菅直人内閣が8日に発足した。「きょう発足」として8日付で掲載した毎日を除き、5紙は9日付社説でこれを論じた。

 各紙とも既に「鳩山首相退陣」を受けた3日付の社説で、「鳩山政権の失政」を多角的に分析していた。そこで今回はどの社説も、その「失政」を教訓とすべく新内閣に注文をつけるような格好となっていた。

 例えば3日付で「内政、外交両面での場当たり的な政策と迷走は国益を損ない続けた」と鳩山政治を総括した産経は今回、「首相は日本丸の舵(かじ)取りを誤りなく行うため大きな国家戦略を描き、国民に提示することを最優先すべき」だと訴えた。

 読売も「これだけ言行不一致を重ねれば、国民が首相の言葉を信じなくなるのは当たり前だろう」(3日付)と書いたのを受け、「説明だけでは、菅首相がどういう日本を目指し、そのためにどんな具体策を講じるのかは明確でない」とし、産経同様に「骨太の国家戦略を明示」するよう促した。

 「『古い政治』の体質や小沢氏依存の党運営を、首相が放任し傍観しているだけだった」(3日付)と断じた朝日は、菅政権に新しい「『選択と説得』の政治」を求めたが、論述はどちらかといえば観念論に流れすぎたきらいがあった。

 個々の問題のうち、まず「普天間飛行場移設」については、「意思決定の迷走を繰り返さないことが、新政権の出発点」(日経)、「基地負担軽減の早道は名護市辺野古に代替施設を建設する日米合意である」(読売)といった論調のなかで、東京のみが「国外・県外移設を追求すべきだ」と書いた。

 もっとも東京は3日付でも「なぜオバマ米大統領に国外・県外移設を直談判しなかったのか」「(福島瑞穂社民党党首を)『県内移設反対』を理由に閣僚罷免するのは筋違い」と書いていたから、今さら東京の「日米合意破棄」論に驚くには当たらないかもしれない。

 消費税問題では、朝日が「(マニフェストへの)書きぶりを全国民が注視するはず」との見方を示し、読売は「消費税率引き上げなど税制改革について、自民党との本格的な協議を目指す」よう促した。

 産経は「消費税を中心とした増税の時期、規模の明示」を求めた。自民党が「10%」と明確に示す方針が伝えられていることを考えれば、菅首相も時期や規模を明示することが、最低限の責任なのではなかろうか。

 鳩山政権崩壊の要因ともなった小沢氏の「政治とカネ」の問題では、毎日が「小沢氏は最低でも政治倫理審査会で自らの問題について釈明すべきだ」、読売が「小沢氏は、少なくとも衆院政治倫理審査会に出席し、自らの疑惑について説明する責任がある」と追及した。

 疑惑解明を求めたのは産経だ。「小沢氏の証人喚問などが実現できなければ、クリーンな政治も口先だけとみなされよう」と、偽証すれば罪に問われる証人喚問への出席を求めた。菅政権が「小沢氏問題」に消極的な姿勢を見せているだけに、厳しい追及は欠かせまい。

 産経はまた、「民主党の主要な支持団体は労働組合であり、選挙で支援を求める関係は続く」「特定団体との癒着をなくし、公正な政治を進めていくことができるのか」と、“表紙”が変わってもなお「変わらぬ民主党の体質」を取り上げた。新内閣発足ということで、社説はどうしても「どう変わるか」を視座に論じられがちだが、「変わらぬ」ものに目を向けることもやはり必要だろう。(清湖口敏)

                   ◇

 ■菅内閣発足をうけた各社の社説

 産経

 ・まず国家の基軸を示せ

 朝日

 ・「選択と説得」の政治を

 毎日

 ・「脱小沢」で新しい政治を

 読売

 ・国家戦略を明確に示す時だ

 日経

 ・菅内閣はまず政治の信頼回復に全力を

 東京

 ・転換期に挑む覚悟で

 *毎日は8日付。他はすべて9日付

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