自民党の谷垣禎一総裁は10日、参院選にあたり「政治生命をかける」と退路を断つ意気込みを表明した。しかし、目標議席は改選議席121の半数にはるか満たない40台と設定したため、党内でかけ声倒れとの不満を強めることになった。一方、安倍晋三元首相は10日、たちあがれ日本、日本創新党と参院選で選挙協力を行うと発表した。保守勢力の結集を掲げる安倍氏らが自民党執行部と別行動を起こしたことで、自民党内では参院選後をにらんだ動きも活発化しそうだ。(水内茂幸、田中靖人)

 「私も明日があるとは思っていない。参院選に全力をかけ政治生命をかける」

 谷垣氏は10日朝、党本部での全議員懇談会で力強く訴え、参院選に敗北した場合、総裁を辞任する考えを示唆した。しかし、その後の記者会見などで挙げた獲得議席は、3年前の参院選の37をわずかに上回る「40議席台」。参院第一党の「奪取」を掲げた党の運動方針よりも抑えた格好だ。

 慎重な背景には、菅直人政権の誕生で有権者の民主党回帰が進んだことへの不安がある。谷垣氏側近の川崎二郎国対委員長も、参院での菅内閣問責決議案の提出について記者団に「可決したら『だから民主党に過半数をくれ』という選挙になるかもしれない。こういう決断はもろ刃なのだ」と述べるにとどめた。

 全議員懇では、出席者から「今国民からみると自民党が戦っているように見えない」(下村博文衆院議員)「なぜ鳩山内閣不信任案を出さなかったのか」(稲田朋美衆院議員)と、相も変わらず執行部批判が上がった。谷垣氏はその後のBS番組の収録で「(鳩山由紀夫前首相の辞任を)1日半くらい読み誤った」と“自白”した。

 一方、超党派議連「創生『日本』」会長として都内で記者会見した安倍氏は、たちあがれ日本の平沼赳夫代表、日本創新党の山田宏党首とともに、「日本を救うネットワーク」(救国ネット)の趣意書、基本政策と「打倒民主党宣言」にそれぞれ署名した。

 平沼氏らは参院選では、日教組出身の民主党の輿石東参院議員会長が出馬する山梨選挙区で自民党候補を支援し、他選挙区でも可能な限り協力を進めていく方針を確認した。

 安倍氏は「菅政権になり現状は変わらないどころか(左傾化が)加速される危険性に直面している」と述べ、保守勢力結集の必要性を訴えた。

 安倍氏が参院選を前に平沼氏らとの連携を打ち出したことについて、安倍氏に近い自民党議員は「保守勢力が分裂していないとのイメージ戦略の意味合いが強い」と解説する。昨年の衆院選で保守派議員の落選が相次ぎ、リベラルな立場の谷垣執行部の中で保守派の存在が薄まっていることへの危機感も見え隠れする。

 この議員は安倍氏らの離党の可能性は否定したが、会合の参加者の一人は「ようやく勾玉(まがたま)がヒモでつながった。一つにするのはこれからだ」と述べ、参院選後の新党結成もありうるとの考えを示した。

【関連記事】
蓮舫氏を意識? 自民ポスターで「いちばん。」
会期延長問題「迷走している」 大島自民幹事長が批判
荒井氏事務所費疑惑で自民有志、府中の「事務所」視察
「参院選に政治生命」谷垣氏が決意 「40台には持っていきたい」
橋下「維新の会」、大阪市議7人に 自民また1人離団
電撃的な首相退陣劇の裏で何が…

国民の信頼回復にまい進=菅内閣、初閣議で基本方針(時事通信)
<東京メトロ東西線>車両から煙 一時、運転を見合わせ(毎日新聞)
首相提案の財政健全化会議、谷垣・山口氏が拒否(読売新聞)
検察のつめ甘い…裁判員裁判で初の無罪判決(読売新聞)
知人宅を「後援会事務所」=経費4200万円計上―「適切」と説明・荒井戦略相(時事通信)
AD