東京は雨...

前にも同じ話題に触れたと思うが、改めて。
雨の降り方を表す擬音にはいろいろあるが、私が生まれ育った広島を含む西の地方と、今私が住んでいる東京を含む東日本では、微妙に違うらしい。

西では「ザアザア」という場合が多く、東では「シトシト」と表現する傾向にあったようだ。
あった...そう、恐らくこれはもう過去の話。
温暖化や、日本語そのものの表現方法の変化などなど、今はそういう違いもどうやら曖昧になっているようだ。

という訳で、今日の東京の雨は私には「ザアザア」と聞こえる、とてもしっかりした雨だ。
その雨の中...久し振りに映画を観に行った。
私の「ホーム・グラウンド」...というにはここのところすっかり足が遠のいてしまっているが...T・JOY大泉にて「007 慰めの報酬」を鑑賞。
公開してかなり経っているので、小さなスクリーンに追いやられ、上映機会も朝9:10の1回のみになってしまっていたが、それでも今日を逃すともう観られないような気がしたので「ザアザア」と降る雨の中、出掛けて行ったという訳だ。

ここ最近、すっかり足が遠のいていた劇場、しかもT・JOY大泉に限っていうと...2年2ヶ月ぶり!!
ごめんね、T・JOY大泉w。
その2年2ヶ月前に観たのが、今日観た映画の「前編」である「007/カジノ・ロワイヤル」...であるw。

久し振りの大泉...アカデミー賞の余波を受けて、年配の方たちが「おくりびと」のチケットを購入している姿が目立っていた。
それに私もつられそうになったが...グッとこらえて、今日は“007”。

本作は前作「カジノ・ロワイヤル」のラストを受けて、その1時間後に始まるという、文字通りの「続編」である。
今までのシリーズにはなかった趣で、それだけでも新鮮だし、楽しみだった。

で、いざ始まってみると...ホント、まさに続編、もろに「カジノ・ロワイヤル」直後から続いているので、先日DVDを買って何度も何度もおさらいしておいた甲斐があったw。
前作のボンドの人間性を描く描写を少なめにし、とにかく全体的にタイトでスピーディな展開。
悪く言えば、アクションの連続で常に緊張感を強いられ、休む暇がないw。
実際、上映時間も前作の2時間24分から一気に1時間46分に「短縮」。
尺の違いだけで単純に比較できないが、それでもおよそ40分も短くなっているのは、この映画があくまでも前作の「続編」で、補完的な要素を含む作品なのだということを主張していると思えなくもない。
確かにアッという間に終わってしまったという印象はあったが、そのタイト感は私は嫌いではない。

それでも前作の新生ボンドの不完全なキャラクターをちゃんと引き継いでいたようで、今までの歴代ボンドにはない荒々しさで、グイグイ突き進んでいくという印象。
前回にも増して、ジュディ・デンチ扮するMの上司としての葛藤を描き、ボンドとの「対立構造」を際立たせている。
その辺の二人の関係性で魅せる部分は面白かった。

アクションもドキドキ感充分で、画としても魅せるし、ボンド・ガール(個人的に今回はボンド・レディと言いたいw)のキャラクターも今までにないタイプで、頑張っていた。
相変わらず「エロ」の部分は消化不良だったが、これは第3作(第23作)までのお楽しみかなw。

気になったのが、手持ちカメラの多用による画面の「ブレ」で魅せるアクション・シーンが多かったこと。
私にはちょっと疲れるというかw、全体的にもう少し控えてもよかったかなと思わなくもない。
アクション大作が初めてという監督のマーク・フォースター、少し気合が入りすぎたのかなぁ。
あとは...人がたくさん死にすぎる、かなw。

ダニエル・クレイグ...今回もカッコいい。
スーツやタキシードが似合うあの颯爽とした立ち居振る舞いは、やっぱり憧れるな。
今回も冷徹で、荒々しくて、無鉄砲な新世紀ボンドのキャラクターを卒なく演じていたように思う。

前作で「リセット」された“007”は今回、本当の意味で「リセット」が完了したように思う。
2本で1本...まさに「続編」として前作を補い、“00”の称号にふさわしいボンドが誕生したのではないか。
「ラスト」にもその製作者の主張が垣間見えた。
いや...今作も解決していない謎が残っていて、これは第3作に引き継がれるのだろう。
まあつまり、第3作である意味、本物の「ボンド映画」が誕生するのではないだろうか。
またまた期待してしまう。

ただ...実際にはこの作品、あまり評判はよろしくないようだ。
ボンド・フリークには相変わらず不評だし、ジェームズ・ボンドじゃなくてもよかったんじゃないかとか、KGBの工作員のようだとか、マット・デイモンの「ボーン」シリーズみたいだとか...私は「ボーン」シリーズを観たことがないので、何とも言えないのだが、そんなに悪いかなあ、と思う。
それでも前作のインパクトにはどうしてもかなわないようにも思う。
それは「続編」の宿命であろう...でも、それを踏まえても、個人的には充分楽しめたように思うのだが...世間は厳しいねw。

余談だが、脚本を担当したのは、前作に引き続き、ブロスナン・ボンドの2作品を手掛けたニール・パーヴィスとロバート・ウェイドのコンビに、ポール・ハギスをプラスした3人。
ただ、前作では3人のラストにクレジットされていたハギスの名前が、今回はトップになっていた。
彼の株はさらに上がったようだw。

いやー、それにしても劇場はいい!
暗転し、カーテンが拡がるあの感じ、ホールの甘い匂い、そしてパンフレット...やはり映画は映画館じゃなきゃなあ。