でも千堂一成の

 肉体の今なら
 何をしてもいいと考え、

 今日からマナーを

 気にしてビクビク

 するのをやめようと

 決めた。
 スプーンではなく、

 スープ皿を持って

 ズズズと音を

 出しながら飲んだ。
「一成さん、

 なんですかお行儀悪い。」

 早速母親が厳しく

 叱責する。
「俺の行儀悪いですか?

 でも家なんだからもっと

 楽にしたいんです。」
 そうして立ち上がって

 向こうにある

 ローストビーフの塊を

 手で掴んで

 立ったままかじりついた。
「うめえ!」
 こんな贅沢な

 牛肉の塊なんて

 めったに食べられない

 貧乏な家で育った

 豪にとって、
 薄く切るなんて

 残念だったので、

 塊をかぶりついて

 実に爽快だ。
「一成!」
 千堂の父親に

 一喝されて、

 豪はおっかなびっくり

 肉を持ったまま座ったが、
 そのまま

 手で掴んだ肉を
 離さずに食べるので

 父親は怒鳴った。
「手で食べるのは

 やめなさい一成!!

 お前は猿じゃないんだぞ!」
「猿?」

 

 

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