産む機械から働く機械へ | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

安倍政権は女性の労働市場への参加を強く促している。女性が働きやすい環境をもっと整えましょう。企業はもっと女性を登用すべき。税金で(コストが高かろうが何だろうが)保育所を作るべし。育休・産休ももっと長い期間認めるべしと。恐るべし国家社会主義である。

いや、いつも言うように僕自身は女性が働くことに大賛成だ。専業主婦などという贅沢。旦那が稼いで主婦はランチに娘と海外旅行なんていう贅沢がこれからの時代許されるわけもないだろう。とはいえ、そのゆな専業主婦というのは豊かな時代の庶民の金持の物まねであることは歴史や世界のことを知ればすぐわかる。い¥嫌だろうがなんだろうが衰退する先進国においては女性は働かざるを得ないだろう。

もちろん、産業構造の変化も大きな要因であり、主夫が今までよりは増えるだろうし女性の稼ぎのほうが多いというパターンは増えるだろう。実際、新卒は女性の就職率のほうが高い。安倍政権がとやかく言わなくても企業は女性のほうが(少なくとも駒としては)使えると思っているのが現実だ。

安倍政権にしてみればそういった至極当然の流れに乗って自分の経済政策のアピール・女性という新たな利権の開拓を行いたいというのが本音であることは言うまでもないだろう。そして、経済成長のためには女性を働かせればよいという、むしろ専業主婦願望が高まっている時代・人々の心に逆行する政策を行っているといえる。これからは政府にとっては女性は「産む機械」兼「働く機械」ということらしい。

ところでアメリカでは女性の労働市場への参加はとうに頭打ちだ。もちろん、男性の労働市場への参加はむしろ低下し続けているが…。以前から紹介しているように高学歴の女性(=旦那の稼ぎがあることが多い)を中心に会社なんかで働いてられない。子育てや家族を大切にしたい。自分のやりたいことをやりたいというライフスタイルがより注目を集めている。まあ、必然の理ではある。というのを以前から言ってきたが最近出たハウスワイフ2.0という本が日本でも話題らしい。(参考→女性が働かなくなっているアメリカ?



ハウスワイフ2.0

高学歴の女性が「働く機械」たることに嫌気がさして専業主婦となりつつ、ネットやブログなどを通してボランティアや事業・社会をよくするための活動に励んでいる姿がそこには描かれている。

「経済成長だけがすべてではない」・「お金がすべてではない」バランスの取れた生き方がそこにはあると僕は思う。絶対水準で言えばかなり豊かになった今の時代・インターネットというとんでもない技術が生まれたおかげでできる新たなライフスタイルといえるだろう。

だが、一方で歴史を見れば富裕層の奥様は英米などではボランティア活動などに昔から精を出してきた。日本でもそのような人はたくさんいたし、あるいは、家業のサポートをやってきた奥様は多いわけだ。(結果的に旦那以上の名経営者になることも地方の中小企業などではよくある話)まあ女性でなくてもいいのだが、要はある一方の稼ぎがある程度ありある程度の豊かさが保障される場合においてはあくせく働くよりも心にゆとりをもって家族と社会のバランスをとって働くのがよいというまっとうな価値観がそこにはあるし、企業で働かなくともボランティア・文化活動・自営といった様々な手段で自分を輝かせ社会に貢献してきた女性は今も昔もたくさんいる。

今更、女性の社会参加をなどとの賜っているのを聞くと何を言ってるんだろうか?と僕は首をかしげてしまうのである。女性が社会参加していないという発言こそ経済がすべて・大企業がすべてという愚かな発想にすぎない。

「女性よ、働く機械たれ」として女性利権拡大にまい進する愚かな安倍首相にはもっと世界の情勢と人間の幸せとは何たるかを考えてほしいものである。