2005-06-26

『ミリオンダラー・ベイビー』ふたたび

テーマ:映画
梅田ピカデリーで『ミリオンダラー・ベイビー』を見る。2回目なので、ラスト40分の苛酷な運命は分かっており、それゆえ余計に、それまでの何気ない描写に涙が止まらない。
たとえば、ボクシングの試合で鼻の骨を折ったマギー(ヒラリー・スワンク)と、フランキー(クリント・イーストウッド)と、スクラップ(モーガン・フリーマン)が病院の待合室にいるシーン。ガソリンスタンドで、マギーが見知らぬ少女(イーストウッドの実の娘なのだ)と微笑みを交わすシーン。赤いピックアップ・トラック(だったと思う)の中で、マギーが「また私を見捨てる?」と訊き、フランキーが「ネバー(決して)」と答えるシーン。それらは単に、そこに「優しさ」があるから心にしみるのではない。登場人物のだれもが、「負」の部分を抱えつつ優しくあろうとしているから胸を打つのだ。
特にフランキーのたたずまいは、尋常ではない。彼はいったい、封も切らずに手紙を送り返してくる娘に何をしたのか。それはついに語られないが、打ちのめされそうになる「そのこと」に耐えつつ、しわがれ声で必要最小限のことだけを喋り、人知れず神に祈り、必死でまっとうに生きようとしているフランキーの姿は、語彙が少なくて申し訳ないが「カッコいい」と言うしかないのだ。ミーハーな私は、映画の中でフランキーが着けていた腕時計が気になって仕方ない。最新号の「LEON」が時計特集だったので買ってみたが、載っていない。そうなると、ますます欲しくなる。誰か知りませんかね、あの時計。

最初に見たとき、病室でフランキーがマギーにするある「行為」を、スクラップが物陰から見ているシーンについて、あれは本当に見ていたのか、心の眼で観ていたというべきなのか、一緒に映画を見ていた友人たちと議論になった。最初私は「そこに居た」派だったが、2回目を見た今は「心の眼」派になった。3回目はどうなるだろうか。
キリスト者ではない私は、なぜ神父があんなに俗物として描かれているのかも分からないのだが、この作品が小気味よいボクシング映画を超えて、人間存在の切実なアポリアに迫ろうとしていることは分かる。だからこそ、何度でも見てみたいのだ。アカデミー賞にもいろいろ問題はありそうだが、今回ばかりは、『アビエイター』でなくこちらに軍配を上げたのは正解だったと思う。
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2005-06-25

原一男監督と浦山桐郎監督

テーマ:映画
おおさかシネマフェスティバル実行委員会・大阪市・大阪都市協会主催の『映画連続講座』に出席。今回は、原一男監督が講師で、講演のテーマは「ドキュメンタリーとフィクション」。大きすぎるテーマゆえか、お話はもっぱら原監督が98年に撮られたテレビドキュメンタリー『映画監督浦山桐郎の肖像』についてとなる。これはテレビドキュメンタリーとしては異例の長尺で、たしか2時間ぐらいあったと思う。その製作には3年もかけたとか。
『キューポラのある街』(62年)での吉永小百合、『非行少女』(63年)の和泉雅子、『私が棄てた女』(69年)の小林トシ江と浦山監督とのエピソードなど、女優と監督の関係がハンパじゃなく凄い。田中絹代と溝口健二の関係を思い出したりした。だが、そんな「スパルタ式」の演出術はやがて受け入れられなくなり、晩年の浦山監督は不遇だったという。酒を飲むと、からむ、泣くという監督のキャラクターも影響していたのかもしれない。50代半ばで亡くなったこともあり、「最後の無頼派」と呼ばれた浦山桐郎監督の人生は、最後まで映画に情熱を傾けていただけに、なんだか哀しい。
原監督と浦山監督の接触は、原監督が『太陽の子 てだのふあ』(80年)の助監督を務めた程度だったらしいが、「僕は浦山さんが好きでねえ」と原監督はよくおっしゃる。作風も異なるし、性格も違うように思うのだが、なぜ〈好き〉なのかは訊きそびれた。

講演も無事終わり、原監督を囲んでの飲み会となる。私も同講座の裏方の一人なので、末席をけがさせていただく。〈役得〉である。その席上、原監督が「10日ほど前にね、奥崎謙三さん(原監督のドキュメンタリー作品『ゆきゆきて、神軍』の主人公)が亡くなったらしいんだよ」と、衝撃発言。身寄りがなく、お骨の引き取り手もないという状況らしいが、亡くなったことは間違いないようだ。原監督の承諾を得て、その場の一人が知り合いの新聞記者に電話をかける。しばらくして、記者から原監督にコメントを求める電話がかかってくる。さすがは新聞記者だ。数十分の間に、どこかで「ウラ」を取ったらしい。かくして、翌日から「昭和天皇にパチンコ玉を撃った男・奥崎謙三死去」のニュースが、マスコミを賑わすこととなった。いわゆるニュースソースの側に自分が立ったのは初めての経験で、少し興奮した。
しかし原監督は淡々としたもので、「どこかで酔いをさまして帰るわ」と、車の助手席に乗り込まれた。今夜のうちに東京へ、車を駆って帰るのだという。いつもながら、「ご苦労様です!」。
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2005-06-23

猫に小判の『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』

テーマ:映画
22日夜、フェスティバルホールで『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』の試写を見る。このシリーズを熱心に見てこなかった私には、作品そのものより、観客や関係者の過熱ぶりが驚きであった。
だぶん混雑するだろうと思い(この判断は正しかった)、朝の10時過ぎにフェスティバルホールへ寄って、招待ハガキを座席指定券に換えてもらう。F列Lの1番。良い席なのかどうかは分からない。1番というと、隅っこではないのかという不安もよぎる。
そして夕刻、開演の30分ぐらい前に会場へ。座席指定券を持っていても、ビルの外に並ばなければならない凄さ。なんでも、4万人の応募があったうちの2700人が来ているのだとか。しかも、金属探知機によるボディーチェックまである。係員が「この先で手荷物検査があります。カバンをお持ちの方はチャックを開けておいてください」と叫んでいる。「えっ、カバンまで調べるの。嫌だなあ」と思ったが、私は調べられなかった。どうやら〈不審者〉を対象としていたようだ。
ようやくロビーに入ると、登場人物たちの扮装をした男女が十数人並んで迎えてくれる。彼らとケータイで記念撮影をしている観客もいる。私にはそういう趣味はないので、すぐに座席を探す。前から6列目の中央付近。まず文句はない。
女性の司会者が現れ、例によっておしゃべり。「サプライズ・ゲストが来てくださっています」なんて言う。で、観客席の中を通って、ダース・ベイダーがゆっくりと登場。黒いマスクを取ると、K-1ファイターの武蔵氏である。拍手と歓声。武蔵氏は「これをかぶってると階段が見えなくて、マジで怖かったっす」と笑わせる。・・・というようなお祭り騒ぎが20~30分続き、やっと映画が始まった。
オープニングの20分は、宇宙での空中(?)戦。迫力満点、まるで自分が戦闘機に乗って宙返りをしているような気分になる。「掴みはOK」というところだろう。ラスト近く、溶岩惑星でのアナキン対オビ=ワンの死闘も見応えがあった。
しかし、何を隠そう、この〈アナキン対オビ=ワン〉という名前も、会場でもらった一枚のチラシを頼りに書いているのであって、私には登場人物たちの関係や、軍や議会などの組織の関係もチンプンカンプンなのであった。最初にも書いたように、この「スター・ウォーズ」シリーズを熱心に見てこなかった報いであろう。というわけで、私には「猫に小判」の映画体験なのでした。
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2005-06-22

心機一転、ここで出直します

テーマ:映画
ほぼ2カ月、日記を更新できなかった。あとから振り返って書こうとするのだが、それにも限度がある。2週間も空けると、もう駄目みたい。そこで、この際ブログを変更して、新たな気持で出直したいと思う。そして、この2カ月間のことは、もう振り返らない。てことで、皆さんヨロシク。

さて、ようやく『ミリオンダラー・ベイビー』を見た。すごい。それ以外に言葉が出てこない。クリント・イーストウッドは、どこまで行くのか。いま75歳だから、あと何本撮れるのかという気もするが、とことん付き合いたいと思う。そして、リアルタイムで彼の作品を見られることの幸せを噛みしめたい。
「すごい」だけでは、そのすごさは伝わるまいから、思いつくままに感想を記しておく。ボクシングジムのセットがいい。ボクシングのシーンがいい。そのテンポの良さ、小気味よさ。ヒラリー・スワンクの肉体と動き(みっちりトレーニングしたことが分かる)。レモンパイのエピソードが泣かせる。後半、「イーストウッドがこれで終わるわけはない」とは思っていたが、なんとも過酷な展開に打ちのめされた。極限状況で「愛」が試される。人は、神は、彼を赦すだろうか。誰にも答えは出せまい。
今日はこれから『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』の試写会に行くので、このへんで。『ミリオンダラー・ベイビー』は、また見るつもりなので、今度はもう少しまとまったことが書けるかも。今日はまだ「感動」のただ中にいる。
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