ヤマダ電機が2連覇!
    中盤から独り旅で圧勝

 

 この日、女子駅伝が東西でおこなわれた。
 東では東日本女子駅伝、西では本大会である。
 両駅伝ともにメジャーな大会ではなく、本来は本時評に採りあげないのだが、ローカル大会とはいえ、目が離せない。ヤマダ電機、九電工というような女子のチャンピオンシップに出場する2チームが登場するからである。
 とくにヤマダ電機などは今年は有力な優勝候補にあげられる。2週間後のクイーンズ駅伝むけて、いわば足慣らしの大会というわけで、どんな顔ぶれで出てくるか、彼女たちがどんな走りをするのか、興趣つきないものがあった。

 注目のそのヤマダ電機だが、昨年の優勝メンバーのうち3人を含め、ほぼベストの顔がそろった。竹地志帆、安藤実来、西原加純、石井寿美、筒井咲帆などはクイーンズ駅伝でもエントリーされるはずである。
 戦力を試しにきたな!
 ヤマダ電機のオーダーをみて、とつさにそう思った。最終区(8㎞)に筒井咲帆がはいっている。筒井はもともと短い距離で実績のあるランナーである。あえて最も距離のながい区間につかってきたのは意図があってのことなのだろう。おそらくクイーンズ駅伝では3区か5区を走らせる布石ではないかとみたのである。
 ヤマダ電機は昨年のクイーンズ駅伝で長い距離を走れるランナーをひとり欠いて4位に沈んだ。今年は竹地志帆とこの筒井咲帆を軸にしようという腹なのだろう。だから本大会で筒井を最もんがい距離の区間に使って、適格かどうかをみきわめるつもりだろうと読めた。

 レースの興味はヤマダ電機の動向、さらに実業団チームに大学生チームがどこまで肉薄できるかにあったが、最もみどころがあったのは第1区(6㎞)だった。
 鹿児島銀行の池満綾乃、シスメックスの金平裕希、ヤマダ電機の竹地志帆ら実業団ランナーがひっぱる展開でスタートしたが、1㎞=3:28というスローペース、2㎞すぎてもトップ集団には12~13チームがつけていた。
 2.5㎞では京都産業大学の橋本奈津、名城大の德永香子も前に出てくる。
 ペースがあがりはじめたのは3㎞すぎからで、ここで先の全日本大学女子駅伝で1区の区間賞をかっさらった橋本と竹地がひっぱるようになり、4㎞では立命館の加賀山恵奈、大阪学院大Aの清水真帆、名城大の徳永という大学生がついてきて、後続をぶっちぎった。区間賞あらそいはラスト1㎞勝負にもちこされ、好調な大学生3人と2人の実業団選手の叩き合いになった、ここで抜けだしたのが京都産業大の橋本であった。意外にもヤマダ電機の竹地はのびずに立命の加賀山にもかわされるありさまだった。
 かくして第一中継所では京都産業大がトップ、5秒遅れで立命館、6秒遅れでヤマダ電機、11秒遅れで名城大とつづき、クイーンズ駅伝のシードチーム・九電工は35秒差の8位と出遅れたのである。

 2区(3㎞)にはいっても1区で流れにのった京都産業大の藪田裕衣は快調に逃げた。ヤマダ電機の安藤実来は立命館をかわして2位まであがってきたが追い切れなかった。トップの京都産業大には1秒つめただけで5秒差でエースの西原加純にタスキを渡した。
 九電工はこの区間ものびず、6位と順位をあげたが、トップと差は36秒とかえってひろがってしまう。
 3区(4㎞)にはいると、さすがにヤマダ電機は強かった。エースの西原加純は1㎞で前をゆく京都産業大をとらえて、一気にひきはなしにかかったのである。昨年の西原はどこか体の動きが鈍くて、全日本でも凡走におわった。だが今年は一変している。顔の表情も精悍になり、目力もあって前身からオーラを放っている。体のキレもよさそうで、すっかりアスリートの顔になっている。今年のクイーンズ駅伝ではおおいに期待できそうである。
 その西原の区間タイの快走で、ヤマダ電機は3区で早くも独走態勢をきずいてしまった。2位にあがってきた名城大との差を30秒とひろげ、5位の九電工との差も48秒としてしまったのである。
 4区(3.99㎞)5区(5.01㎞)でも、ヤマダ電機は市川珠李、石井寿美がそれぞれ区間賞をもぎとる快走、5区をおわって、ようやく2位までやってきた九電工に1分17秒もの差をつけてしまったのである。
 5区は混戦の2位争いがおもしろかった。
 4位でタスキをもらった九電工の宮﨑悠香が1.7㎞で前を行く3位の立命館の松本彩花をとらえ並走しながら2位の名城大の松浦佳南を追いかける。3チームによる激しい2位争いがつづいたが中間点で宮崎が抜けだして、ようやく2位までやってくるのである。だが前述のように勝負はすでに決していた。
 最終6区(8㎞)、後ろからはもう誰もこない。すでに勝負は決しているのにヤマダ電機の筒井咲帆はしゃにむにすっ飛ばした。やはりクイーンズ駅伝へのテストであることを本人もよく理解していたのだろう。

 優勝したヤマダ電機と2位の九電工とは1分54秒もの大差がついていた。6人のうち5人までが区間賞という圧勝ぶりである。出場チームのなかでは戦力的にもやはり抜きん出ていた。クイーンズ駅伝では優勝候補の筆頭に踊り出たといっていいだろう。
 2位の九電工は1区での出遅れがやはり痛かった。終始、優勝争いにはからんでこれなかったので、2位とはいえ高くは評価できない。
 3位から6位までを立命館、京産、大阪学院、名城の大学チームが占めた。2位の立命館は主力を温存、先の全日本大学駅伝に出場した選手は誰一人も出ていない。いわゆるBチームなのだが、それでいて2位までやってきた。選手層の厚さゆえの地力というものだろう。
 今シーズンのチャンピオンシップの女子駅伝は11月27日のクイーンズ駅伝(全日本実業団女子駅伝)と12月30日の富士山駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)を残すのみとなった。 本大会に出場したヤマダ電機や九電工のランナー、立命館、京産、大阪学院、名城大の主力メンバーをもういちど見られる。
 ヤマダ電機の全日本初制覇なるか。立命館と松山のリターンマッチにゆくえはいかに……。両方とも見どころはいっぱいである。


◇ 日時 2010年 11月 13日(日)12時10分スタート
◇ コース:福井市 福井運動公園~堀ノ宮町~福井運動公園 6区間 30.0km
◇ 天候:出発時 晴れ 気温21.0度 湿度40% 風:西1.8m(出発時)
◇ ヤマダ電機A(竹地志帆、安藤実来、西原加純、市川珠李、石井寿美、筒井咲帆)
◇公式サイト:http://www.fukui-tv.co.jp/ekiden/index.html
◇総合成績:http://www.fukui-tv.co.jp/ekiden/seiseki.html

 

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