パラグライダートーイング | Flying Beauties -美女空中浮遊体験集-

パラグライダートーイング

この時期、例年わりとネタ切れになりがちです。


当ブログでしばしば取り上げるCM動画に関して言えば、確かに真冬のCM空中浮遊する女性出演者の登場するものは、そう多くない感じがします。たいていその手の映像は、暖かくなったシーズンに、その解放感のごときイメージとともに作成されることが多いですよね。
さらに言えば、その手の映像はダイエットや健康に関連した商品のCMによく使われる(体が軽快になるイメージを浮遊で表現するありがちなパターン)ため、そういった商品のよく売れる(肌の露出が増えていくシーズンゆえ女性たちの食指が動く)春から初夏にかけて多くなる傾向があります。


バンジートランポリンパラセーリングのような巷の一般向け空中浮遊体験アトラクションはどうかといえば、これもやっぱり冬季の活性は鈍いと言わざるを得ません。パラセールはそもそも南国の海辺で体験するっていうイメージだし、ジップラインパラグライダーの開催場所は山あいが多く、冬は雪に閉ざされエリアクローズなんてケースも珍しくない。当ブログでも何度か紹介している夏季限定のテーマパークなんてのもありますし、やはりどこからどう見ても、当ブログで扱うネタの旬は春から秋までなんだよなあ。


しかし、このブログに真のネタ切れはありません。実は冬季限定の浮遊体験ができる場所がある、という耳寄りな話題を、今回はご紹介しましょう。


長野県北部、栂池高原スキー場。一般に「白馬」と呼ばれる地域の、けっこう大きなスキー場です。この場所には大昔、かつてスキーフリークだった筆者も一度だけ訪れたことがあるんですが、それは今回の話題とは関係ないので、これ以上語りません。スキー場の公式サイトはこちら
今年1月30日から、このスキー場のゲレンデにて、パラグライダートーイングと呼ばれるアトラクションが実施されており、一般客をゲレンデ上空に舞い上がらせてくれるそうなのですよ。
イメージ動画がYouTubeに上がっていましたので、貼りつけておきましょう。




パラグライダートーイングトーイングとは、牽引という意味。つまりワイヤーやロープで引っ張ること。
モーターボートでパラシュートを引っ張るパラセーリングトーイングをしていることになりますし、空を飛ばないバナナボートや水上スキーにおける牽引も、もちろんこれに含まれます。
しかし、本来は誰かに引っ張ってもらうことを必要とせず、斜面や崖っぷちから自力で飛び出して離陸するべきパラグライダーやハンググライダーをあえて牽引によって空に飛ばすとき、それを通常のテイクオフと区別するため、明示的にこのトーイングという言葉が使われるケースが、この世界では多いんです。
当ブログの過去記事彩ほのかちゃんが体験していたのも、このトーイングによるフライトでした。ロープを引いていたのはインストラクターですが、このような人力での牽引もマンパワートーイングと呼び、最もシンプルながられっきとしたトーイングの一種です。
マンパワーでない場合、牽引には車やモーターボート、あるいは雪上ならスノーモービルあたりのモビリティマシンを使うのが常ですが、ここ栂池では地上に電動ウィンチを設置して長いワイヤーを引っ張っているようです。これは珍しいケース。それもそのはず、日本初なんだとか。


主催者によるブログがあります。こちらからどうぞ。
ブログ形式で、ときどき動画や静止画が更新され続けています。また、テレビなどのメディアに取り上げられたときの放送予定などもまめにアナウンスされていますので、チェックしておくといいかもね(とはいえ長野のローカル番組が多い)。


そもそもパラグライダーは、登山家たちが下山の手間を省くための手段として考案したものが発祥です。したがって、登山愛好家の一団とパラ愛好家のそれとが一部で重なっているのは当然のなりゆき。登山愛好家とスキー愛好家もまた一部で重なってますから、スキーとパラグライダーが融合するのだって、いわば当然のなりゆきといっていいのです。日本のパラグライダースクールの多くが春から秋に休業中のスキーゲレンデで実施されているという現実も、その理由のひとつになりましょう。
実際にパラグライダーの体験レッスンなどを受けた人ならおわかりかと思いますが、パラの離陸にはスピードが必要であり、そのために斜面を必死で駆け下りる反復練習を余儀なくされます。スキーならこの加速を難なく行うことができるわけで、そういう意味でもたいそう都合がいい。言われてみれば、パラグライダーの黎明期だった80年代後半ぐらいに、スキーを履いてのパラグライダーのレポートを、筆者も当時のテレビで何度か目にしたことがあります。
しかしそれが一般にあまり広まらなかったのは、安全面とかいろんな問題があったのでしょう。このパラグライダー黎明期は、バブル前後のスキーレジャーの全盛期と重なります。ゲレンデはいつも混雑状態で、それゆえに筆者なども危ない目に遭いました。そんなゲレンデの上空をコントロールのおぼつかないパラ初心者がふらふら飛び交い、いつなんどき頭上を襲って降下してくるかわからないのでは、危なくてしょうがない。かといってその混雑の中、1ゲレンデをまるごとパラグライダー用に確保して一般スキーヤーの進入を禁じるなんていうのも、ちょっと現実的ではない。どだい雪上パラグライダーなど無理な時代でした。
いっぽうで数年前ぐらいには、似たコンセプトでスキーを履いてパラグライダーを背負い斜面を滑り降りるスポーツが新登場したりもしました。これは各地で呼称が一貫していなかったんですが、主に「スピードパラグライダー」なんて名がついており、パラグライダーを操作しながら斜面を高速滑降し、その過程で時おり体が浮いたりもするというもの。ひとつの大フライトのためのテイクオフをスキーによる加速で行うというのとは、そもそもの目的がちょっと違います。この新スポーツには、パラグライダーについてのそれなりの経験と、スキーについてのそれと、両方が不可欠であったため、まったくの初心者が観光で体験するようなことは難しかったようです。筆者はその両方ともをちょっとずつかじってたから、このスピードパラには少なからず興味があったんだけど、結局やる機会はなかったなあ。
そんなこんなで20年以上の歳月が流れる間に一時のスキーブームはすっかり消え去り、むしろ深刻な閑古鳥にこそ悩まされている各スキー場は、かつてのブームでスキーの楽しさを覚えた子どもたちが今度は親になったこの時機、新しい設備やアトラクションを準備して人気の回復を図っているのだとか。この栂池高原パラグライダートーイングも、そのための客寄せコンテンツとして導入されたのでしょう。


ともあれ、
ぜひ雪上空中浮遊を体験してみたい!
と興味を持たれた方のために。
体験にはメールでの事前予約が必要だそうです。メルアドはここには書きませんが、上にも書いた主催者のブログに載ってますので、そちらをご参照ください。
インストラクターとふたりで飛ぶタンデムフライトのほか、初心者でも事前に講習を受けてひとりでフライトできるとのこと。2分ほどの飛行が楽しめ、料金はタンデムなら6,000円、単独なら3,000円。ちょっとお高めの印象もありますが、保険料込みということですし、スキー場のリフト券購入者は1,000円割引されるみたいです。
営業は3月末まで。平日・週末問わず体験できるようですが、不定期の休日と気象状況による中止に注意。晴れとか雨とかいう天気の動向だけでなく、風の強さと向きがこの分野では超重要なので、現地の気象と地理との両方の知識を持たぬ人間が開催の有無を事前に予想するのは簡単じゃなさそうです。このあたり、運のよしあしとして割り切ったほうがいいかもしれませんね。