ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉/プレジデント社
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・ピラミッド型の組織と交換可能なゼネラリスト的技能に代わって、
 水平型のコラボレーションと磨きあげられた
 スペシャリスト的技能が復活しようとしている


・未来に押しつぶされない職業生活を築くために、
 どのような固定観念を問い直すべきなのか。
 私たちは三つの面で従来の常識を<シフト>させなくてはならないと、
 私は考えている。

 第一に、ゼネラリスト的な技能を尊ぶ常識を問い直すべきだ
 ・・・

 第二に、職業生活とキャリアを成功させる土台が
 個人主義と競争原理であるという常識を問い直すべきだ
 ・・・

 第三に、どういう職業人生が幸せかという常識を問い直すべきだ


・本当に興味深い事実は、たいてい細部を掘り下げてはじめて見えてくる


・トラディショナリスト(伝統主義者)世代(=1928~45年頃の生まれ)
・ベビーブーム世代(=1945~64年頃の生まれ)
・X世代(=1965~79年頃の生まれ)
・Y世代(=1980~95年頃の生まれ)
・Z世代(1995年以降に生まれた世代)


・アメリカの夫婦の離婚率は、1950年には26%だったのが、
 1980年には48%に上昇している


・ベビーブーム世代の人口が大きくふくらんだのは、主として
 第二次世界大戦後に出生率が上昇した結果だが、
 その後、先進国の多くでは、女性の教育水準の向上、
 個人の選択を尊重する考え方の広がり、医療水準の向上などが原因で、
 一人の女性か生涯に出産する子どもの数が大幅に減少した

・中国でも、1979年に「一人っ子政策」が導入


・ヨーロッパでは、
 出生率が低下したこと、平均寿命が上昇したこと、
 そして多くの国で移民を大量に受け入れていないことが原因で、
 労働力人口の高齢化が急速に進んでいる。


・2050年には、ヨーロッパ人の年齢の中央値は
 現在の37.7歳から52.3歳に上昇すると推定されている


・イタリアでは、女性の25%に出産経験がなく、
 25%が子どもを一人しか出産していない


・イタリアでは出生率が落ち込んでいるが、
 エチオピアでは逆に出生率が大きくはね上がっている。

 スウェーデンでは平均寿命が延びているが、
 すぐそばの旧ソ連圏の国々では平均寿命が短くなっている。

 アメリカのボストンで暮らすY世代が仕事に求めるのは、
 やりがいと成長の機会だが、
 上海の最も才能豊かなY世代は1000ドルの年収アップを
 目的に転職を繰り返す
 
・90歳代や100歳代まで生きるのが当たり前になれば、
 老後の蓄えが十分でなく、生活の糧を得るために
 働き口を探さなくてはならない人が増える。
 移住が盛んになれば、家族やコミュニティが引き裂かれて
 孤独にさいなまれる人が多くなる


・私たちは誰でも、自分らしく、他人に干渉されずに生きたいと思うが、
 その半面で、コミュニティに加わることにより活力を補給したいと思っている。
 インターネットなどのテクノロジーの進歩に興奮を感じる半面、
 のんびりと自分だけの時間を過ごしたいという欲求もある。
 今後、私たちは仕事の世界でこのような矛盾する思いをいだく
 機会がますます増えるだろう


先進国では総じて企業や政府、
 リーダーに対する信頼感が弱まっている
ように見える


意外なことに、ある人の生活水準が一定レベル以上に達すると、
 それ以上に生活水準が向上すればするほど、
 概して幸福感が弱まっていく傾向がある


・家族のあり方が変われば、
 異質なものに対する人々の寛容性が高まる。
 Y世代はこれまでよりコラボレーション重視の職場をつくり、 
 企業の意思決定プロセスでは女性の発言力が強まるだろう


・テクノロジーの進化とグローバル化の進展により、
 一日24時間・週7日休みなしに
 世界中の人々が一つに結びつく時代が訪れた結果、
 いつも慌ただしく仕事に追われている


・「オフィス・ハブ」


・2006年 ドイツの作家シュテファン・クライン 
 『もっと時間があったなら!-時間を取り戻す6つの方法』


・2008年 オーストラリアとフィンランドの研究チーム
 『可処分時間-新しい自由の指標』


・自分の技能を高めるためには、
 達人たちの仕事ぶりを観察し、
 自分との細かな違いを知ることが不可欠だ


・これから訪れる時代の胸躍る一面は、
 仕事の世界で情熱と創造性を発揮する機会が
 目覚ましく広がることだ


私たちは、仕事を遊びと考えたほうが仕事を愛せる


・「好きなことをして給料がもらえるなんて、最高だ!」
 と思える仕事こそ、最高の仕事なのかもしれない


・半導体の集積密度が18カ月でほぼ二倍になるという「ムーアの法則」


・時間に追われる未来を迎えないためには、
 三つの<シフト>を成し遂げることが効果的

 <第一のシフト>で目指すのは、
 専門技能の習熟に土台を置くキャリアを意識的に築くこと。
 ・・・

 <第二のシフト>は、せわしなく時間に追われる生活を脱却しても
 必ずしも孤独を味わうわけではないと理解することから始まる。
 ・・・
 強力な「自己再生コミュニティ」をはぐぐめれば、
 慌ただしく仕事に終われずに過ごす時間を確保する後押しが得られる


 <第三のシフト>
 消費をひたすら追求する人生を脱却し、
 情熱的になにかを生み出す人生に転換することである


・同僚との気軽な関係の消滅


・人類の長い歴史を通じて、私たちはきわめて社会的な動物だった。
 群れたがる動物と言ってもいい。
 ところが、テクノロジーの進化とグローバル化の進展により、
 そういう人間の自然な性質どおりに行動することが
 かつてなく難しくなる


・家族との関わりの希薄化


・職業生活と家庭生活は、互いに影響を及ぼし合う場合がある。
 というより、仕事と仕事以外の生活を完全に切り離し、
 両社がまったく混ざり合わないようにすることは、まず不可能だ


・都市化が進行する結果、故郷を離れ、知人が少なく、
 地域のコミュニティの一体感が乏しい都会で生活する人が
 ますます増える。それが人々の孤独を生み出す大きな要因になる


・国が豊かになると、移住が盛んになる面もある。
 あまりに貧しいと、いジ悠するという選択肢が存在しないのだ。
 2009年、すべてのアフリカ人のうちで、
 生まれた国以外で生活している人は3%、
 ヨーロッパで生活している人はわずか1%にすぎなかった


・不幸せに感じているとき、私たちは孤独に陥りやすい。 
 ・・・
 信頼が他者との関係と他者への期待に関わるものだとすれば、
 幸福は自分自身との関係に関わるものと言えるだろう。 
 信頼が他人との日々の関係を円滑にするうえで欠かせない要素であるように、
 幸福は自分自身の日々の行動を円滑にするうえで欠かせない


・アメリカの経済学者ロバート・レーンの研究によれば、
 自分が全般的に「とても幸せ」だと感じているアメリカ人の割合は、
 1972年には35%だったが、1994年には30%に落ち込んだ。
 ・・・
 1970~90年に、思春期の自殺者が倍増した国も少なくない


・どうすれば孤独の罠に陥らずにすむのか。
 ・・・
 三つのタイプの人的ネットワークを積極的に築いていく必要がある。
 
 第一は、「ポッセ(同じ志をもつ仲間)」
 ・・・
 第二は、「ビッグアイデア・クラウド

     (大きなアイデアの源となる群衆)」
 ・・・
 第三は、「自己再生コミュニティ」
 

・「勝者総取り」社会で広がる格差


1980年、アメリカ企業のCEOの平均年収は、
 自社の従業員の平均年収の42倍に達していたが、
 2000年にはその格差が531倍に拡大した。
 ・・・
 2025年には1000倍


・上司に細かく指示され、厳しく管理されることへの抵抗感
 「マイクロマネジメント」に否定的

 上司や同僚や仕事上の知人が自分のことをどう思っているかをもっと知りたい
 「フィードバック」を好ましく思う学生


・優秀な人材は次第に出身国を飛び出し、
 自分と同じような考え方と専門技能・能力の持ち主が集まっていて、
 豊かな生活を期待できそうな土地に移り住むようになる。
 
 その半面、収益性の高い産業が育つ余地がほとんどない地域も出現する。


・トロント大学 リチャード・フロリダ『クリエイティブ都市論』
 「デコボコな世界」

 トーマス・フリードマン「フラット化する世界」と対極


・メガシティが生まれると、周辺地域は都市と結びつきを失い、
 スラム化していく。スラム地区は「人間があり余る」
 

・2025年には、65歳以上の人が世界の人口の10%を占めるようになる。
 20歳未満の若者と65歳以上の高齢者の人口比は、
 1995年には100対16だったが、2025年には100対31になる見通しだ。

 世界の平均余も、1995年の65歳から2025年には73歳に延びる。
 国民の平均余命が50歳に満たない国は存在しなくなるだろう


・どんなにテクノロジーが発達しても解消されない問題がある。
 孤独を味わう人が増えることは避けられないと、私には思える


・ダイバーシティ(=多様性)はモノカルチャー(=単一文化)を凌駕する

・ベビーブーム世代の競争志向の発想は、
 新しい世代の協力志向の発想に取って代わられる


・専門家より正しい判断をくだせる「賢い群衆」


・2008年末の時点で、ノルウェー企業の女性取締役の割合は44.2%に上昇
 ・西ヨーロッパでは、60年以上生きる男性の割合が
 1800年には全体の25%に満たなかったが、
 2010年には90%以上に達している。

 1800年に60歳といえば老人だったが、2010年の60歳はまだ中年だ


・今後数十年の間に、仕事の世界で多くの変化が起き、
 キャリアや働き方に関する古い常識が次々と葬り去られる。
 世界中の企業でピラミッド型の組織構造が崩れ、
 全員が毎日午前9時から午後5時まで働く

 という勤務形態が揺らぐ


・キャリアや働き方に関する古い常識は窮屈だったかもしれないが、
 安心を与えてくれていたことも事実だ


・自分に合ったオーダーメイドのキャリアを実践するためには、
 主体的に選択を重ね、その選択を受け入れる覚悟が必要だ。
 ときには、ある選択をすれば、必然的になんらかの代償を
 売れ入れなくてはならない場合もあるだろう。


・私たちは、自分の職業生活に関する重要な決定を会社任せにしておけばよかった。
 それに対して、新たに生まれつつあるのは、大人と大人の関係だ


・仕事の世界で必要な三種類の資本
 第一の資本は、知的資本、

 要するに知識と知的思考力のことである
 ・・・
 未来の世界では、その他大勢から

 自分を差別化することがますます重要になる
 ・・・

 第二の資本は、人間関係資本、

 要するに人的ネットワークの強さと幅広さのことである。
 ・・・

 第三の資本は、情緒的資本、要するに自分自身について理解し、
 自分のおこなう選択について深く考える能力、
 それに気を得て、勇気ある行動を取るために欠かせない
 強靭な精神をはぐくむ能力のことである


・専門技能の連続的習得

・セルフマーケティング


・いま必要とされるのは、昔の職人のように
 自分の専門分野の技能と知識を深める一方で、
 ほかの人たちの高度な専門技能と知識を生かすために
 人的ネットワークを築き上げることだ。
 

 産業革命前とは比較にならないほど仕事の内容が複雑化しているので、
 いくら専門技能や知識があっても一人では仕事を仕上げられない。

 ひとことで言えば、私たちには、
 産業革命前の職人ののような専門性と、
 産業革命以降の分業体制の両方が求められるのだ


連続スペシャリストになることが不可欠なのである


・今後価値が高まりそうなキャリアの道筋が三つ浮かび上がってくる。

 草の根市民活動家 社会起業家 ミニ起業家


・とくに重要性を増す専門技能
 
 生命科学・健康関連 
 再生可能エネルギー関連 
 創造性・イノベーション関連 
 コーチング・ケア関連


・経済学者ロバート・ライシュ 
 「有償のケア」(コーチングやケア関連の分野) Cで始まる5つの職種
 コンピューティング
 ケアリング
 ケータリング
 コンサルティング
 コ-チング


・「ダウンシフティング」
 収入よりゆとりを大切にする生き方


・アメリカのキャリア論専門家 タミー・エリクソン
 「カリヨン・ツリー型」のキャリア
 いくつもの小さな釣鐘が連なって職業人生を形づくる


・大規模で緩やかな人的ネットワークをもっているほうが、
 多くの情報を入手できる可能性が高い


・古代ローマの賢人キケロ
 「世界で最も強い満足感をもたらす経験とは、
  地球上のあらゆる題材について、自分自身に向かって語るのと同じくらい
  自由に話せる相手をもつことである」


・友情を意味するラテン語「アミキーティア=amicitia)」の語源は、
 愛を意味する「アモル(=amor)」という言葉だ


・選択肢が広がることの恩恵に浴するためには、
 自分がどういう人間でありたいのか、
 そして恩恵と引き換えになにを諦める覚悟があるのかについて、
 厳しい選択をしなくてはならない


・ヨーロッパノ企業幹部を対象にした仕事と私生活についての調査
 男性幹部のほぼ100%が子どもをもっていたのに対し、
 子どもがいる女性幹部は60%に満たなかった。
 子どもがいる女性幹部についても、半分以上は一人しか子どもがいなかった
 ・・・
 自分が子どもを持たずに生きることになるとは
 思っていなかったと語った人が少なくない


・子どもを持たない人生を意識的に選択した女性がごく少数にすぎないということだ


・古い約束事の中核をなすのは、
 所得を増やし、消費を増やすことを追求する発想だ


・消費より経験に価値を置く生き方へ

・お金を最大の目的に働くのではなく、
 充実した経験を味わうために働くという発想に転換する


・古い仕事観のもとでは、仕事とは単にお金を稼ぐことを意味していたが、
 未来の世界では次第に、自分のニーズと願望に沿った
 複雑な経験をすることを意味するようになるのかもしれない


消費より経験を重んじる生き方への<シフト>は、

 働き方の未来の主要な特徴の一つになる可能性がある


・仕事と職場は、あなたが生きがいを見つけられる場である可能性が高い。
 その場を生かすか殺すかは、あなたの勇気と未来感覚次第だ


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 著者のリンダ・グラットン ロンドン・ビジネススクール教授は、

 英タイムズ紙で世界のトップ15ビジネス思想家に選ばれた著名論者なのですが、

 日本で訳書が刊行されるのは初めてだとか。



 彼女の働き方の予測では、ダイバーシティ化の進展によって

 会社組織は従来のピラミッドモデルを瓦解せざるを得ず、

 さらに多様なキャリアの選択肢が、私たちの訪れることになります。


 この考え方には、私もまったく同感です。


 また、キャリアの選択肢が多様になるほど、

 ネットの進化の影響もあり

 私たち1人ひとりは孤独になっていくという予測。


 この観点も、すでに私は未来ではなく現代に起きている

 組織課題だととらえており、

 2010年の夏に「脱!無縁職場シンポジウムを開き、

 警鐘を鳴らしました。


 つまり、働く個人はこれまで以上にキャリア観を磨き続ける必要があり、

 一方で、他者とのご縁や絆を意識的に創り出していく努力が求められる。


 企業・組織は、従業員同士の縁や絆を

 意図的に創り出す仕掛けを続ける必要があるということだと思います。


 テクノロジーの進化の恩恵と引き換えに、

 私たちは、これまで当たり前だったことの有難さに気づき、

 無意識に産まれていた価値を

 意識的に創り出していく努力をしていかなければならないのです。

 



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次なるはたらくパラダイムをオープンに議論する

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