全国ご当地エネルギーリポート!

-エネ経会議・特派員:ノンフィクションライター高橋真樹が行くー


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早いもので2016年も年末です。今年の4月に電力自由化が始まってから、すでに8ヶ月がたちました。今年最後の全国ご当地エネルギーリポートとなる今回と次回は、電力自由化の現状がどうなっているかを踏まえて、ぼくたちがどう関わっていけばいいのか、ということを取り上げていきます。なお、電力自由化について「通販生活」にインタビューいただきましたので、こちらも合わせてご覧ください。

 

通販生活・高橋真樹インタビュー「消費者一人ひとりの選択が、自由で公平な電力システムを実現させる」

 

電力自由化は、日本の電力システムをより開かれた、効率のよいものにしていこうという「電力システム改革」の一貫として進められているものですが、その制度をどうするかについてさまざまな検討が進んでいます。中でも、そもそもはあまり電力システム改革とは関係がなかったはずの原発にかかわる問題がねじ込まれようとしています。最近ニュースで目にする「原発の廃炉費用を送電網使用料(託送料金)に乗せてしまおう」という話もその一つです。これについては今回の記事では詳しく触れませんが、パワーシフトキャンペーンのサイトを参照してください。今回は、電力会社の切り替えというポイントに絞って、今私たちにできることは何かをお話しします。

 

◆トピックス

・切り替えた家庭は少ない?

・なぜ9割以上が切り替えないの?

・手続きはめんどう?

・切り替え先はどこでもいい!?

 

◆切り替えた家庭は少ないのか?

 

ぼくは今年7月末に『そこが知りたい電力自由化〜自然エネルギーを選べるの?』という本を出版しました。そのため、全国で電力自由化について講演する機会が増えています。ぼくの電力自由化の講演会の聴衆は、貴重な休みにお金を払って参加するというエネルギー問題にかなり関心の高い方たちです。ところが、たいていの講演会場では、電力会社(小売事業者)を切り替えた方に手を上げてもらうと、50人中2人か3人、というのが実情です。それだけ熱心な方でもその程度なのだから、一般の方はなおさら行動には移していないということがわかります。

 

全体の状況としては、電力会社を切り替えた家庭はおよそ234万件(11月30日現在)になります。この数字は、全国6253世帯のうちの3.7%に当たります。地域別では東京電力管内(132万2700件)が最も多く、そのエリアでは6%台になっています。これに関西電力管内の47万6100件を加えると、全国で切り替えた家庭の77%になります。つまり、首都圏と関西圏の切り替えはそれなりに選択肢も多く、切り替えが進んでいるものの、それ以外の地域との格差がかなりあるということです。

 

全国で3.7%という数字をどう考えたらいいのでしょうか?もちろん、全体の96%以上がまだ切り替えていませんから、「少ない」と考える人が多いのはわかります。しかし、民間の研究機関(富士通総研など)が事前に予測していた数字としては、自由化が始まって1年経った段階(2017年3月)で1%程度とされていました。彼らからすると、1年も経たずに4%に迫る勢いを見せている現状は、驚くべき数字と言えるかもしれません。

また、既存の電力会社にとって脅威といえるのは、一度切り替えた家庭の多くは、もう元の電力会社には戻らないということです。 中でも東京電力管内には、原発事故を始めとして東京電力にあまり良い印象を持っていない方が多いように感じられます。その人たちがいったん新電力に切り替え、もし何かの都合でもう一度別の電力会社に変えるとしても、その中に東京電力は入らないだろうと考えられます。現在、東京電力管内で切り替えた家庭は6%ですが、東京電力にとって「二度と戻ってこない顧客」と考えると、意外と大きな存在になってくるのです。

 

もちろん東京電力はそのことをよくわかっているので、他の電力会社の管内で営業をしたり、ガス会社を始めさまざまな事業者と提携したりするなど、巻き返しに必死になっています。いずれにせよ、この切り替えた世帯の数字が増えれば増えるほど、ボディーブローのようにダメージが蓄積してくる可能性があります。切り替えた人の数、という意味ではそのような考え方もできるのです。

 

◆なぜ96%の人は切り替えないのか?


「決して少なくはない」というとらえ方はできるのですが、一方で多くの人はなぜ切り替えていないのか、ということもやはり気になるところです。最大の理由は、「よくわからない」「めんどうくさい」というものです。電力自由化により、戦後はじめて電力の購入先を選べるようになったのですが、何しろ馴染みのないことなので、どうしていいかわからない、というのが率直な反応です。

 

めんどくさい?

 

その中で、各会社が販売している電気の内訳(電源表示)が義務付けられていない、という問題も指摘されています。それによって一般の消費者は価格以外で判断ができず、結果として選択できなくなってしまっています。 その電源表示も含めて、切り替えにかかわる情報が一般の方にはまだまだわかりにくいといったことや、具体的なメリットが見えにくいということも理由になっています。

 

たとえば「価格が安くなる」といっても、現状の3%や5%程度では面倒な手続きをしてまで切り替えようというインセンティブが働かない人は多いのです。また、電気は目に見えないので電力の購入先を替えても、コンセントから届く電気の質には何ら変化がありません。このような実感の湧きにくさが、行動につながらない要因にもなっているでしょう。

 

◆切り替えはめんどう?

 

ただ一般の方が思うよりも、切り替えの手続きはとても簡単です。必要なのは毎月家庭に届く「電気ご使用量のお知らせ」という紙だけ。そこに記載されているさまざまな情報を、切り替えようとする新電力に電話やネットで伝えればおしまいです。あとの手続きはすべて新電力がやってくれますから、こちらから今まで契約していた電力会社に連絡する必要はありません。携帯電話のキャリアを切り替えるときよりもよほど簡単です。

 

手続きの他に多くの方が心配されるのは、新電力会社の信頼性です。長年にわたって電力供給を続けてきた大手電力会社に比べて、できたばかりの会社に切り替えるのは何かと不安、という気持ちはわかります。しかし、「電力会社を切り替える」といっても切り替えるのは「データとして電気を取引する相手が変わる」というだけのことです。

 

どこに替えたとしても、「発電所で生まれた電気が送電網を伝って家庭に届くという物理的な電気の流れ」はいっさい変わりません。 そのため新電力に切り替えたからといって、停電が増える心配は不要です。そもそも「電力の小売」という概念がわかりにくいので、物理的な電気の流れと取引上のデータとしての扱いが混ざってしまっている方が多いのですが、そこは分けて考えていただければと思います。

 

また、万が一その新電力会社が事業から撤退するようなことがあっても、別の新電力会社に切り替えれば済むことです。切替えに伴うリスクはほとんどない、と言っていいでしょう。

 

◆切り替え先はどこでもいい?

 

ぼくのオススメを言わせてもらえば、ぜひ一度電力会社を切り替える体験をしていただきたいと思います。今までの人生で電力会社を切り替えるなんて考えたこともなかった方がほとんどですから、その敷居はものすごく高く見えてしまっていると思います。でもこれまで述べてきたように、やってみればあっけないほどに簡単です。毎月の電気代が下がったり、自然エネルギーの割合が増えたりと嬉しいこともあります。

 

やってみてはじめてわかることもあるので、「とにかくどこでもいいので一度切り替える」という体験をすることが大事だと思います。そのうえで、自分の希望に合った電力会社はどこなのか、じっくり考えてもらえば良いのです。

 

実は電力自由化が始まる以前(2016年1月)に、ご当地エネルギーレポートでは「4月になったからといって、すぐに慌てて切り替える必要はない」とお伝えしました。実際、その後システムのトラブルや、4月時点にはなかった新しい新電力会社のプランなどが発表され、現在はだいぶ落ち着いてきています。自然エネルギーを増やしたいと考える人にとっても、それなりの選択肢が増えてきました。いったん切り替えるならそろそろ良いタイミングではないかと思うのです。

 

その上で、やはり自分は自然エネルギーを重視した会社を選びたいということなら、パワーシフトキャンペーンの新電力会社の紹介コーナーから選んでください。 最初に切り替えるときの注意事項としては1点だけで、電話やガスなど何かとセットにしたり、長期契約にしたりすると、次に切り替えるのが簡単ではなくなってしまいます。通常の電気だけ契約するプランであれば、ほとんどの新電力会社は契約期間を定めていないので、月単位でいつでもまた切り替えることができます。念のため、切り替える際にその点だけ確認いただくと良いでしょう。

パワーシフトキャンペーンのホームページの一部 

 

今回はここまで。後編ではもう一歩進めてどんな会社を選べば社会が変わるのか、そしてどんな姿勢で電力自由化と向き合っていけばよいかについて述べていきます。

 

◆関連リンク

パワーシフトキャンペーン

◆高橋真樹の新刊好評発売中!

『そこが知りたい電力自由化〜自然エネルギーを選べるの?』(大月書店)

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