エリクソニアン・アプローチ・ジャパンのブログ

20世紀を代表する心理療法家である
故ミルトン・H.エリクソン博士の
クライアントに対するアプローチを
研究し、現代のコミュニケーションに
役立てようと考えている人達の学びの場。


テーマ:

「伝統的アプローチとエリクソニアン・アプローチとの違いを教えてください。」

神:伝統的アプローチというのは催眠についての発想が全然違います。

伝統的アプローチによる催眠の考え方は
催眠とは「暗示」による効果であり、
催眠者がクライアントに対して外側から
言葉によってアプローチを起こすことで、
相手が変化するというのが根本的な発想です。

エリクソンは生来、色盲や失音楽症を抱え、
10代後半でポリオ(小児麻痺)を患いました。

全身が麻痺する中、子どもの頃にりんごに手を伸ばして、
それを取ったときの手の感覚を思い出したり、
赤ん坊だった妹が立ち上がろうとする姿を観察している間に、
自らに内在する力を呼び覚まして、麻痺状態を脱します。

エリクソンは、自分自身がポリオからトランスというものを自分に使って、
かつての自分を取り戻していく経験から、

トランスは自分の内側から引き出されるものであり、
それをサポートするものが「言葉」であるという発想を思っていました。

伝統的アプローチは「眠りなさい!」というような、権威的で命令調の
いわゆる催眠者がコントロールするものです。

一番の違いはコントロールが、
「内側から」なのか「外側から」なのかにあると考えます。
(内側から:エリクソニアン・アプローチ/外側から:伝統的催眠)

ですから、セッションにおいても「催眠をかける」とか「トランスに入れる」という言い方はしません。
「トランスを作る」とか「トランスに誘導する」とか「トランスへの道筋を作る」という言い方をしています。

トランスはクライアントが自ら入るものなので、
「トランスに入れる」ではなくて、「トランスに入る」ものです。
トランスに入るのは能動的なものであり、そこが全く違うところです。

そして、伝統的アプローチには「催眠に入れる」という前提があるため、「抵抗」という概念が生まれます。

「抵抗」という概念が生まれるため、
催眠の非暗示性というものが生まれてきます。
そして、催眠の非暗示性、反応性というものがあるため、
催眠の暗示によく反応する人とそうでない人を振り分けるという発想が生まれてきます。
それが権威催眠、伝統的催眠のやり方です。

エリクソンは、そもそも、内側で引き起こすと思っているため、
内側で相手の人がトランスという状態を引き起こして、
自分の中で生まれてくるものを開いていくために、
ありとあらゆることを努力しました。

その中のひとつが「間接話法」であり、
その中のひとつが「許容的な方法」だったりします。

「あなたは眠るのです」と言って、クライアントが「眠りません」と言えば、

「あなたは別に今はもうそんなすぐに寝る必要はないですよ。
でもね、そうそう、そんなにまぶたをきっちり強く開けすぎておく必要もないんです。
でも、思い切りまぶたを閉じて眠る必要もありません。
やがて目を閉じるというのは自然なことですから、まばたきの一環です。」

というような話もしていくのです。

これは、エリクソンが相手の方をなんとか、
その方向に流れていくプロセスを作っていくための努力だったのです。

ですから、暗示で「あなたは眠くなるのです」と言って
「ほらね、私が言った通り眠くなったでしょ」とは思いません。

また、そこは、よく混同されます。
「結果として、眠るということを言っているじゃないですか」と言われることがあります。

しかし、
催眠者が眠らせるという前提を持っているのか、

催眠者は眠る為の手助けをしていて、
その人が眠りを引き起こす為の関わりをしている
という違いは、本質的に違うといえます。

erickson-dif

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