ファイナンスの正論を語るコンサルタントのブログ

ファイナンスに関するニュースを独自の視点で解説します。


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ここのところ、CFOのインタビューが日経に掲載されています。CFOは、投資家には顔が売れていても、あまりメディアに出る機会はないので、興味深く読んでます。


さて今朝は三菱重工業の野島CFOのインタビューです。以下のコメントが興味深かったです。念のため付け加えておくと、私の母親が長崎出身であるため、私が「重工びいき」であることは事前にご了承ください。


 「M&A(合併・買収)や航空機事業の成長投資に備える。課題は運転資金の効率向上だ。3カ月強の売上高に当たる運転資金を抱え、(1カ月程度の)米ゼネラル・エレクトリック(GE)やシーメンスに劣る。1カ月短くすれば資金効率はかなり改善する」


 「運転資金など流動資産について、50余りある事業単位ごとに適正水準を決める作業に着手した。向こう3年で3千億円強の流動資産を圧縮したい。実現すれば借入金を増やさずに新たな投資ができる。今期末の有利子負債は9千億円と前期末比6%減らす」


最初のコメントでは、グローバル企業をベンチマークしているのがわかります。外国人投資家は、日本企業に投資するにしても、ベンチマークは自然と海外の企業になりますので(JTに物を言っているファンドが、常にグローバル企業とJTを比較しているのはご存知かと思います)、対グローバル企業という姿勢は、評価されるでしょう。


二番目のコメントは、有利子負債へのインパクトの話です。運転資金はある意味「死に金」なので、お金が死ぬ期間を短期化して、有効に使うべきです。積極的な投資を行っている企業であれば、運転資金の減少分を原資に投資ができる訳ですし、またそれで負債が減ることにもなります。


運転資金の削減は、パナソニック、ソニーなど経営危機となった企業が、行うことが多いのですが、危機のない三菱重工が運転資金管理に着手しているのは良いことです。これでは、物言う投資家も物が言えませんね。


企業価値創造の視点から

この記事では、企業価値創造の視点は書かれていませんでしたが、運転資金の削減が企業価値に与えるインパクトはかなり大きいです。PL数値よりもはるかに効果的に価値を高めてくれるので、すべての企業が運転資金の削減に取り組むべきです。なんでインパクトが大きいのか?それはPLのように税金の影響を受けないからです。企業価値は将来のFCFの現在価値と考えることができるので、FCFの公式を見てみましょう。


FCF = 営業利益 (1-税率) + 減価償却費 - CAPEX -△運転資金


PLの数値である営業利益は、税引き後になりますが、運転資金の増減は税金のインパクトはありません。ですから、減らすことができれば、そのままFCFが増えます(逆に増えれば、そのままFCFが減ります)。


しかも運転資金の削減は、社員が今までの仕事を違う視点で見つめなおせば、いくらでも可能性を見出すことができるので、たいしてコストもリスクもなく改善できます。逆に、私のようなコンサルタントで、現場の知識のない外部の人間が可能性を見出すのは困難です。


日本の経営者は、今でもPLフォーカスですが、企業価値創造のチャンスはBSに眠っています。ROEも良いですが、ROA、ROICといった資産にフォーカスを当てた指標も注意してモニターしていただきたいものです。


Naoki Tejima, CFA


今後の講演予定

10月16日(木)

日比谷カレッジ「グローバルビジネスパーソンのための株式市場塾」

投資家の「変身」に企業はどう対応すべきか(全2回)

第一回:投資家はどう変わるのか

・時間:19時~

・会場:日比谷図書文化館


10月30日(木)

日比谷カレッジ「グローバルビジネスパーソンのための株式市場塾」

第二回:企業経営の在り方

・時間:19時~

・会場:日比谷図書文化館


日本経済新聞出版社より2012年9月25日に発売されました!
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