2008-10-24 16:16:51

「トウモロコシ畑の子供たち」

テーマ:スティーヴン・キング

トウモロコシ畑の子供たち



「トウモロコシ畑の子供たち」


スティーヴン・キング
高畠文夫 訳 ナイトシフトシリーズ2 扶桑社海外ミステリー文庫


本書の短編も10篇。
前回の「深夜勤務」同様、映画化された作品もある。


「超高層ビルの恐怖」
街の顔役クレスナーの女房と不倫に落ちてしまったテニスのインストラクター、ノリス。
クレスナーは居住している超高層ビル43階のペントハウスで、ノリスにひとつの賭けを持ちかける。
それは、『このペントハウスの屋根のすぐ下に突き出ている縁(へり)を伝って、このビルを一回りするということ』(本文より引用)だった。
以前クーンツの本の時に書いたが、私は高所恐怖症だ。
賭けに挑んだノリスが幅15㎝ほどの縁を少しずつ伝っていく描写は、私にとって拷問に近いものがあった。
1984年に、キング脚本の「キャッツ・アイ」というオムニバス・ホラー映画の第2話として映画化されている。


「芝刈り機の男」
伸びてしまった庭の芝を刈るために主人公は造園業者に電話を入れた。
派遣されてきた男は常識で考えられないやり方で芝を刈り始めた。
物語の冒頭部分から何となく不穏な雰囲気がある。
その後に起こる惨劇は、うわぁーっ、やめて! という感じ。
あまり知らない業者に仕事を依頼しちゃいけないな、とか思ってしまった。


「禁煙挫折者救済有限会社」
この会社に登録すればどんなヘビースモーカーでも100%禁煙できる。いやせざるを得ないはず。
最近の世界的禁煙傾向なんか見ていると、こういうとんでもなく過激な会社が出現する可能性もある、かも?
「キャッツ・アイ」の第1話として映画化されている。


「キャンパスの悪夢」
エリザベスが理想の彼氏だと思っていた男の正体は!
ぶっちゃけてしまえばストーカーのお話なんだけど、キングの小説なのでやはりひとひねりある。
しかし、最近クローズアップされてきたとはいえ、昔からこういう輩はいたんだろうな。
ちなみにこの小説は1976年の作品です。


「バネ足ジャック」
主人公が通っていたニュー・シャロン教員養成大学で起こった連続殺人事件。
その犯人は通称「バネ足ジャック」。
犯人が捕まらないままに8年の時が過ぎ、またもや「バネ足ジャック」はニュー・シャロン大学で活動を開始した。
主人公が大学時代を回想する場面が主。
さらっと読むと何ともないが、後からじわじわ怖くなる話。


「トウモロコシ畑の子供たち」
『<ネブラスカで一番素敵な町ガトリン・人口5431>しかし、そこは大人が一人もいない奇妙なゴーストタウンだった』
裏表紙解説より引用。
不協和音が聞こえ始めた結婚生活を立て直そうと、旅行に出かけた中年夫婦に降りかかった恐怖。
文句なしに怖い。
子どもを題材にしたホラーは総じて怖い。
1984年にリンダ・ハミルトン主演、「チルドレン・オブ・ザ・コーン」というタイトルで映画化されている。
映画の出来は、う~ん。まあまあです。私は嫌いではない。


「死のスワンダイヴ」
アメリカの田舎町の農場で育った主人公ラリーと妹カトリーナ。
現在はひとかどの弁護士として生計を立てているラリーが、転送に次ぐ転送の末に手にしたカトリーナからの手紙に書かれていた、たった一つの文章。
そのたった一つの文章がとても意味があり、とても重要な役割を果たすこともある、というお話。
これはホラーではない。純然たる小説だ。


「花を愛した男」
ラスト近くまではとてもふんわり・ほんわかなストーリー。
ところが結末は!
いや、キングらしいです。


「<ジェルサレムズ・ロット>の怪」
前回の「深夜勤務」の最後と、次回に書くつもりの「呪われた町」に出てくるジェルサレムズ・ロットで起こった事件を描いた作品。
真冬のある夜バーに駆け込んできた男は、ロット村近くで車が故障し車中に妻子を置いて6マイル歩いてきたと言った。
猛吹雪の中、車を出した主人公とバーの店主と男は妻子の救出に向かう。
この話も子どもがちょっとしたキーワードになっていて非常に怖い。


「312号室の女」
末期がんの母親と息子のお話。
とても切ない。


新井素子氏による「<解説>スティーヴン・キングについての、ま、いわばエッセイみたいなもの」


最後に訳者あとがき
これは興味深かった。
ナイトシフトシリーズの中でのキングの恐怖構成の技巧・図式・テーマを語っている。



キングが「深夜勤務」のはしがきで、
「読者や聞き手を、これまでもなかったし、今後も決してありえないような世界に迷い込ませて、しばらくのあいだは、魔法にでもかけられたかのような気分にさせる。
そういった物語でなくてはならない」
こう語っていた。
訳者も分析する上でこの文章を引用していた。
私は、これがキングの真髄でありキングに魅せられる要因だと思う。
とても緻密でリアリティのある情景描写、でもストーリーはとんでもなく荒唐無稽なものも多い。
何でもない日常に突然飛び込んでくる恐怖や異形の者たち。
それらが全然違和感がないのが凄いなぁ。
私のようなキングフリークは、キングの思ったとおりに魔法にかけられている。
それでいい。
これからもキングが書く限り、魔法にかけられっぱなしでいい。

                



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