全国ご当地エネルギーリポート!

-エネ経会議・特派員:ノンフィクションライター高橋真樹が行くー


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低燃費住宅の川越モデルハウスのリビング。木のぬくもりが暖かい。

 

もうすっかり冬ですね。特に朝晩の足元がスーッとする寒さはなんとかしたいものです。ぼくは普通の人より寒がりなので、毎年この時期になるとどうやって足元を温めようか必死に考えるのです。

 

我が家では、エアコンだと暖かい空気が足元まで来ないので、足元から温風が出るガスファンヒーターを使っています。また、部屋のじゅうたんを厚手のものに交換したり、暖かいスリッパに差し替えたり、デスクワークをするときは足元に湯たんぽを置くこともあります。ホットカーペットも使いますが、電気代が結構かかるので、1人しかいないともったいない気もします。そのため、冬場はどうしても電気代とガス代が高くなってしまいます。

 

ところが、こういったものが全部なくても、ずっと快適に過ごせる家があると聞いたらどうでしょうか? ぼくのような寒がりの人にとっては夢のような話ですが、「そんなうまい話はあるだろうか?」と疑う気持ちもわくはずです。これまでのリポートでも高気密高断熱の家や、窓の重要性について紹介してきたぼくも、取材には行っても実際に暮らしたことはありませんでした。

 

その快適さを実感できる方法はないかと探っていると、埼玉県川越市にある「低燃費住宅」のモデルハウスで宿泊体験ができることを知りました。「低燃費」というのは、ほとんど冷暖房などの光熱費がかからないのに、従来の家よりも快適に過ごすことのできる家という意味になります。そこで、極度な寒がりな自分でも暖かく過ごすことはできるのか?と、期待半分、疑い半分で泊まってみることにしました。

 

ということで、今回から2回にわたってリポートするのは、エネルギーをほとんど使わない「低燃費住宅」への宿泊体験の報告です。一回目の今回は、寒さ対策を中心にした冬編になります。

 

※筆者が実際に川越モデルハウスに宿泊体験したのは、2016年2月(真冬)と9月(湿度の高い日)の二度。また、埼玉県狭山市に建設中の住宅を8月(猛暑日)に訪れています。

 

◆今回のトピックス

・見えない所がスゴイ

・窓を開けずに空気を出し入れ

・真冬に足元20度。暖房ナシ!?

小江戸と呼ばれる川越の蔵造りの街並み。

◆見えない所がスゴイ

 

訪れたのは2016年2月、西武新宿線の本川越駅からバスで10分ほどのところにある低燃費住宅の川越モデルハウスです。低燃費住宅代表の早田宏徳さんらが、実際に泊まってもらうことで家の性能を体感して欲しいと考え、全国に複数のモデルハウスが建てられました。川越モデルハウスはそのひとつとして、2012年に完成したものです(※)。

 

川越モデルハウスの外見は、一見すると白い壁で四角い形をしたよくある2階建ての建売住宅のようで、驚くようなことはありません。室内に入って目立つのは、床や階段などふんだんに使われた地元の杉の無垢材でした。無垢材というのは、合板やベニヤなどではなく、伐った木材をそのまま製材したものです。部屋を歩くと、床から木の心地いい感触が伝わってきます。また、17.5畳の広めのリビングには2階に通じる大きな吹き抜けがあり、室内の空気がよく循環するようになっています。

シンプルな外観の川越モデルハウス。四角い箱型のデザインは、空気の循環を良くする。

 

省エネに大切なポイントのひとつとして、ドイツ仕様の分厚い窓があげられます。サッシはもちろん樹脂製で、ガラスはトリプルガラス(3枚)。これだけ窓が厚いと、雨戸も不要です。また、めんどうな結露が起こりにくくなり、結露に起因するカビの発生も抑えることができます。

 

 

樹脂製のサッシに3枚のガラスが入る分厚い窓。遮音性能も高い。

 

なぜ窓が断熱されていると結露しにくいのでしょうか?金属製のヤカンに冷たい氷水を入れたらヤカンの表面には大量の結露ができますが、魔法瓶に氷水を入れてもできません。それと同じことが窓でも起きているのです。 この窓の特徴は断熱性能だけではありません。

 

実はこのモデルハウスは国道沿いに位置し、常に大型トラックなどが走っているため、騒音が響いています。しかしこの分厚いサッシのおかげで、窓を閉めれば車の存在を忘れるほど静かになります。 リビングには大型の窓があるのですが、これも小さな窓と同じ厚さがあり、冷気や熱気をさえぎってくれます。

 

なお、目隠しや夏の西日対策として、窓の外にルーバーがついています。これは外にあるブラインドのようなものですが、窓の日よけは室内ではなく外でするのが基本です。これで熱を室内に入れないようになっています。

 

※川越に拠点を置く齋賀設計工務という工務店が施工。

 

サッシの断面。

 

◆窓を開けずに空気を出し入れ

 

川越モデルハウスは、交通量の多い国道沿いに位置していることで、騒音に加えて排気ガスも多めです。窓を開けて換気すると悪い空気を取り込んだりしないかと心配になります。ところが、この家は基本的には窓を開けなくても過ごせるシステムになっているのです。

窓の外の国道には常に車が走っているが、閉めていればまったく気にならない。

 

ぼくは最初にそう聞いたとき、「なんだそりゃ?」と思いました。でもこの家については、それが24時間快適さを維持するポイントになっていました。 家の4ヶ所には換気のための装置がついていて、24時間自動で空気の入れ替えをしてくれています(※)。一般的な換気扇は、ただ単に家の外と中の空気を入れ替えるので、外が寒いとその空気を取り込んでしまいます。ところがこの換気システムでは熱交換をしてくれるので、外の寒い空気がそのまま入ることはありません。

一見すると目立たない換気システム。

 

またフィルターがついているので、排気ガスなど空気の汚れは取り除いてくれています。そのため窓を閉めていても、まったく空気がよどむことはありません。むしろ適切な換気を自動的に行っているので、24時間常に新鮮な空気が家の中で循環していることになります。

 

このきれいな空気の循環は、子どもの頃からひどいアレルギー鼻炎をかかえているぼくにとっては、非常にありがたかったです。普段はよく鼻が詰まったりくしゃみをするのですが、宿泊体験した日はそれがほとんどなく、夜もグッスリ眠れ、朝すっきり起きることができました。空気感の良さをお伝えするのはなかなか難しいのですが、これもその一例ではないでしょうか。もちろん感じ方には個人差があることは付け加えておきます。

 

換気の方法や暮らしのスタイルにたった一つの正解はありませんが、日本の住まいについてのこれまでの常識をくつがえすこんな方法もあるのか、ということに驚きました。

換気システムの壁の中に入っている部分を見せるモデル。配管がいらないので交換も可能だ。

 

※川越の低燃費住宅で使われている熱交換換気システムは、第一種換気と呼ばれるタイプのもの。

 

 ◆真冬に足元20度。暖房ナシ!?

 

泊まって一番驚いたのは、やはり暖かさです。普段暮らしている家では冬の夜になると厚手の靴下をはき、その上からモコモコの足首まであるスリッパをはいて、さらにガスヒーターをつけていました。ところがこの日は、暖房を一切使っていないのに、裸足でスタスタ歩けました。

 

唯一残念だったのは、この日が家の性能を計るにはあいにくの暖かい日だったことです。2月にもかかわらず日中は20度近くまで温度が上がりました。それでも、日没後は外気温が7度前後に下がりました。ところが室内は昼間と変わらず20度を保っていました。特にスゴイと感じたのは、室温だけでなく、足元も20度だったということです。通常、暖房に頼っている部屋では、室温を20度に設定しても部屋の場所ごとに温度ムラが出て、足元がスースーして困るのですが、それがないというのは嬉しかったです。

壁の表面温度は20度。

 

床の温度もほぼ同じ20度代を保つ。

 

ちなみに、2015年〜2016年にかけてこのモデルハウスの周囲の外気温がもっとも低くなったのは1月20日で、マイナス5.6度まで下がりました。それでも 室内は17度程度を保っていたとのこと。それだけ温度を維持していたのは驚くばかりです。

最も気温が下がった2016年1月20日の外気温。朝晩はマイナスになった。

上記と同じ時間の室温。暖房器具は使用していないが、17度を下回ることはなかった。

 

暖房器具に頼らなくていい家は、他の部屋との温度差もありません。お風呂に入って脱衣所に出たときも、いつものヒヤっとする感じがまったくありません。これも人生で初めての体験でした。それまではこういう住宅の快適さについて話しでは聞いていたのですが、やはり体感して初めてわかることがたくさんあります。このような環境下では、温度差が大きいと起きやすくなるヒートショックなどもほとんど起こらないはずです。

 

ここで、ぼくの感想だけでなく、川越モデルハウスに冬に宿泊した他の方のコメントも紹介します。

 

「外はマイナス2度まで冷え込んでいますが、窓から冷気を感じることはありませんでした。冬の朝に布団かから出たくないということがなく、朝も快適に1日が始まりそうです」。(2015年12月)

 

「深夜に到着しましたが、エアコンをつけていないのに寒さを感じないことにまずビックリしました。自分は築30年の家に住んでいて、暑さ寒さ、湿気、騒音など生活の中でストレスを感じていることを、今回宿泊体験させていただいて気づかされました」。(2016年1月)

 

これらのコメントにあるように、朝が気持ちよく起きられるとか、寒さのストレスから解放される心地よさは、体験してみて始めてわかることでした。ぼくも含めて、日本に暮らすほとんどの人は「家なんてこんなもの」という固定観念を持っていると思いますが、低燃費住宅への宿泊を通じて、それがほとんど覆されたような気分になりました。

 

冬編のリポートはここまでにして、次回は夏の住宅訪問や湿気対策などについてお伝えしていきます。

齋賀設計工務の齋賀賢太郎さん。大きめの窓も断熱性能は極めて高い。

◆関連リンク

「低燃費住宅宿泊体験」の夏編はコチラ

低燃費住宅のWEBサイトはコチラ。見学や宿泊体験も可能。  

低燃費住宅代表・早田宏徳さんインタビュー(前編)  

低燃費住宅代表・早田宏徳さんインタビュー(後編)

 

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『そこが知りたい電力自由化〜自然エネルギーを選べるの?』(大月書店)

 

 

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