苦手の交流戦は忌まわしきロッテから始まったが、幸先よいスタートを切れた。得点したイニングに荒木と井端が絡む。これこそが中日の真骨頂、二人が機能すればたとえチーム打率が最下位でも勝てるのだ。荒木が出て井端がつないで一三塁というグルーヴ感たるや。8回のそれなど、ロッテに植えつけた負のイメージも大きい。
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延長15回まで戦い抜く、まさしく死闘だった。チェンが先発で勝ちきれなかったこと、浅尾を投入して追いつかれたこと、正直この2点が中日としては痛い。確実に勝ちを計算していただろうチェンでは是が非でも星を拾いたかった。浅尾は明日以降の登板も当然予想され、その中で精神的ダメージが残っているか否か。しかしネガティブに考えても始まらない。

当然、シリーズ8戦までを見越して戦う。それでいて、目の前の1試合だけを見据える。今日の先発、吉見のできにかかっている。初戦で本来の投球ができず不甲斐ない姿を晒したが、そこはエース教育を叩き込まれ男。重圧を跳ね返すと信じられる吉見を見てきたのだ。

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千葉マリンでの3戦は大方の予想通り1勝2敗で終えた。負けた2試合での見切りのつけ具合はさすが。中継ぎを温存した形が、最後の名古屋で活きてくる。先発ピッチャーは打たれすぎ、スタメン野手は打てなすぎではあるが。

4戦目の勝った試合はしびれるゲームだった。浅尾と高橋がピンチをしのぐ場面には鳥肌が立った。客観的に見てもかなりの割合でベストバウトに選ばれるのではないだろうか。途中、負けてもいいやと、試合展開で既に満足している自分もいた。こんな素晴らしい野球を見させられたのだから。これで視聴率が取れなかったのであればそれは視聴者の質の問題だ。

さて王手をかけられた常態での名古屋。ロッテは成瀬、渡辺俊で来るのは明白である。迎える中日は順序通りまず吉見でそれを撃つのか、並びを変えてチェンが先鋒か。追い詰められたが、うっちゃれないことはない。自軍、敵軍とも選手個々の調子も分かった。ロッテの勢いと精神力の強さは賞賛に値する。しかしここからが頭脳戦である。
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日本シリーズのキーマンは荒木だと思っていた。短期決戦においてリードオフマンがいかに塁に出てかき回すか、その役割はペナントレースよりはるかに大きい。CSでも荒木は初回先頭打者で4戦中3試合で出塁した。それが勝った要因としてかなりのシェアを占めているようにとれた。

そして日本シリーズ2戦目、初戦は塁に出られなかった荒木が初回を含め3安打を放つ。打線がのれたこともそれに起因するのではないだろうか。逆にロッテの1番、西岡を黙らせることもできた。

予想外に大差がつき、投手陣も一通り登板した。しかしそれはロッテも同じ。これから戦いの場を千葉マリンスタジアムに移すが、敵地に弱い中日は苦戦を強いられるのは必至である。1勝できれば御の字。勝負を名古屋に持ち越したい。

開幕ローテーションに入った山井は目を覆いたくなるようなピッチングが続いて早々に離脱した。勝てないどころか試合を作ることしかできない。2軍に落ちて当然だった。

思えば山井はそんなことの繰り返し。ポテンシャルの高さから常に期待をされて今年で9年目になる。永遠の若手といわれる芸人のようだ。吉本興業で当てはめるなら野性爆弾が近い。いまだ年間通して1軍にいたことはない。時折、神がかったパフォーマンスを見せる投手である。魅せる投手でもある。縦に落ちるスライダーが決まる日は手をつけられない。しかし山井の先発の日は基本、捨て試合と思ったほうが、中日ファンにとって気が楽だ。なにしろ、しょっぱいゲームになる確率が高いから。

「記録より記憶に残る投手」と、引退したら言われるだろう。ジャンケンで勝って先発の座を射止め、そこで完封してしまったり、日本シリーズで8回まで完全試合をしたり、度肝を抜くことをやってのける。トランプの大富豪でいうならスペードの3のようなポジションだ。8回完全をやった際の相手投手はダルビッシュだった。日本シリーズといえばその日本ハム戦だけでなく、西武との2004年も記憶に残っている。その時もスライダーが笑えてくるほど切れていた。

そしてまた今日やらかした。ノーヒットノーランを目前にした9回、再び岩瀬の救援を仰ぐ。降板する山井を思い出すととやはり笑える。そうやって彼は中日ファンの心を鷲掴みにするのだ。本人は悔しいだろうが。
オープン戦のチケットを譲り受けたので友人を誘って東京ドームへ。巨人対中日戦。まだ開幕していないというのに応援団の声援は本番さながらで、鳴り物も入っていた。

今年の中日は厳しい。落合政権になって最も優勝から遠いシーズンだと思われる。育成の年にするもよし。試合は負けたが、新外国人ブランコの特大の一発が見られたので大いに満足した。
今年の中日のドラフト会議は大成功といえる。スカウトは高校生の大型スラッガー、大田を推していたようだが、現場を尊重して即戦力外野手の野本圭を指名してさらに抽選で引き当てた。左打ちの野手が少ない現状を打破すべく、その野本と3巡目で岩崎恭平を獲得する。2巡目の伊藤の他、高校生投手を3人指名したが、中日の投手育成能力を考えると特に何の心配もいらない。懸念材料はバッターのみと僕は思っている。

森野が内野に再コンバートされた。李が攻守ともに満足のいく働きを見せなくても突き上げがない。そんな中、野本への期待は膨らむ。荒木・井端のバックアップとして若手内野手はしのぎを削っているが誰も抜きん出ない今、岩崎へもまた期待が寄せられる。とはいっても、右も左も分からないルーキーに1年目から大きな働きを望むことはしない。来年は既存の選手に一石を投じられれば良い」。
怪我人続出の中日の中で、投手では小笠原、吉見、岩瀬辺りが開幕からコンスタントに結果を残している。昨年に一皮剥けた小笠原は今年も継続させて、小気味良いピッチングは見ていて楽しい。新人王の資格を持つ吉見は先発から中継ぎまでこなし、その殊勝で健気な姿がいとおしい。長年の勤続疲労でパフォーマンスが落ちたとしても岩瀬は、存在だけで神々しい。この3人でリレーを繋ぐのであれば、どこかで打たれたとしても文句はない。抑えて勝つのならなお酒がうまい。
サイレントKこと石井裕也がトレードされた。相手は横浜の外野手、小池ということで、残念ではあるが双方の弱点を補う形で良いトレードになりそうだ。外野を守る森野と2番を打つ井端を欠く今、即戦力として期待がかかる。ここ数年は出場機会に恵まれていないが、まだ老け込む年ではない小池。守れ、小技がきき、長打も秘めるだけに大きく化ける可能性もある。

片や横浜は投手が壊滅状態で、左の石井には活躍の場が見込める。1軍の試合に出場して何ぼの世界、彼にとってもベターだろう。
不甲斐ない試合が続く中、山本昌42歳孤軍奮闘の3連勝。頭が下がる。200勝への視界も良好である。バッテリーを組む小田とのコンビネーションもかみ合っているようだ。

クライマックスシリーズ出場権については固いと踏んでいる。しかし、リーグ制覇、日本一連覇に関してはかなり厳しいと思うことがしばしばある。それを払拭するため昌だけでなく、立浪や井上といったベテラン野手の力は必ず必要となってくる。目を覚ます頃だ。