2010-06-21 05:43:04

018 ファンキー

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公太郎とは花子が飼っているパグ犬だ。

「ちょっと待てよ。お前公太郎にバッタなんか食わせてんのか?」
「ウフフフフフ」

「いや、いいから笑ってないで質問に答えろよ!」
「来週モマタ観テ下サイネー。ジャンケンポン!ウフフフフフ」

「あ、モノマネだったのか…。って、なんで急にサザエさんのモノマネし出すんだよ!」
「energy ト electronics ノ東芝ガ、オ送リ致シマシタ」

佑司が反射的に「いたちまちたー!」とタラちゃんのセリフを言おうとした瞬間、電話は切れた。

「切りやがった。なんだよその突拍子もないサザエさんは」

しかたない。ムダだとは思うが、どこかでバッタを捕まえて公太郎のところへいってみよう。
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2010-04-22 02:54:10

017 グリコ

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鳩合戦は、90年代前半に富山県で始まったとされている。
参加者は全員でマッコリ(最近は日本酒になっている会場も多いのだが)を飲み、11人ずつに分かれてサッカーを行う。その後地区中に新聞配達をし(最近は 簡略化して、赤い紙を入れるところも多い)、正座を崩さずにキムチを大量に食べマッコリを飲むという複雑な大会である。

そもそも「鳩合戦」という名は、たまたまこの地を訪れ数々の伝説を残していった韓国人、ピ・ジョンからきている。
富山の農家に農業研修をするために来日したピ・ジョンは、朝から仕事を頑張り、さらに新聞配達のバイトをした。その勤勉ぶりに人々は驚嘆しピの評価は高 まっていったが、次第にピの酒癖の悪さとスポ魂具合がわかると人々はがっかりした。とにかくめんどくさいのである。ピはほどなくして母国へ帰っていった が、その後ピがみんなの心に残して言ってくれた良いことと悪いことのどちらもを無理矢理に経験させることにより、「世の中うまく行くはずが無いしすごい人 なんていないし、期待するだけ無駄だし人の役になんてそんなにたてないし」ということを体感できるようにと始まったのがこの鳩合戦である。

始まった時でさえ4つの種目を1日かけて行う複雑な大会であったが、最近は種目がさらに簡略化・多様化・無意味化し、銀行で講座を開き1円を預金してすぐ に1円を引き出し、また1円を預金する行為を100回繰り返す、地区内の
全てのおばあちゃんの肩を1回づつ叩く、川の上流で水をコップに汲み、同時に葉っぱを流し、下流のある地点に葉っぱが到着する前に走って、しかも水をこぼ さないで到着しそのコップの水を川に戻す、など多様化している。

花子は「泥団子をとにかく固くして窓ガラスを割る」ことのプロとして恐れられていた。

「もしもしカッチョン?」
「なにヨー」
花子はいつものように素っ気ない。

「さっきのことなんだけど…おれたち茅ヶ崎にいたよね?」
「なにイテルノヨ、ハマベニイタデショ」

「でもその前は小岩にいたんじゃなかったっけ」
「アタリマエジャナイノ!」

「いやだから、それって小岩から茅ヶ崎へ移動しちゃったってことじゃないか!しかもおれ今また小岩にバック!」
「モウ祐司ソンナコトイウタメニワザワザ電話シテキタノ! ソンナ事ヨクアルコトジャナイノ!!」

「よくあることなわけないでしょいー!マジでわけわからん!マジでどういう事なのか説明してくれ!」
「エッ! モシカシテ祐司、公太郎にバッタ食べサセタコトナイノ?」

「何だって…??」

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2010-04-13 20:08:41

016 ファンキー

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短時間の間に2回の瞬間移動を経験した佑司。
江戸川沿いを歩いているのにも関わらず、数分前に浴びた茅ヶ崎の潮風のせいで、佑司の肌はベタベタだった。
頭は混乱しているし、体はベタベタ、日差しは暑い。
佑司の気分は最悪だった。


佑司はとりあえず花子に電話してみることにした。
このおかしな体験が、彼女によるところだという確信があった。

携帯の電話帳には、花子は、付き合う前の呼び名である「カッチョン」で登録してある。
佑司は花子と初めて出会った時のことを思い出した。

あれは佑司が「鳩合戦トーナメント’06」に出場した時のことだ。

当時、佑司は鳩合戦界でメキメキと頭角をあらわし、
巷では「豆鉄砲を食らったような顔の貴公子」という通り名で呼ばれていた。
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2010-04-11 22:11:01

015 グリコ

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「な、何をしたでヤンスか…」

「なに、大したことはない。21世紀になれば珍しくもなくなるだろう。これが俺の父が遺してくれた研究の成果なんだよ」

ロベルトは何が起きたのか全く理解できなかったが、それ以上に今起きたことが21世紀にはたくさん起こるに違いない、とさらりと言ってのける父の存在が不気味に思えた。さらになぜそれがヒザ小僧をすりむく作戦なのか。父は股引を履いた上にジーパンを履き、膝の関節にはローラーブレード用のプロテクターを付けているのですりむくことなんて無いのに!すぐに父が話題を今取り組んでいるショッピングセンターの外壁用石材の話に戻したため、それ以上は聞くことができなかった。そもそも、今起きたことは手品ではない。仕掛けはあるが、それが壮大なものであることはなんとなく感じられた。物理や数学の基礎すらあやういロベルトにとっては、詳しい話を聞いても到底分かるはずも無い、というあきらめもあった。暖炉の火に少し眠気を誘われながら、ショッピングセンターの入り口に置く高さ2.5メートルの「Tsurube Syo-huku-tei」像のデザインへと取り掛かろうとしていたところ

「ごおおおおおん」

部屋中が上下に激しく揺れた。父の机に積んであった本が次々に崩れた。30冊近くあった本は、先ほど消えた一番上の「改訂版 どこでもアインシュタイン」以外、すべてエロ本だった。
同時に採石場の方でものすごい音がした。

「まずい…」
ロベルトの父は一目散に駆け出し、採石現場に向かうトロッコに飛び乗り暗く長いトンネルを猛スピードで進んで行った。ロベルトを含めた他の坑夫たちは何が起きたのか分からずわたわたとしている。しかし父の殺気立った表情を見て、とりあえず後を追うのが得策と判断し次々とトロッコに乗って坑へと入っていく。

寒い、時折雪の混じる冬の夜であった。
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2010-04-08 18:55:15

014 ファンキー

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「ロベルト、リラックス!それは…かたい意思を持つためだよ」

ロベルトはその言葉の心理を探る為に、また深く考え込んだ。
すると父親はあせったように、

「いや、だから、かたいイシを持つため…ってほら、意思だから、イシで、石工職人になるっていう…ジョークっていうか、ほら…あれ?伝わらないかな?」

あきれたロベルトは

「なんでやんすか!そんなくだらないことが言いたかったんでやんすか?」

と、腕組みをしてそっぽを向いた。

父親は肩を落とし、深く息をつくと低いトーンで話はじめた。

「はは…いや、これからする話はちょっと難しい話だから…。リラックスして欲しかったんだよ。
さっきの時間の話だが、時間は一定のスピードで流れていくというのは、この4次元時空間での話だ。我々がいるこの4次元時空はひとつの膜の中に存在してる。同じような膜が何重にも存在していて、重力だけが5次元、6次元方向へと伝播し、複数の膜の間を行き来しているんだ。小さい物質エネルギーや、電磁場はこの膜上のみに存在し、多次元方向へ出ることはできないのだが…」

ろくに学校へ行かせてもらっていないロベルトには、父の話がさっぱり理解できなかった。
そもそも、仕事以外の話をあまりしない父の口から、聞き慣れない単語がすらすらと出てくることが、ロベルトにとっては少し気味の悪いことだった。
まるで、父に何か別の人物が乗り移ったかのようだった。

「…つまり、隣の膜で発生したエネルギーはこの四次元時空には影響しないということだ。しかし、重力だけが多次元方向に伝播するということは、隣の膜へ移動した身体の持つ物質エネルギーは変わらずこの膜にも存在するんだよ。これらのことはすなわち…」

「ちょっと待つでやんす!」

ロベルトはたまらず父の話を遮った。

「一体何の話をしているでやんすか!おいらには訳が分からないでやんすよ!」

父親はふっと気が抜けたように笑った。

「つまり、こういうことだ」

彼は読みかけの小説を手に持つと、

「この本から目を離すなよ」と、ロベルトの目の前にかざした。

ロベルトが少し怯えながら頷くのを確認すると、
大きく息を吸い込み、目を見開きながら叫んだ。

「わっしょい!ひざ小僧すりむき大作戦!」

次の瞬間、ロベルトの視界から本が消えていた。
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2010-04-08 00:57:59

013 グリコ

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「21世紀って知ってるか…」
父はタバコに火をつけ、ゆっくりと言い出した。
「何言ってやんすか、そんなものは知ってやんすよ」
身構えていたロベルトにとって、父の発言は半ば侮辱のように映った。
「まあまあロベルト、落ち着きなさい。21世紀になると世の中はいろいろと変わる。とたんに変わる。
おまえは時間というものが毎日同じように流れていくものだと思っているだろう」
ロベルトは一瞬たじろいだ。筋肉バカな親父から「時間」に関する問いが発せられたのは生まれて初めてだったからだ。だがなんということはない。当たり前のことを聞かれているだけだ。
ロベルトが見た親父の目は、しっかりとこちらを見ていた。軽くあしらって「そりゃそうでやんすよ」と軽く返した。

「それがそうではないんだよ。」

こいつは何を言ってるんだと思った。親父の目はいよいよ丸く開き、少し涙目になっている。手は軽く震えている。いつの間にかタバコは、ほとんど吸われないまま灰になりつつあった。
「まず、ひとつ謝らなくちゃいけない。お前にはうちの一族は代々石工だと教えてきた。俺も自分を信じこませて今日まで頑張ってきた。だが違うんだ。

俺の父は、物理学者だった。世界大戦の前、ある発見をして、それのあまりにも巨大な威力に気づいた父は自らそれを封印したんだ。そして田舎に移り、石工となった」

「そうなんでやんすか…でもなんで石工になったんでやんすか?花屋とか、トラックの運転手とか、なんでもよかったんでやんしょ」

父は少し黙り込んだ。父の目は「同じパチョンチョムス家に生まれた者なら分かるだろう」というメッセージを送っているようだった。

黙り込み、考え込むロベルトに父は言った。

「ロベルト、リラックス!それは…かたい意思を持つためだよ」

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2010-03-31 11:43:18

012 ファンキー

テーマ:ブログ
彼の家は代々石工職人で、ロベルトは当然自分も父の後を継いで職人になるものだと思っていた。

進学もせずに、毎日父親の仕事を手伝った。
それは彼にとって特に苦痛でもなく、それが自分の人生だと受け入れていた。

そんなロベルトの唯一の楽しみは、仕事終わりに教会に行き、一番後ろの席に座って祭壇の上にあるマリア像をぼんやりと眺めることだった。
男ばかりに囲まれて育った彼にとって、マリアは自分に癒しを与えてくれる唯一の存在だった。


ロベルト25歳のある冬の日のこと。
外はもの凄い吹雪で、その日は仕事が出来ず、彼は父親と二人で石炭のストーブの前に座っていた。

小説を読んでいた父親は、ふと何かに気付いたようにつぶやいた。

「そういや、まだだったか」

半分夢の中だったロベルトは、口元を拭いながら尋ねた。

「何がまだなんでやんすか?屋内でできる作業は昨日の夜のうちに済ませましたでやんすが…」

父親はロベルトの顔をまじまじと見つめ、

「いや、仕事の話じゃないんだ。お前ももう25だからな…そろそろ話しても良い頃だろう」

と言うと、ぽつぽつと語り始めた。
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2010-03-23 17:43:25

011 グリコ

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しかし、こうして改めて見てみると茅ヶ崎もいいもんだ。
夏の太陽を受けてキラキラと輝く水面。側にはビキニの姉ちゃんたち。あっまた、ピンクのビキニの姉ちゃんが俺のことサイババだと思ってる。写真ですか?良いよ。うん日本語しゃべれる。良い身体してるねえ。

佑司はサイババになったつもりになってみた。目の前の海岸が、一気にガンジス川の川岸に重なってくる。
沖のほうで溺れかかっている人がいる。聖なる川と一体になりたいのか、と微笑ましく思った。
が、一気に意識が茅ヶ崎に戻る。
「溺れてる!誰か溺れてる!」
穏やかな水面にピンクのビキニが見え隠れする。さっきの姉ちゃんではないが、なかなかナイスバディな姉ちゃんが溺れている。佑司は自分が意識するより先に、とっさに海の方へ走りだそう、と体を少し浮かせた。

次の瞬間、目の前には江戸川があった。
小岩の河川にある、金八先生のロケでおなじみの舗装された遊歩道。佑司はそこから下を流れる江戸川を見ていた。
頭がぼんやりしている。けたたましく携帯が鳴る。「キョトにツイタヨ。」という事務的な花子からのメール。
「一体どういう事なんだ…?」
小岩から茅ヶ崎へ、また小岩へ。10分とかかっていない間に2回瞬間移動し、そしてその間に花子は京都に着いてしまった。
茅ヶ崎とは違って、小岩は風がないので猛烈に暑い。空を見上げてみると、とても茅ヶ崎とは同じとは思えない太陽が照りつけていた。思わず視線を落とすと、アスファルトの周りに少し明るい部分がある。靴にも付いている。茅ヶ崎のであろう、砂だった。


花子の父、ロベルト・コワルスキー・パチョンチョムスは、1955年ローマに生まれた。
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2010-03-20 23:07:05

010 ファンキー

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佑司は自慢のアフロヘアーに付着した砂を払い取った。
その様は全盛期のサイババを彷彿とさせる姿だった。
浜辺にいた人々が導かれる様に佑司の元に集まってくる。
犬を散歩させていた老人はリードを離し、両手を合わせている。
集まって来た人をみて、佑司はやっと異変に気付く。

浜辺?
俺はさっきまで東京の小岩にいたはずだ。
ここは一体…

佑司はウェットスーツを着た女性に尋ねた。
「すいません、ここはどこですか?」
「どこって…茅ヶ崎だけど?」
女性はサイババのような男から突然日本語が発せられたことに驚いた様子だったが、
質問の意図を理解できていないような表情のまま答えた。

茅ヶ崎?
だって、ついさっきまで…

佑司は花子から殴られた直後、背中に受けたアスファルトの感触を思い出していた。

殴られて茅ヶ崎まで吹っ飛んだ…なんてことは無いよな?
だって、背中と腰にはアスファルトに叩き付けられた痛みがまだ残ってる。
倒れた直後に”移動”した…?
花子も一緒にか?

人だかりの中心で佑司は混乱していた。
佑司と花子は小岩から茅ヶ崎まで、距離にしておよそ60キロの間を、確かに”瞬間移動”したのである。
なぜこんなことが起きたのか。
その理由は花子に関係している。
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2010-03-19 12:03:43

009 グリコ

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「何かがおかしい…」次の0.3秒ほど、地面に叩きつけられ目の前の蟹と目が合うまでの僅かな時間に祐司は様々なことを考えた。江戸時代のこと。東海道五十三次と呼ばれ、広重にも描かれた華やかな東海道を三日ほどで走破したといわれる飛脚。300年が経ち、そこを走る新幹線。花子のお父さんの大きな靴。ビート・ジェネレーションとヒッピー文化とそこから生まれた絵。チベットにいると言われる、風のように走る人。
いや、そもそもやっぱり歩いて行けなくないか?

蟹と目が合ったすぐ後、祐司は遠く向こう、夏の暑い太陽を受けてキラキラと輝く湘南の海岸のできるだけ向こうを見た。

海岸沿いに走る国道1号線の道端で右手の親指を上に立てて掲げ、止まったトラックに颯爽と乗りあっという間に走り去る花子。

「嘘かよ…」

足元には、ささやかに波がよせていた。
それが花子と過ごした最後の時間だった。
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