「チーム・バチスタの栄光」

  海棠尊/著  宝島社  2006年




医療過誤か殺人か、

不定愁訴外来担当の万年講師と厚生労働省の変人役人が、

患者の死の謎を追う。

現役医師だからこそ描きうる医療現場のリアリティとコミカルな展開が魅力のミステリー。




面白かったです。

医療ものということで、

専門用語バリバリで難解で堅苦しく、

大学病院だから派閥がドロドロなんだろうなぁ・・・

と思っていたのですが、

まったく違いました。


まず、主人公がボケ役で、まったく上昇志向のない

「患者の命を救うのが使命」と熱血でもなく

サボりが好きで、素直すぎる発言に減点され

ちょっと変わった医者だったので、

全体的に読みやすかった。


医学用語は確かにバンバンでてきているし、

正直、解説してくれていてもわからないところもあった。

想像がつかないというか・・・。


それでも個性的なキャラクターが動き回っていて

その難解さをライトにして、とっつきやすくなっている。


とくに個性的なのが、途中からでてくる

白鳥という変人役人(笑)

最後まで、主人公の田口医師が謎解きをするのかと思いきや、

ちゃんと探偵役がでてきました。

この探偵の変人ぶりが

東野圭吾の「ガリレオ」だったり、

島田荘司の「御手洗潔」だったり、

奥田英朗の「伊良部一郎」だったりするんですねぇ。

だから、パターンといえばパターンかな。


そしてシリーズになりそうな感じ。

白鳥のパートナーである「氷姫」が名前だけだから。

彼女を登場させて、次回も白鳥が暴れてくれるでしょう。

って勝手にシリーズ化(笑)


まずは、どのキャラクターもよかった。

高階病院長も藤原看護師が特に。

兵頭や酒井、大友、垣谷もなかなか。

桐生と鳴海はどうかと思うけれど、

こういうキャラも必要だし。

犯人探し・・・という点では甘かったけれど、

全体的に楽しめたからいいです。

時々、その田口医師のボケっぷりに

思わずプッと噴出すようなところもあった。


医療がけっこう身近に感じたかな。

こういった病院長とか医師、看護師ばかりだったらいいのに。