2013年、大学4年生の4月
陸上競技部に所属をして
最後の大会が迫っていました。


関東インカレは絶対出られない
諦めるという話ではなく、
そもそも次元が違うので
1ヶ月でそこまでは成長できないくらい雲の上でした。

となると
横浜で行われる市の大会が
私にとっては選手として最後の大会になります。



残り一ヶ月を如何様に過ごそうか。

そんなことを思っていると
高校時代は納得をして引退をしたので
そのときの生活を
最後の一ヶ月だけは徹底しようと誓いました。


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高校生の頃、
どんな生活をしていたのか。

起床してから
ストレッチと筋トレ、
その後30分以上のjogging
起床時間はなるべく5:30前

Jogから帰ってきたら玄関の掃除

そうして学校へ行く仕度をする


だから最後の1ヶ月だけでも
やらないよりは後悔しないような気がして
もう一度あの生活をしてみることにした



ところが、
大会3日前。


なんと寝坊したのです。
起床したら8:30

10:00に家を出なくてはならないので
何を優先するべきか



「掃除をすると心が綺麗になる」
つい先週、病気が発覚してしまった祖父の
そう言っている言葉が優先的に浮かんだ



「Jogはいいや。午後に練習あるし。
掃除だけはしよう!!」


そう決めて玄関に出る


すると…


ある一人のおばあさんに話しかけられる
(以下はおばあさんが『』。私が「」。)


『すみません。H駅に行きたいのですがどのように行けばよろしいですか?』

「H駅は○○…(解説)…
けれど私の足でも20分はかかりますよ?
それならA駅だと、ここから10分もかからずに行けますがいかがですか?」

『そうなのですね。ありがとうございます。
実はお財布をなくしてしまいました。
家はT駅なのですが…
家族が夕方に仕事終わりでH駅に来るのでそれまで待っています。
行き方を教えてくれてありがとうございます。』

「そうなのですね。お気を付けてください。」


そうおばあさんを見送った
けれど数分間、掃除をしながらもおばあさんのことを考えていた。

夕方までって、
今何時?10:00にもなっていないじゃない。
あと6-7時間は最低あるよね。
しかもこんな暑い日に。


事情とか話して、住所や名前伝えて
駅員さんなり警察に
住所や名前伝えてHからT駅までワンコインあれば帰れるから
貸してもらえばいいのになー。


そんな図々しいことを考えていると
一つのことに気が付いた。


「あれ?お金を貸すのって別に駅員さんや警察である必要ないよね?
私が事情を知ったのだから、私が貸せばいいじゃない!


そう思って急いで家の中に入る。
お財布からお金を出し、玄関に向かおうとすると
ペットボトルも目に入ったので
冷えてないけど持っていった。


おばあさんの後を追う。

何気におばあさん、歩くのが速かったのだが…
追いつき声を掛ける


「すみません。
先ほどお財布をなくしたとおっしゃっていたので。
夕方までだとだいぶ時間があるので
これを受け取ってください。

このお金でT駅に帰れます。」

そう言ってペットボトルと一緒に差し出すと
おばあさんは仕切りに

『ありがとうございます。
お名前と住所を教えてください。
必ずお返しします』

「いえ、アルバイトですぐ稼げる額なので大丈夫ですよ!」


『そうですか。ありがとうございます。
助かりました。
あなたのお陰で帰ることができます。

この御恩は一生忘れません。
本当にありがとうございます。



何度も何度もお礼を言われた。
気が付いたら
なぜか私が感動をしていた。


電車代の500円と
ペットボトルなんて150円にも満たない。

1時間働けばおつりが出る額
私が友人とランチに行けば足りないけれどすっと消える額
そしてひと時の楽しみで終わってしまうかもしれない


なのにそれを必要な人に届けることで
それが650円の何百倍もの価値に
「感謝」が添えられて輝きだした



「一生忘れない」
友人と笑いながら何度か言ったことがある

けれどお互いふざけていたので何をしたのかもう忘れた。笑


今でも思い出すと嬉しすぎて涙が出る話
その感動を
本物の「ありがとう」を
「一生の忘れない御恩」を
もっともっと感じてもらえるくらいのことができる人になりたいな
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