。彼女はいざとなるととんでもない大声を出す特技も持っています。 Joshは。。。これからの活躍が期待かな。 とはいえ、私も全部読んだわけではなく、まだCの巻、Canary Caperまでしか読んでません。申し訳ない。 子供向けのミステリだからといって侮ってはいけません。 そりゃコロコロと簡単に人が死んでゆく、日本の子供向けミステリ漫画のような派手さはありませんが、ストーリーもちゃんと練ってあります。ひねりが効いてます。何より手軽に読めるのが魅力。 どの巻も80ページ前後の薄さ。それなのにちゃんとオチが用意してあるのはさすがです。 私のようにAから順に読んでゆくのもいいし、気に入ったところからランダムに読んでいっても一向に構わない、そんな自由度もあります。 気軽に楽しく英語と不思議が味わいたい方は手にとってみてください。

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  • 17 Apr
    • The Witch Who Was Afraid of Witches

      やはり魔女と言ったらこういう顔なの?著者: Alice Low, Jane Manning, Jane K. Manningタイトル: The Witch Who Was Afraid of Witches (I Can Read)ウェンディは魔女のくせに魔女が恐ろしい女の子。なぜなら二人のお姉さんのようにほうきに乗って速く飛べないし、強力な呪文も使えない。恐ろしげな声で笑うこともできないし、暗闇が怖い。しまいには自分のほうきを失くしてしまう始末。劣等感のかたまりなんです。そんな彼女がハロウインの夜、人間の男の子ロジャーと知り合って自分の秘められた力に気づきます。魔女の子供でも人間同様、さまざまな悩みがあるんですね。それにしても、なかなか可愛いイラストではありませんか。表紙中央、羽ペンを持っているのが主人公のウェンディ。窓越しに覗いているのが二人のお姉さんで、右側の紫のフードをかぶったのが上のお姉さんポーリー。赤毛の魔女が二番目のお姉さんのウォグです。みんな緑色の皮膚で、とがった鼻。イボがふたつ出ています。そういえば 『オズの魔法使い』(映画)にも同じような顔をした魔女が出ていました。邪悪な西の魔女です。とんがりぼうしといい、ザンバラ髪といい、このイラストとそっくり。いや、映画は1939年ですから、イラストの方が映画にそっくり、と言わねばならないのでしょう。欧米の邪悪な魔女のイメージがこうと決まっているんでしょうか。もちろんウェンディは邪悪でも恐ろしくもありません。二人のお姉さんも含め、かわいらしくほのぼのしてしまうイラストです。同じいでたちでも描きようによってぜんぜんイメージが違ってくるんですね。この"An I Can Read Books"は本を読み始めた子供向けのシリーズで、語彙力により、段階も4つに分かれています。いずれも全ページカラーイラスト入りで内容もおもしろく、楽しく英語を学ぶことができます。タイトル: オズの魔法使 特別版

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  • 01 Apr
    • Sideways Stories from Wayside School

      おもしろおかしな30の物語!著者: Louis Sachar, Julie Brinckloeタイトル: Sideways Stories from Wayside School4月。新年度。新学期。新しいことをはじめるにふさわしい時期ではありませんか。アメーバブログもリニューアル。私にはまだ使い方がよく分かっておりませんが。。。新学期。新しい学校、職場に通う人もいるんでしょうね。でもこのWayside Schoolほど奇妙な、そして愉快な学校はそうそうないでしょう。なにせ全学年で30教室の、30階建ての学校なのです!もともとは平屋で1フロアーに30部屋の後者にする予定が、建設業者の手違いで1フロアーに1教室、30階建てになったというのだからたまりません。しかもエレベータなどありゃしない。てくてくてくてく階段を、のぼっていくほかないのです。この本にはその30階、最上階のクラスの愉快な27人の生徒たちとヘンテコな教師たちの30のお話が入っています。ここで辞書を引いてみると、story という単語は「物語」という意味のほかに「階、建物{たてもの}の階」という意味もあります。そう、この本に出てくる「30のストーリー」というのはその両方の意味にかけたしゃれなんですね。30の物語はいずれも2~3ページと短く、しかもばかばかしく、それぞれにきちんとオチがついていて、中学生でもじゅうぶん楽しめます。なによりばからしい、というのがステキじゃあないですか。教科書のシャチホコばった(それでも楽しいのもある)英文もいいけれど、ときにはこんなバカ話に浸ってみるのもいいもんですよ。どのくらいヘンテコかといえば、学校の建て方もそうですが、教師、生徒もへんてこりんな人物ばかり。気に食わない生徒をりんごに変えてしまう先生や数え方は間違っているのに答えはいつも正しい生徒、レインコートを何十枚も着込んだ謎の転校生、などなど。どこから読んでも楽しめます。

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  • 15 Feb
    • CLIFFHANGER

      だれだって苦手なことは避けたい ウンチってご存知ですか? ごめんなさい。のっけから汚い言葉を出しまして。 運動がまるでダメ。運動神経ゼロ。運動音痴。略してウンチ。 私はウンチでした(今もそうか)。 5年生になるまで自転車に乗れず、 逆上がりもできず、 二重跳びもできず、 走るのも遅いし、 6年生の夏休みに呼び出されて特訓するまでは 5メートルも泳げませんでした。 今書いていてすごーく惨めな気分になりました。 友達とは普通に付き合ってましたが。 ジャクリーン・ウィルソンさんはいつも女の子の小説ばかり書いているわけではありません。男の子が主人公のものだってあるんです。 著者: Jacqueline Wilson, Nick Sharratt タイトル: Cliffhanger この本の主人公、Tim君も私と同じ。ウンチの男の子。 学校の勉強はよくできるんだけど、運動はからっきし。 う~ん、身につまされるなあ。 子供の世界では勉強ができるのって尊敬の対象にならないこともあるんですよね。勉強ができることは自慢にはならない。恥ずかしがるか、本当はうれしくても謙遜するか。 Tim君のように運動がだめだと逆にバカにされることも。 そして 子供たちはそんな「できない自分」を知っている。得手不得手は個性でもあるんだけど、「できない自分」を見るのがいやで、逃げてしまう。別の世界に。 そういえば『はてしない物語』(ネバーエンディングストーリー)のバスティアンもそうでしたね。 ところが 男親はそんな息子に我慢がならないときがある。 私も父とキャッチボールに「つきあわされた」ときは、すごくいやだった。 最初は丁寧に教えてくれるんですが、やがて指導が乱暴になってくる。 こちらがダラダラやってるもんだからだんだんイライラしてくる。 思えばかわいげのないガキでした。私は。 Tim君のお父さんも業を煮やし、息子をサマーキャンプに放り込みます。お気に入りのテディベア(オイオイ)を連れて行けずやる気ゼロのTim君。 それでもいくつかの体験を通して、仲間を作り、自信をつけていきます。 自信の持てない少年を描くのって意外に難しいんです。 特に私のように自分がそうだった人間から見るとよしあしがよくわかります。 藤子不二雄さんだとか、安岡正太郎さんは実にうまい。やはりご自身もそうだったからなのではないでしょうか。 でもウィルソンさんは女性なのにうまいんですねえ。Timのへなちょこ振りがよくでています。 全国のウンチ君に読んでもらいたい一冊。 翻訳が待ち遠しいです。

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  • 13 Jan
    • The Door into Summer

      ネコ好きの方、ハッピーエンドの好きな方におすすめ 著者: Robert A. Heinlein タイトル: The Door into Summer ←むこうのイラストはリアルなものが多いけど。これがリッキーか。。。 私がハイラインを読んだのは高校時代、『宇宙の孤児』が最初でした。その緻密な描写と奇想天外な設定に興奮したのを今でも覚えています。 それまで海外のSFはほとんど読んだことはありませんでした。 さっそく友人に報告。 「ハイラインってすげえ」 友人は「何を今更」という目で私を見ると、 「何を読んだのさ」 「『宇宙の孤児』」 フンと鼻で笑うと、 「『人形使い』や『夏への扉』を読んでからでないと、話にならないね」 まあ、お互い若かったから。。。 ちょっとムッと来て『夏への扉』を読んだのですが、うん、友人の言うとおりでした。 「読んでみたよ」 「どうだった?」 「ハイラインってすげえ」 語彙貧困な少年でした。私。まあ、とにかくぞっこんだったのです。 物語はタイムトラベル物。悪女にだまされた主人公が冷凍睡眠で30年のときを経て西暦2000年に目覚めるのですが。。。 なんといっても主人公の飼い猫、護民官ペトロニウス(ピート)がいい。私はネコを飼ったことがないのですが、これで大のネコ好きになりました。 未来の世界の描き方もいいですね。たくさんのハイテクのなかに依然変わらない小道具をさり気に混ぜたりして、リアリティをかもし出しています。 惨めな前半とそれを才覚で覆してゆく後半。重厚なSFもいいけど、こういうハッピーエンドもいい。 著者: ロバート・A・ハインライン, 福島 正実 タイトル: 夏への扉 そんなわけでSFを英語で読むなら最初はこの本、と決めておりました。3年ほど前にペーパーバックを買ったのですが、、、 挫折。 大まかな筋は覚えていたんですけどね。ちょっとブランクがあき過ぎました。文字の羅列に辛抱しきれなくなってしばらくうっちゃっておきました。 今回。 まずは日本語版をもう一度。 その次は章毎に日本語、英語を交互に読み比べ。 コールドスリープはやっぱりcold sleepだ。 悪女ベルの台詞「坊や」はChubbyだったのか、なるほど。 なんて、四苦八苦しながらも楽しんで読みました。 やっぱり翻訳が出ていると楽ですね。

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  • 01 Jan
    • アンデルセン童話集 ルビ訳

      何で読んでもアンデルセンはいい 新年明けましておめでとうございます。 10月半ばに開始した当ブログ、何度か中断いたしましたが何とか年を越すことができました。 これもひとえに皆様のおかげ。 気にしないようでちゃっかり気にしているランキング(訪問者数)のおかげもあるかな? 本年もよろしくお願いいたします。 さてさて、新年早々、またまたアンデルセンです。 此度は講談社ルビーブックスより出版の「ルビ訳」アンデルセン童話集。 著者: アンデルセン, Hans Christian Andersen タイトル: アンデルセン童話集 「ルビ訳」というのは、ご想像通り、漢字にルビを振るがごとく単語や熟語の下に日本語訳がついているんですねえ。 もちろんすべてについているわけではありません。それなら対訳と同じですから。 難読漢字にルビが振ってあるのと同じように、適度に(1文に1~2個)日本語訳が振ってあります。 いやはや、うまく考えたもの。 一体、英語の本を読む上で最大の障害は辞書を引くこと。いちいち引いていたのでは読書なのか学校の宿題なのかわからなくなってしまいます。もっとも学校の宿題でも辞書と首っ引き、というのは決してよいやり方ではありませんが。 とはいえ読む人によって「知らない単語」は異なるもの。自分の知らない語句にルビが振ってなかったらどうしよう、なんて心配もありますが、そこはそれ、漢字にルビが振ってある、ない、と同じこと。 知らなきゃ飛ばして適当に読めばいい。 どうしても気になるなら、人に聞くなり自分で調べるなりすればいい。 その点この「アンデルセン童話集」なら、たいていの人が知っている話――「赤い靴」、「人魚姫」、「すずの兵隊」、「醜いアヒルの子」、「マッチ売りの少女」(なお、童話の題名はよく通じるものにしました。本書の目次は↑の書名をクリックすればご覧になれます)――もしくは短い物語で構成されています。 この抽出もなかなか。 知っている話であれば多少語句がわからなくても読み通せますし、かといって知ってる話ばかりじゃ買う意味ないよ、なんて人にもあまり知られていない話しを、それもごく短いものをいれてある。 ああ、本の体裁ばかり長々書いてしまいました。 ぜんぜん作品評になっていない。 まあ、人魚姫など著名なものはおいといて(とらさんの書評 の後に書く勇気はさすがにありません)、この中に収められた「王女とえんどう豆」(多くの邦題は「豆粒の上に寝たお姫様」)について。。。 これはアンデルセンの一番最初の童話集に載っていたもので、創作童話ではなく、グリムのように民話をベースにしています。 ただ、民俗学、言語学志向のグリムと違い、アンデルセンはあくまで作家。単なる民話の採録ではなく、作者の個性があふれています。 物語は、 ある雨の日にとある国の王女様がたった一人、別のとある国の王様のお城にやってきて、一晩泊めてほしいとお願いする場面から始まります。 王女ともあろうものがたった一人で傘も差さずずぶぬれで来るのですから、お城の人は当然「本物だろうか」と怪しみます。 とはいえ、受け入れ側のお城もたいしたものではありません。なにしろ王様自らがドアを開け迎え入れるのですから。 王女かどうかわからなくても泊めてあげる、王様、親切ですね。 ここらへん、われわれ下々と同じスケールになっちゃってます。 いかにも新興市民階級のアンデルセンです。 さてこのお城には花嫁募集中の王子様がいて、もし本物の王女様なら嫁に迎えられるのになあ、と思案する王様。そこへ奥さん(王妃様ですね)が奇想天外な方法を提案し、件の女性は本物のプリンセスであることが判明、盛大な結婚式が行われたのでした。メデタシ、メデタシ。 その方法とは? いや、それは作品を読んでください。 アンデルセンが活躍したのは19世紀中ごろ。ヨーロッパではそこかしこで何度も王様が取り替えられた、革命の季節。また科学、工業が発展した産業革命の時期でありました。 靴屋のせがれから必死で成り上がったアンデルセンが属した上流階級も、昔のような王侯貴族ではなく、ブルジョワジー、市民階級。 だからでしょうか、昔話の再録にしても大胆なアレンジが加えられ、昔恐れられていた魔女や王様などけっこうあっさりやられるか、本作のようなまことに慎ましやかな存在であったり。後に続く創作童話への道筋がちゃんとついているのです。 新年早々長々書いてしまいました。 それでは皆様、今年もよい年でありますように!

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  • 25 Dec
    • The Gift of the Magi

      本当のクリスマスプレゼント メリークリスマス! 。。。本当は昨日、イブに書きたかったんですが。 The Gift of the Magiは「賢者の贈り物」。オー・ヘンリーのあまりに有名な、クリスマスイブのお話です。 『クリスマスキャロル』と並び、クリスマスのお話の中でも最も有名なもののひとつではないでしょうか。そして、オー・ヘンリーの作品の中でも「最後の一葉」と並ぶ有名作。様々な形で出版されています。 私は最初絵本で、次に新潮文庫で読みました。 三度目は意外な形で。 学生時代、塾講師のアルバイトをしていたときの事。一番最初の授業(英語)で教えたのがThe Gift of the Magi。当時の「ニュークラウン」に載っていたのです。 One dollar and eighty-seven cents. That was all. ではじまり、5ページほどでしたでしょうか、中学生向けにリライトした、それでもつぼを押さえた英文が続きます。 ただ、塾でやるのはあくまで授業。英文を切り刻み、直訳してゆくのです。 授業前には教師も予習します。 好きな作品だけに、無骨な手で解剖されるような無残なあつかいにちょっぴり哀しい。名作との出会いがこんな形では、せっかくのリライトも意味がない、と思い、新潮文庫版の訳文をコピーして生徒に配ろうと思いました。が、 「それって著作権侵害」 塾長の言葉、誠にごもっとも。そこで古本屋で文庫本を大量に買い込み(1冊10円~100円)、配布しました。幸い、それほど大きな塾でなかった為、負担はそれほどでもありませんでした。 今回、ペーパーバックで作者自身の英文に触れ、感激もひとしお。 先ほどの冒頭は教科書と同じ。一挙に懐かしい日々が思い起こされました。途中難しい語もたくさん出るのですが、短くても2度と忘れられない筋です。頭の中に残っているあらすじを頼りになんとか読了。 最愛の相手にプレゼントをするため、お互いが犠牲を払うお話ですが、そこには微塵も「悲哀さ」は感じられません。作者のスタンスは温かく、明るい。 一つには「若さ」。貧しくともお互いに愛し合っている。お金が無くても上手く工夫して暮らしている(鏡とか)。前向きな夫婦です。 もう一つはお互いが犠牲にしたものの設定。確かに唐突な話ですが、決して取り返しのつかないものでなく、クリスマス前日にお金が入る、無理ない手段になっていると思います。 My hair grows so fast.(私の髪はとても速く伸びるの) このセリフが大好き。本の前で思わずエールを送ってしまいます。 このセリフを含め、なんと、教科書と全く同じ文が5文も。教科書のリライトてすごいです。 クリスマスはなぜか優しい気持ちになれる日。 主人公の若夫婦とともにこの特別な日を過ごしてみませんか?

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  • 22 Dec
    • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

      最後のスマイルマークに読者もスマイル The Curious Incident of the Dog in the Night-Time (Vintage Contemporaries) 私が英語の本を選ぶ基準は ・邦訳が出ているもの ・表紙が面白いもの ・お気に入りのシリーズを先取りできるもの といったところです。英語力がないため。 この長いタイトルの本、『夜中に犬に起こった奇妙な事件』という題名で早川書房から邦訳が出ているらしいのですが、未読。探したんですけれども、なかなかありません。 6月くらいに書店で平積みされているのに手を伸ばしました。ご覧の通りなかなかシンプルかつユニークな表紙です。実は表紙にはもう一つ、青い表紙に犬がホークを突き刺されて仰向けになっているバージョンもありました。中身は同じなのですが、表紙で選んじゃいました。 物語は 15歳の自閉症の少年クリストファーが真夜中の散歩中、隣家の犬が殺されているのを発見。そこから犬を殺した犯人を捜そうと、様々な人と関わっていきます。 クリストファー君、実にユニークな性格をしています。 まず、この本はクリストファー君の一人称で語られるのですが、章立てが2章から始まり,3,5,7,,,と続いてゆきます。途中本人の説明もあるのですが、素数で続いているんですね。そして事件を追っていく章と、数学、学校などに関する章が交互に続いていきます。 彼には様々なこだわり(赤はいいが黄色はだめ、とか、他人に触れられるのがだめ、触れられると引っかく、、、とか)があります。 このことからもわかるように、彼は理数の天才で、本人もそのことにプライドを持っています。思考も理系そのもの。ですから英文も簡素ではっきりしています。ところどころ幼児語も入っています。ちなみに私はこれでweeとpoohという単語を覚えました。 邦訳未読の私でもどんどん読み進めてしまうのは一つにはこのわかりやすさによるところ大。 もちろん物語り自体の魅力も読者をどんどん引っ張ってくれます。決して単純な犯人探しの物語ではありません――とはいえ、ちゃんと犯人は突き止められます。意外な犯人が。――他人と交わることの苦手な少年が自ら他人の中に入り、成長していく物語です。 先ほど「ユニーク」と書きました。それは「面白い」というより「独特」といった意味が強い、「ユニーク」です。クリストファー君は、われわれが見慣れているもの、意味を感じないものにもユニークな見方をします。 ただ、人間、誰でもどこかしらユニークではないでしょうか。人それぞれ物の見方は違うはずなのに、他人に合わせているときってありませんか。 さてさて、この本はクリストファー君がはじめて書いた(という体裁になっている)物語ですから、どんでん返しのある筋立てをここで述べてしまうのは野暮。一つだけ私が強く心に残っているシーンを最後に紹介するにとどめます。 (元は英文なのですが、その要旨だけを)感動のシーン。 思わず「苦手なのはわかるけど、ちょっとだけ抱きしめさせて欲しい」という相手に 「やだ」 と拒絶し、いつものように手と手を合わせるだけにするクリストファー。 普通なら抱きしめられ、涙の感動のシーンなのでしょうが、あくまで自分を崩さないクリストファー君になぜか深い感銘を覚えてしまいました。 Vintage Books 2004年5月発行 1167円(税込) Mark Haddon

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  • 16 Dec
    • The Child Called It

      切なさ、悲しさ、怒り、気持ち悪さ、、、英語で読むとすべてが倍増! 私は、ベストセラーとか感動なんて言葉には弱い。そのような言葉を見たり聞いたりしたら、なるべくその本は読まないようにしています。 なぜなら  ①本当に泣けたら困るし(たいてい本屋で立ち読みしているため)  ②泣けなかったらがっかりだし 。。。 スミマセン、過去の記事(『『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』)のコピペです。。。 いや、でも、本当に泣いてしまったんですよ。困ったんですよ。 本屋でうずたかく平積みされたこの本(翻訳版)、ふと手にして読み始めたらとまらなくなって。涙がこぼれそうになって。 さらに鼻水までとまらなくなってしまいました。 周囲の人が私を避けて歩いているのがわかります。 でも、でも、仕方ないじゃないですか。 実の母親から想像を絶する虐待を受けた、その本人がつづっているんです。 どのくらい想像を絶しているか、というと。。。 ガスコンロで腕を焼かれ 赤ん坊の排泄物を食べさせられ ナイフで腹を刺され。。。 いや、もう書けません。思い出すと泣けてくるんです。勘弁してください。 もちろんシリーズ2冊(当時)とも買いました。また3作目も後に買いましたよ。 1冊目だけしか読んでいない方、ぜひ残り2冊も読んでください。 虐待から逃れ、里子になった後に、さまざまな葛藤を経ながら見事大人になってゆく姿が感動的です。 さて、今回紹介するのはその原書。 翻訳版を読了した当初から 「原書で読みたい、著者の生の文章が見たい」 と狂おしいほどに探し、求めました。こんなことは初めてです。 やがて大手書店の洋書コーナーにこの本が大量に並べられ、早速購入。 (また立ち読みして、恥の上塗りはいやですからね。) 1作目は虐待を受けていた幼児期~少年期の視点で書かれているため、文章もシンプルで読みやすい。中学卒業程度で読めると思います。 私は洋書は辞書なしで読みます。わからない単語がゴマンとでようが、とりあえず読み進めればちょっとはわかるさ、という主義です。 この本について言えば、翻訳をあらかじめ読んでいたこと、またその内容があまりにも衝撃的で良く覚えていたので、辞書なしでも読むことができました。ただ ただ、日本語よりも苦労して読むせいでしょうか。何回も読んで免疫がついているはずの虐待の描写が、いぜんより生々しく迫ってきます。何度本を伏せ、熱いため息をついたことか。。。 今年になって、講談社さんの英語文庫にもなりました。こちらは単語リストがついているのでさらに敷居が低くなっています。 英語の本にチャレンジしたいという方、どうですか? ペーパーバック Omaha Pr Pub Co 1993出版 ¥859(税込) 英語文庫 講談社インターナショナル 2004年8月出版 ¥788(税込)

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