労働・子育てジャーナリスト吉田大樹のブログ

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今朝の朝日新聞に、

「残業代ゼロ」一般社員も
~競争力会議提言へ 本人同意条件~

という記事が載っていた。

第1次安倍政権のときに検討された、
「ホワイトカラーエグゼンプション」(WE)と仕組みは同じ。

一定以上の収入がある社員に対して時間規制から外すというものだ。

前回は、政権基盤も弱かったこともあり、
当時の福島みずほ・社民党党首に「残業代ゼロ」法案と命名され、
マスコミも同調したため、改正労働基準法に盛り込むことを断念した経緯がある。

基本的な考え方としては、いいのではないかと思っている。
正直、時間管理という性格が適していない職種があるのも事実。
特に、デスクワークで、「発想力が勝負」のような仕事であれば、
時間に縛りをかけずに、適宜、発想できる環境のほうがいい。

建設業や製造業と同じように、時間管理の枠の中に入れるのは似つかわしくない面もある。


今回、提言されようとしているWEの対象者には、

・年収が1千万円以上などの高収入の社員
・高収入でなくても労働組合との合意で認められた社員

――で、いずれも本人の同意を前提としたものになるという。


(朝日新聞紙面より転載)

WEの制度が導入されることで、職場の自由度を上げて、
より働きやすい環境を作ることに寄与することもできるのではないだろうか。

また、子育て世代にとっては、成果を残すことが前提であろうが、
子育てに関わるために早く帰宅するという選択もしやすくなる可能性もある。


ただ、やはり忘れてはならないのが、長時間労働の問題だ。
この問題を切り離して、提言が先行することがあってはならない。

また、無用に業務を詰め込まれた上で、
さらに雇用についての圧力などがかかれば、
WEに本人が同意してしまうということも十分あり得ることだ。

現在、議員立法で、「過労死防止基本法」が国会に提出されている。
5月には成立する方向で動いているとのこと。
業務上で体を壊して死ぬ、もしくはうつ病などに罹患して自殺、
などという自体はあってはならないことであり、
この法律が一定の抑止力につながることを期待している。

これは労働安全衛生上の問題であり、
つまりは、命や健康を守るということを前提にことを進めるべきであろう。
そのためにも、働き方そのものを変えていくことが極めて重要だ。

その有効な手立ての1つとなり得るのが、インターバル休息だ。

実は、日本国憲法第27条第2項で、
「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」
とされているが、
実は、労働基準法のどこを見回しても、
「休息」という法令上の存在しない。

一定時間休むということについては、お昼などの「休憩時間」の規定はあるが、
休息という、より労働者が安息する時間についての規定はない。
つまりは、残業で午前様で帰っても、
翌日は7時に出勤しなければならいないことについて、
制限をかける法律がないのだ。

これでは食生活も不規則になるし、睡眠時間も確保できない。
「眠るために」と、アルコールの過剰摂取ということもあり得る。
そうなれば、生活習慣病へのリスクが高まり、
脳・心臓疾患や糖尿病などに罹患するばかりか、
最悪は過労死という結果を招いてしまうことになる。

一方、EU労働時間指令においては、
24時間につき最低連続11時間以上の休息期間を付与することとしており、
これであれば、たとえ残業したとしても、
翌日は、出社を遅らせることができるため、肉体的な負担を軽くすることができる。

今回のWEの提言により、労働基準法を改正するならば、
是非、このインターバル休息の制度も法制化してほしい。

いや、これを法制化しなければ、WEの導入などあり得ない。

今回は、政権基盤も強く、こうした提言が実際に法改正へとつながる可能性も高い。
規制を緩めるばかりではなく、
労働者の命や健康を軽んじる政策がまかり通らないよう、強く要望する。

長時間労働が与える社会への損失の大きさをもっと国が幅広く議論すべきだ。

これは企業だけではなく、少子化を招く大きな要因にもなっている。
女性が働き続けることができることも大きく関わっているし、
家族の愛情形成、父子との関係や夫婦の関係にも大きな影を落としている。
都市部における地域への関心の薄さを生み出すことにもなり、
コミュニティの破壊へと導いている。

挙げれば数限りなく弊害があるが、
社員の残業代をゼロにして競争力を上げるというだけの問題ではなく、
こうした視点からの議論も、
産業競争力会議の委員の皆さんには是非期待したい。

同じ朝日新聞の2面の時時刻刻のコーナーで、
少子化対策の一環で出生数の数値目標を掲げるというニュースもあったが、
これは、あくまでも結果に過ぎない話。
働き方の改革を含めて、実のある政策を実行すれば、
数字は自ずとついてくるものだ。
数値目標で議論している時間がもったいない。
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