つわりの終わりは突然に
ある一言を境に事態が急変した。
ピザが食べたい
クラッカーと水のみを食料源としていた彼女にとって、
それは明らかに変革。
ピザなんて
あれだけチーズがのっているのだ。
匂いの界王様ではないか(>_<)
「耳を疑う」とはこういうことを言うのだな。
それは、
つわりが終了したということだった。
突然、味の濃いものを欲しがるようになった。
チーズバーガーやピザなどのこってりしたもの、
からあげなどの塩コショウの効いたもの、
ジャンクフードに炭酸飲料・・・
いままでの反動のように食べ始めた。
学生の頃以来、ほとんど食べてなかった、
ピザやハンバーガーを
しばらく毎日のように食べていた。
この調子だと
映画「スーパーサイズ・ミー」の日本版が作れそうだ。
そのすごさたるや、
つわりの時期に減った体重(4.5kg)が、
わずか5日間で元に戻ったことでお分かりいただけるだろう。
つわりが終わってしばらくして、
エリーは実家からもどってきた。
約、2ヶ月ぶりの帰還。
体調も良好。
その後、
食事に出かけた。
二人で外食など、
つわりで苦しんでいるときは不可能だったので、
かなり久しぶりな感じだ。
つわりご苦労様の意も込めて、
ちょびっとだけオシャレなレストランへ行った。
エリーは相変わらず食べる気マンマン。
つわりが終わったことが
よほど嬉しいとみえる。
それが油断だった。
料理をすべて食べ終えるころ、
そのスイッチが押された。
顔色が一気に変わり、
呻吟(しんぎん)する様が見てとれた。
トイレに駆け込むエリー。
10分ほどトイレにこもった後、
彼女はようやくでてきた。
すっかり疲弊(ひへい)してしまっている。
つわりは完全には終わっていなかったようだ。
確かに全盛期とは異なり、
「食べたい」という意志があるのだ。
匂いも問題なく、好き嫌いもない。
しかし、
その意志に体はまだついていけてなかったと思われる。
その後も何回か吐いた。
食べられるのに吐く。
そのスイッチはいったいどこなのか分からぬまま
つわりは完全に終焉を迎え、
このなぞは迷宮入りとなった。
ケイゾク。