フィンランド出張 | いまのしゅんかん

フィンランド出張

Finland

 

在外選挙に行ってきた。

よりによって忙しい12月に選挙する意味もわからないし、なぜ総選挙に至ったのか経緯をみても理解できなかったが、それでも選挙は不可能ではない限り参加することに決めているので行ってきた。

日本はなんだかんだ政情は安定しているように思えるが、今ここでのもっぱらの話題がスウェーデンの国会総解散である。もともと、デンマークのように与党だけで過半数に達しているわけではなかったが、来年国家予算案の国会審議で、前選挙で急に議員を増やした極右政党の賛成票を得ることができず、過半数割れになってしまったそうである。デンマークは、リベラル側が与党のときには支持党である極右政党のごきげんとりをし、言われるままに外国人対策締め付けに走りながら、同時にリベラル党の政策もうまく賛成するよう合意させていたが、スウェーデンはもともと極端なナショナリズムをタブーとする国で、うまく極右政党を操ることができなかったのだろうと思われる。

しかも今、シリアからの難民がスウェーデンに多数流入しており、それが国家予算にも多少ストレスを与えていると考えられ、来年3月の総選挙ではますます極右政党の得票が増大するのではないかとも予想される。そうなると、いよいよスウェーデンでも外国人にやさしくない国になるのか、、わからないけれど、ともかく今北欧での状況は変わってきている。

デンマークでも、政権が変わり極右政党が支持党でなくなったにもかかわらず、外国人締め付けは厳しくなっていると感じる。友達が教育を受けている分野は、仕事のポジティブリストから外され、その知らせの手紙をみせてもらったところ、どうもポジティブリストの改編は移民局によるのではなく、労働局が行っており、常にデンマーク人の分野ごとの失業率などの状況を照らし合わせながら変更しているらしい。

失業率が低く、むしろ労働者が不足している分野はポジティブリストに入っているが、そうでない仕事はいくら高度の分野であっても入っていない。わたしのような化学エンジニアはもう相当しないのである。

 

ともかく、昨日おとといとわたしが2年間主に携わっていたプロジェクトの最終ミーティングのため、フィンランド・ヘルシンキに1泊出張に行ってきたこともあり、ハードな数日間だった。

出張の前日の水曜日は、一日実験をして仕事のあとデンマーク語に行き、そのあと王立劇場まで友達とバレエを観に行き、帰宅は0時。

出張当日は5時起き。8時の便でヘルシンキに飛び、現地時間11時(デンマーク時間10時)にフィンランドの会社に到着、ランチのあとから17時までミーティングと会社見学をし、18時ころホテルに到着、20時からディナー、1時まで飲んだ。

昨日は9時~14時までミーティング、1520分の便でデンマークには16時に戻り、自宅には17時に帰ってきたが、ヘトヘトだったので簡単な食事をすませてすぐに就寝。

今朝は、810時まで新聞配達をし、そのあと在外選挙のために日本大使館に行ったのである。

 

出張はいろいろ複雑な感情もまじったけれど、楽しかった。

フィンランドを訪れるのは初めてで、ディナー前の自由時間のときに思いのまま歩きまわったのだけれど、思った以上にほかの北欧の首都と風情を異とするのでフィンランド人になぜなのか聞いてみたところ、やはり第二次世界大戦のときロシアからの爆撃で相当ダメージを受けたらしい。

ベルリンみたいに、モダンでもなく、かといって古くもなく、戦争の影響だとは思ったけれど、ベルリンはまだきれいなところもあるのに、ヘルシンキは本当に見当たらない。フィンランド人にも「まったく美しくないでしょ?」と言われ、返すことばもなかった。

フィンランドは第二次世界大戦に参加したと認識してなかったけれど、スウェーデンとロシアに長年支配されてきたという過酷な歴史をもつ国である。

また、その散策のときにムーミンショップを発見してしまい、思わず物色してしまった。

そのことをフィンランド人に言ったら、大人でもムーミンカップを使うという。確かに、客はツーリストでもない普通の大人のフィンランド人ばかりだった。それに、ムーミン小説は実は子供向けではないと。大人しか理解できない深いメッセージを何気に含んでいると聞き、オリジナル版を読んでみたいと思った。

 

プロジェクトミーティングは、成果といえるものがなかったので、どういうふうに結果をみせるかという話し合いに終始したが、つくづく言い合ったのは、結果を出すのに2年間はあまりに短かったと。やってみて、初めてわかることもたくさんあったと。

フィンランドの会社とも相当一緒に仕事をしてきたが、結果はともかく、彼らもこのプロジェクトを通じて学ぶことはたくさんあったと言っていた。

最初一緒にプロジェクトファンドのアプライをしようと話をもちかけたものの、いったん断られてしまったが、今回新たな提案をもっていったところ興味を示してくれたので、もしかしたらまた一緒に仕事をすることになるかもしれない。

 

フィンランドとのプロジェクトのほかに、あと2つほど新しいプロジェクトを考えている。

ひとつは、やはりファンドのアプライで、その枠は日本のパートナーを含むことを好ましいとしており、今その相手を探している最中なのだが、偶然交流会で知り合った日本人の方の分野が関係しているので、来週会って話をする予定である。

もうひとつは、その2年間のプロジェクトでパートナーだった会社との共同プロジェクトである。わたしはどうかな~と思っているけれど、とてもいいひとたちなので、もしかしたら、、と期待している。

 

このプロジェクトは、期待していた結果は出なかったけれど、この2年間、本当にいい経験をさせてもらったと思う。

上司がいい意味で丸投げしてくれるひとだったので、よりイニチアティブをとるよう仕事の姿勢を変えさせられたし、専門分野だけでなく、プロジェクトの運営などより広い視野で仕事を取り組むことができた。

こうして自ら新しいプロジェクトの企画をし、ファンドのアプライに挑戦しようとしているのも、この経験があってこそである。

この2年間で、いろんなことに挑戦し成し遂げた自信がついたからこそ、経験のないことにも物怖じしなくなったのだと思う。

 

プロジェクトがあと数週間で終わる予定でさみしいかぎりだが、同時に新しい仕事も待っており、わくわくもしているのである。