7月の初めに「深部感覚」から身体がよみがえる!(晶文社)を刊行して2か月。この間に出版記念講座を東京と大阪で開講、パーソナルレッスンでも深部感覚(固有感覚)の紹介をしている。また、臨床におけるリハビリの質を高める会(構造動作研究会)では筋骨格系の解剖学的特徴と並行して深部感覚(固有感覚)の歴史的な背景から生理学の復習をしている。怪我を繰り返したり、怪我の予後が思わしくなくパフォーマンスが低下している場合などは、この深部感覚(固有感覚)が回復していないことが多い。 リハビリは怪我によって損傷した組織の修復ばかりでなく、それにともない故障した深部感覚(固有感覚)を回復することが大切なのです。
先日、内科のドクターから「生理学で深部感覚(固有感覚)を勉強したことはあるが、それを患者さんにどのようにアプローチしてよいか実感がわかない」というような相談を受けた。内科のクリニックでは内臓器の症状ばかりでなく筋肉や関節などの症状を訴える患者さんも多いそうで、専門外の整形外科学を勉強し徒手療法まで身に付けている内科のドクターもいるようだ。私はまず自身が深部感覚(固有感覚)を体感するようにすすめている。それは、いくら字面をおってみても、深部感覚を実感できない。自分の感覚に注意をむけ感覚を認識することが重要です。 患者の立場からすると、このような感覚を磨いている先生にかかれることはラッキーなことだと思います。 実はごくごく普通にみられる肩こりや腰痛といった筋骨格系疾患の症状でもこの感覚低下がみられ、増加の一途をたどる肩こりや腰痛など国民病の予防になる大切な感覚なのです。
さて、2ヶ月経ってようやく一般の方からも声が上がってきた。私もこの間にずいぶん紹介してきたが、反応が少ないので心配していた。当初、常連の方も新刊を読んで心配になったという。それは、そもそも深部感覚というよくわからないものを文章にして説明しているのだが、自分の感覚としてとらえれるようにならないと表現できないから、感覚としてとらえることができないと、よくわからないもので終わってしまうのではないか、ということだ。しかし、まじめにリハビリに取り組む方や感覚をとらえれる方たちからボツボツと意見をいただくようになってようやくスタートである。
大阪・NHK梅田教室で開講した「深部感覚リハビリトレーニング」講座では、腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・分離すべり症・坐骨神経痛・膝蓋骨複雑骨折の後遺症など、難治性の症状で困ってみえる方たちが症状の軽減、体が楽、体が軽いなどの変化を実感できた。
スポーツの指導者や選手からは、基本動作の反復練習や体のケアの方法について思いもよらない発見があったと意見をいただいた。「深部感覚リハビリトレーニング」で紹介しているアプローチは筋肉や関節の変化を求めるものではなく、固有感覚の活性化を図ることが目的になる。どうしたら基本動作が色濃く体に染み込むのか?足関節捻挫は何を回復させなければならないのか?これまで筋肉を強化、あるいは筋肉を柔軟にするためのアプローチをしてきた方がほとんど。「深部感覚リハビリトレーニング」は実際の動作に関わる体性神経(運動神経・知覚神経)の流れを滞りなく促通させるための考えに基づいているから、それに気づくことができる感覚の持ち主には新鮮なのかもしれない。
とはいえ、実際のところ「深部感覚」と聞いてもよくわからない方が多いと思う。まずは必要としている方たちに届くように引き続き紹介していきます。
8/26 Takahiroラボ
8/27 NHK青山教室「深部感覚リハビリトレーニング」
8/27 技アリ企画「深部感覚と股関節、趾レベルアップ、股割りチャレンジ」
8/28 東京・股割りワークショップ(深部感覚を高める)
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トレーニング中の怪我で末梢神経麻痺となった著者は、
どのようにして足の感覚を取り戻すことができたのか。
重力を正しく受けるリハビリ・トレーニング(晶文社)
著 中村考宏
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