【法廷ライブ SS元船長第2回公判】(7)

 《調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」の乗船中に負傷したとされている○○さんらを診断した母船「日新丸」の◇◇船医への弁護人の反対尋問が続く。環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」元船長のピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)は被告人席の背もたれに両ひじを置きながら、◇◇船医の証言に耳を傾ける》

 弁護人「酪酸(らくさん)による化学熱傷を診察したことはありますか」

 証人「いいえ」

 弁護人「今回が初めてでしたか」

 証人「はい」

 弁護人「2月11日の話を尋ねます。第2昭南丸のD船長(法廷では実名)から被害の状況を聞きましたね?」

 証人「はい」

 弁護人「どのような状況でしたか」

 証人「(ベスーン被告が乗った)妨害船から酪酸弾のようなものが撃ち込まれて、乗組員3人が受傷したと聞きました。目を開けられず、水で洗ったということで、今後の処置について問い合わせがありました」

 弁護人「先生はどのような指示を出しましたか」

 証人「しっかり水で洗い流すこと。そして顔の皮膚に軟膏(なんこう)を塗るように指示を出しました」

 弁護人「軟膏はどのような種類ですか」

 証人「抗生物質入りのステロイド軟膏です」

 弁護人「その軟膏は第2昭南丸に備え付けられているものですか」

 証人「はい」

 弁護人「その後、先生の方から負傷した人の状況について説明を求めたことはありますか」

 証人「私の方からは求めていません」

 弁護人「どうしてですか」

 《ベスーン被告はあごの辺りをさすりながら、証人の言葉を待つ》

 証人「緊迫した状況で船団と妨害船側がやり取りをしている中で、こちらから聞かない方がいいと思いました。何かあったら、向こうから問い合わせがくると思いました。最初の所見で、それほど深刻な状況ではないと判断しました」

 弁護人「そのような診断は不正確ではないですか」

 証人「小さな範囲の熱傷で、通常、感染(症)がなければ1週間程度で治癒します。翌日に船長から報告があり、『軽快して(快方に向かって)いる』と判断しました」

 弁護人「2月11日、本人に問診をせず、診断したことについて聞いています。その答えでいいですか」

 証人「船団では通常、船長からまとめて報告があります」

 弁護人「2月11日に○○さんを撮影した写真があるのをご存じですか」

 証人「はい」

 《弁護人が大型モニターに○○さんの顔写真を映し出す。○○さんはカメラに顔の左側をみせて、左目の下付近を指さしている。左ほほが赤くはれているのが分かる》

 弁護人「これは2月11日に撮影したものですね?」

 証人「と、思います」

 弁護人「(2月11日に)写真を日新丸に送ってもらい、診断することは考えなかったのですか」

 証人「一般的なやけどと想像できました」

 弁護人「2月13日の診断について聞きます」

 《ここで弁護人は法廷内の大型モニターに2月12日に撮影された○○さんの顔写真を映し出す。皮膚のはれがはっきり分かる11日撮影の写真とは違い、目立ったはれは傍聴席からは確認できなかった。弁護側が証人に写真を見たか尋ねた》

 証人「見たと思います」

 弁護人「2月13日に○○さんの写真を撮影し、それを送ってもらうことはしましたか」

 証人「いいえ」

 弁護人「なぜ?」

 証人「(それまでの)写真で快方に向かっていると判断しました」

 《ベスーン被告は後ろを振り返り、女性弁護士と会話を交わす》

 弁護人「(最新の)写真の視診、問診、時系列での経過診察は必要ないのですか」

 証人「11日、12日の写真を比較して、改善(回復)を確認しています」

 弁護人「改善と評価されながら、『全治1週間の見込み』の結論になったのですか」

 証人「はい」

 弁護人「どうしてですか」

 証人「やけどは表皮の壊死(えし)が起き、かさぶたができて落ち、新しい表皮で覆われるまでに1週間程度がかかります」

 弁護人「2月13日の段階で完治するまでの日数は、一般的な予測を述べたということですか」

 証人「はい」

 《診断方法の是非について質問を重ねる弁護人。ベスーン被告は一瞬、両手で顔を覆った。疲れがたまっているのだろうか》

 弁護人「14日以降は診察しましたか」

 証人「ありません」

 弁護人「全治日数について確定的診断はしていないのですか」

 証人「はい」

 《尋問をする弁護人が別の男性弁護人と交代する》

 弁護人「2月24日付の診断で『化学熱傷』としていましたが、化学熱傷はお湯、蒸気以外の原因によるやけどという意味でいいでしょうか」

 証人「いいえ。電撃熱傷もありますので、(化学熱傷とは)温熱熱傷以外のすべてではありません」

 弁護人「化学熱傷を起こす物質はかなりたくさんありますか」

 証人「はい」

 弁護人「○○さんと同じような症状を引き起こす物質は、(酪酸以外の)ほかの物質もあり得ますか」

 証人「あり得ると思います」

 《検察による最終尋問に移った》

 検察官「(弁護人による)反対尋問の中で、『最初の所見で大丈夫だと判断した』と発言されていましたね」

 証人「はい」

 検察官「(最終尋問では)2月11日について先生に質問しているとき、『最初の所見』という話をしていました。2月11日の時点では、○○さんの状況はD船長からの報告だけでしたか」

 証人「はい」

 検察官「D船長の報告から、『最初の所見で大丈夫』と判断したのですか」

 証人「はい。11日、12日のリポートをみて、そう思いました」

 《11日の診断について話をしているのに、◇◇医師は12日のリポートについて言及した》

 検察官「話を整理させてください」

 《これに対して検察官が話の流れを整理しようとする。ベスーン被告はやや前傾姿勢になり、女性通訳と証人の顔を交互に見つめていた》 =(8)につづく

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