前川孝雄の"はたらく論"

日本型ダイバーシティ・コミュニケーションの専門家集団(株)FeelWorks代表取締役の前川孝雄が、この国の人材育成・キャリア支援をあるべき方向に持っていく処方箋を書き綴ります。


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一昨日8/7の日経新聞に

今年5~6月に1000人以上企業を対象に263社から回答を得た

リクルートマネジメントソリューションズ「経営人材育成実態調査」の

速報が紹介されていました。



経営人材の

●「育成方法が確立されていない」

  「あてはまる」+「ややあてはまる」 82.4%


●「育成に求められるスピードが速まっている」 94.5%



●「求められる能力の質が変化している」 89.5%



●「必要な知識を付与する研修」

 「実施しており成果に満足」 24.4%

 「実施しているが成果に不満足」 40.7%

 

 ▼問題点

 「実施後のフォローを行っていない」

 「長期にわたる継続的な取り組みを行っていない」



なかなか興味深い結果です。

弊社でも幹部層のリーダーシップ開発を

手掛けることが増えているため、この実感値には頷けます。


思うに、

戦後~60年代までは、焼け野原で何もない状態。

敗戦の悔しさをバネに多数の人達が起業家精神で働かざるを得ない状況にあり、

その中でのし上がってきた人たちが名経営者となってきました。


70~80年代は、

そんなカリスマ性ある創業者、起業家たちの元で

まさに徒弟制度のような働き方で鍛えられた弟子たちが

経営者となりました。


90年代は、欧米で流行した科学的経営管理手法、

つまりMBA教育がほぼ経営人材育成にあてられてきました。


ところが、MBA教育は安定成長期には通用するものの、

パラダイムが大きく変わる現代においては、机上の空論と化したり、

そもそも、今や大学生でもMBA的な知識を持つなか、

大抵のフレームワークは陳腐化してしまった。


そして、経営人材育成の打ち手が手詰まりになってしまった、

というのが現代ではないでしょうか。


本来、経営人材は、

少しずつマネジメントやリーダーシップの修羅場を

経験し、それを振り返って血肉化していくことで

育っていきます。


つまり、経験が第一。


しかし、このアンケート調査にあるように、多くの企業に

経営人材候補の人たちに悠長に経験を積んでもらっている余裕がなくなってきている。

そこで、成長スピートを促進する学びの場が必要になる。


かつ、安定成長期から不安定成熟期に時代が変わったことで、

経営人材に求められる能力の質も、

マネジメントからリーダーシップへと大きく変わってしまった。

つまり、現場の仕事経験だけでは経営人材は育たないかもしれないということ。


そこで、この難局を乗り越えるために、

ソフトバンクアカデミア  や

FR Management and Innovation Center(FRMIC)  

のように希代の創業オーナー経営者、起業家から

直に教えを乞える場が作られたりしています。



でも、そんなカリスマ経営者がいる会社は極少です。


といって、今の大手企業経営者が優れていないわけではありません。

単に、パラダイムが大きく変化することに対峙する

経験を積んでこなかったため、求められる経営筋肉が変わっているというだけのこと。


では、どうするか。


今の潮流は、

アメリカGEで実践しているようなビッグシンカー というコンセプトのように

近視眼的にならずに、大局観、長期視点で意思決定できる

胆力を鍛えようという試みが増えています。


ホワイトカラーサラリーマンでは触れることの少ない

BOPといわれる途上国の視察をはじめとして異質の価値観とぶつかったり、

古典ともいえる哲学を学び、あらためて自身を振り返るような場。


目先のことばかり気にする現状を打破し、

人間の幅を広げる試みが増えているように思います。


もちろん、こういった試みも長期的にはじわじわ効果が出てくるはずです。


でも、さらに経営人材育成のスピードを上げるにはどうするか。


私は、大手企業の経営人材候補ほど、

個人商店や中小・零細企業のオーナー経営者、起業家に

教えを乞うべきだと思います。


JALの再建に乗り出した際に稲盛和夫さんが語った

「今の君たちは八百屋の経営も出来ない」

という言葉はあまりにも衝撃的でした。


でも、この言葉の向こうにあるのは、

町の八百屋さんの方が大手企業サラリーマンより

商売・経営ができるということ。


私自身、大手企業エリートといわれる立場から

ベンチャーを立ち上げたばかりのころは、

世の中やビジネスの仕組みがこんなにわかっていなかったのか

と自分の至らなさに愕然としました。


20年近くも、大手企業で働きながら、

何を学んできたのか、と。


なかなかうまくいかないことが続くさなか、

夜中にとほとぼと帰路につく際、

道路沿いにある老舗ラーメン屋さんをみて、

一杯700円て売りながら、ちゃんと利益を出し、

生活を成り立たせているラーメン屋さんを畏敬の念で見つめたものです。


そもそも、日本は戦後GHQが導入させた源泉徴収制度によって、

優秀だった人たちが会社員になると、

骨抜きにされてしまうシステムになっています。


残念ながら、大手企業会社員になってしまうと、

したたかに、生命力をもって稼いでいく力を鍛えられるようにはできてない。


大手企業で働く人たちは、

中小企業や個人商店を格下に考えている人がいるかもしれません。

もしそうであるならば、とんでもないことです。

厳しい環境下で、必死に経営して生き続けているのです。



そもそも経営者を育てるのに、

サラリーマンを師に仰いでいるならば、それはピントがずれています。



経営人材育成には、

大手企業ほど、小さな会社の創業者、起業家を

三顧の礼で先生に迎えて学ぶべきです。










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