箱化した部屋
部屋は寝るだけ、使うのはパソコンだけになっている。
このままではいけないと、部屋を片付けた。
と言っても、部屋は汚れていない。
服以外に片付けるものがない。
寝るだけだから別に困らなかった切れっぱなしの電球。
封を切ってない手紙と小包。
買ったまま袋に入った服。聞いてないCD。
未読の論文。借りたままの本。今の私。
電球を替える。手紙の封を開ける。掃除機をかける。
敷いてなかったシーツを敷く。
ベッドの上の服をクローゼット行きと洗濯機行きに分別。
桔梗もこの際植え替える。クラゲ用海水も新しくつくる。
生活感のなくなってしまった部屋。
「ここの住民は半年前に失踪したんだよ。」
危うく自分が信じるところだった。