沖縄産のラムを頂戴しました | Okinawa通信 ⇒ 伊都国つうしん

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2010年1月。30年以上住んだ東京から引越し、沖縄生活をスタート。
その沖縄に10年暮らし、『Okinawa通信』を書きました。
が、さらに、2019年10月末に、ここ、福岡市西区・糸島近くの
「伊都国(いとこく)」の地に。

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● 沖縄、といえば ……… のいくつか目に出てくるのが、サトウキビ。 沖縄では 「ウージ」 と呼ばれています。


  沖縄の農地の半分以上がサトウキビで、沖縄本島のあちこちに、ざわわざわわのサトウキビ畑があります。



サトウキビが原料の酒、といえば、黒糖焼酎などもありますが、世界的な知名度でいえば 「ラム」 です。
沖縄の島酒は、何といっても泡盛ですが、あれは、タイの米が原料。
サトウキビ栽培が主産業の沖縄に、沖縄産の「ラム」が、実はつい最近までありませんでした。


それが、若いウチナンチューの女性が、熱意と行動力で、2004年にグレイスラムという会社を設立し、
サトウキビの島ともいわれるらしい南大東島生まれの、沖縄県産ラム 「CORCOR(コルコル)」 を誕生させたのです。



Okinawa通信-ラム1

                これが、グレイスラム社の 「CORCOR(コルコル)」。
                通常ラムの仕込みで造られた 「赤ラベル」 720ml 40度 3100円と
                アグリコールといわれる製法で造られた 「緑ラベル」 同じくで 4300円。
                …… と、けっこうないいお値段です。
                箱の絵柄を合わせると、南大東島の形になります。


                この2本を、なんと、頂戴してしまいました!



コトの発端は、古い友人Seさんからのメールで教えてもらった、『風のマジム』 という本です。


那覇の会社に勤める、酒好きを自認する契約社員の女性が、社内ベンチャー事業企画に応募。
沖縄のサトウキビから、沖縄産のラムを造りたい、という企画をなんとか通し、南大東島との折衝も果たし、自らが社長として実際にそれを成し遂げる話です。
つまり、グレイスラムの実話をもとにして書かれたものです。


小説では、本人の名も会社名も別に作られていますが、
実際には、沖縄電力に勤めていた金城祐子さん (現・グレイスラム社長) をモデルにした、彼女の奮闘ぶりをベースした物語です。



Okinawa通信-風のマジム

                    『風のマジム』 原田マハ 著。
                     講談社刊 1575円
                    社内ベンチャー企画のプレゼン方法、
                    洋酒製造のノウハウや許認可など、
                    リアリティがあって面白い。


で、この本を読んで、私は沖縄産のラムがあることを、初めて知ったしだい。



Seさん、初めて知り合った当時、彼は洋酒会社の宣伝部長でしたが、あるシングルモルトウイスキーの広告づくりのために、スコットランドまでご一緒して以来の友人です。
なので、当然ですが、彼は酒には詳しいし、食べ物にも詳しい。


そんな彼とこの本を読んだあと、「いやぁ、飲んでみたいねぇ、飲むのだったっらグリーンラベルだよねぇ」 などと、メールのやりとりをしていました。


このグレイスラム社の 「CORCOR(コルコル)」、
値段が高いこともありますが (普通のラム、よく知られているロンリコとかマイヤーズとかバカルディなどではだいだい1000円台。もちろん高いものもたくさんありますが)
小さな蒸留所で手作りしているわけなので、生産数も少なく、ここ沖縄でも、どこの酒屋でもあるというワケではありません。


● なので、私は、一計をめぐらしていました。


わが家の近く (歩いて15分ほど)に、気に入っているバーがあります。
40歳前後のウチナンチューが、オーナー兼バーテンダーでやっているバーで、彼がつくるカクテルもとてもいい。
私は月に何回 …… というより、年に何回かしか行かない、という、常連では決してないのですが、気のいいマスターとは仲がいい。


以前、これもやはりSeさんから教えてもらった、「響き (HIBIKI)12年」 という、最高にうまいウイスキーが、たまたまこのバーになかったのを知り、
私はきっと酔いながらも、延々と、いかにこのウイスキーがおいしいかを語ったのだろうと思います。

そのあとこのバーに行ってみたら、なんと、この 「響き (HIBIKI)12年」 が置かれていたのでした! 

(いやぁ、悪かったなぁ……買わせてしまって ……) とは思いつつ、マスターの気持ちがうれしかったですね。


で、その一計とは …… つまり、またこのバーで、グレイスラムの話をし、

もしなかったら (沖縄産ラムだもの) 置いてもらおう!と思っていたのでした。


一昨日の夜、ナミさんと、北谷(ちゃたん)の初めて入った焼鳥屋から、代行をたのんで、途中で電話をし、そのままそのバーへ直行。
たぶん2か月以上ぶりだったと思うけれど、マスターは快く迎えてくれました。


最初に、私は 「響き (HIBIKI)12年」 をストレートで、ナミさんはドライマティーニをたのみ、
おもむろに、グレイスラムの 「CORCOR(コルコル)」 の話を切り出しました。


当然ですが、マスターは知っていて、しかもお店にありました!
一番上の棚の奥のほうから、取り出した箱が2つ。ちょっとホコリをかぶっていたようです。
赤ラベルも緑ラベルも、まだ、口にちかいほどたっぷりと入っていました。


両方を1杯ずつグラスにもらい、それを味わいました。

あまり熟成されていない、若々しさ荒々しさはありますが、サトウキビの風味がたっぷり染みこんだ感じの、いいラムの味と香りです。 イタリアのグラッパにもちょっと似た感じ。


そんな話をしながら、どういうイキサツだったのかは憶えていないのですが、
(私はすでに1軒目でよい気持ちになっていましたので、このバーで何杯か飲み、後半は記憶が定かではない …)
なんと、マスターが、この「CORCOR(コルコル)」を、2本とも私にくれるというのです!!!!


いやぁ、どうしてなのでしょう。 (あまりお店で頼む人がいなかったからかなぁ …)
ともかくも、私は、酔った頭で、マスターの気が変わらないうちに2本とも持って帰ろう!…と考え、さっさとお勘定したのでした (笑)。


東京でも、私がさかんにイイと言った酒を置いてくれたバーはあったけれど、
気前よく、こんなふうに酒をくれたのは、初めて。


こうして、初めてその存在を知った、沖縄産のラム酒を、幸運にも、頂戴したのでした。
こんなことって、あるのですねえ。




Okinawa通信-ラム2

                  グレイスラムの 「CORCOR(コルコル)」。
                  いずれも透明無色の、ホワイトラム。


                  ラムは通常、サトウキビの絞り汁から砂糖をとった後に残った、
                  糖蜜を発酵させて造る。この通常どおりが 「赤ラベル」 のラム。

                  それに対して世界でも少ないけれど、
                  サトウキビの絞り汁そのものを原料にして造るタイプがあり、
                  「アグリコールラム」 と呼ばれる。
                  その分、サトウキビじたいの風味やコクが仕込まれる。
                  それが 「緑ラベル」。
                  Seさんや私が、「緑ラベルを飲みたい」、と思ったワケもそれ。


                   瓶の裏に、
                   「緑ラベル」は、05年7月 詰口
                   「赤ラベル」は、05年9月 瓶口 の刻印が。

                   つまりこの2本は、グレイスラム社が最初に仕込んだラムかもしれない。