伏兵TOTO、総合力の勝利!
後半に乱戦から脱け出す

 第2回をかぞえるプリンセス駅伝、女子の全日本予選会だが、注目すべき選手の顔がそろった。リオ五輪マラソン代表の福士加代子(ワコール)、伊藤舞(大塚製薬)、1000m代表の関根花観(日本郵政)、高島由香(資生堂)などなど。いずれも母体チームは予選会まわってきていたのである。
 予選会まわりとはいえ、京セラ、資生堂、ダイハツ、ワコール、三井住友海上など、かつて本戦を制したチャンピオンチームが名を連ねているのをみると、女子駅伝の時代の変遷、盛衰の激しさを感じさせられる。


 レースはハナから波乱含みで、観るレースとしてはおもしろい展開に終始した。

 準エース格の顔ぶれがそろう第1区は1㎞の入りが、なんと3:05とハイペースで幕あけた。
 ワコールの一山麻緒が積極的にひっぱり、ホクレンの池亀彩花がつづき、資生堂の竹中理沙、十八銀行の前川晴奈、ルートインホテルズの田口奈緒、京セラの足立由真なども前につけている。
 3㎞手前になって集団がすこしづつバラけはじめ、キャノン九州ACやエデオンなど6チームが遅れはじめた。
 トップ集団の動きもはげしく、3.5㎞でホクレンの池亀彩花がとびだしたが、すぐに集団にのみこまれ、4.5㎞では十八銀行の前川晴菜がしかけ、少しずつ縦長になってゆく。トップ集団は11~12チームにしぼられた。5.5㎞では前川晴菜(十八銀行)がトップ、森田詩織(パナソニック)、竹中理沙(資生堂)、池亀彩花(ホクレン)、一山麻緒(ワコール)が2位集団をなしてつづいていた。
 ひとたび落ち着いたペースは5~6㎞になって3:09とあがった。最後は前川が逃げ、追う森田と竹中、少し遅れて一山がつづくという展開でランナーたちは中継点にとびこんでいった。
 かくして注目の1区は十八銀行がトップ、以下は資生堂、ワコール、パナソニック、ユタカ技研、ホクレン、京セラ、ノーリツ、ルートインホテルズ、TOTO、しまむら、肥後銀行、スターツ、日本郵政で、ここまでが圏内、トップから33秒以内と好位置をキープした。
 遅れをとったのはダイハツ(47秒遅れの16位)、日立(76秒遅れの20位)、三井住友海上は注目選手のひとりにあげられていた野田沙織が22位(88秒遅れ)と大きく出遅れてしまい苦しい展開となった。

 

 2区にはいると上位の順位争いははげしくなり、トップをゆく十八銀行の大内美優にパナソニックの堀優花と資生堂の吉川侑美が追いつき激しいトップ争い。だがラストで資生堂が奪首に成功した。2区でもいぜんとして乱戦模様でどのように転ぶかわからない情勢であった。トップは資生堂、以下はパナソニック、ユタカ技研、ノーリツ、ワコール、しまむら、ホクレン、十八銀行、京セラ、ルートインホテルズ、ユニクロ、肥後銀行、日本郵政まで圏内14チームは47秒以内につけていた。
 ここまでのところユタカ技研が大健闘、逆にダイハツ、三井住友海上、日立はまだ後ろであえいでいた。

 

 3区のエース区間は顔ぶれがそろった。
 資生堂の高島由香が逃げ、パナソニックの森田香織、ノーリツの岩出玲亜、ユタカ技研の髙野智声を追ってワコールの福士加代子がやってくる。4人が2位集団をなしてまえを追いはじめる。そして3,5㎞ではトップをとらえて、ひとたび5人の先頭集団となる。
 だが、福士はいまひとつ調子があがらない。5㎞すぎに高島、岩出、高野に森田ともども置いて行かれる。6㎞では森田が先頭集団に追いついたが福士は相変わらずピッチがあがらない。
 集団に変化がうまれたのは6.5㎞、岩出が遅れ、トップ集団は3人となり、さらに7.5㎞になると森田がしかける。高島がチャンスをうかがっていたのか、8.5㎞でとびだして一気に後続をちぎった。
 資生堂がエースの快走でトップをまもり、2位にはノーリツ、3位にはユタカ技研とつづいた。福士を撥ね飛ばしたユタカの髙野智声は区間3位と大健闘であった。以下、パナソニック、ワコール、しまむら、TOTO、ホクレン、京セラ、ダイハツ、ユニクロ、十八銀行、ルートインホテルズ、日本郵政……とつづいた。
 後ろからはダイハツは松田瑞生がやってきた。区間1位の走りで急追、ここで15位から一気に10位まで順位をあげてきた。

 4区は外国人特区である。有力外国人を持つチームが一気に上位にあがってくる。
 ひときわ眼を惹いたのはTOTOのシュル・ブロである。7位でタスキをもらいながら、2.6kmすぎには2位まで浮上すると、3㎞すぎで46秒差をつめては資生堂の須永千尋をあっさり抜き去ったのである。後ろでは日立のオバレ・ドリカが16位から13位にあがってきた。
 4区終了時点でTOTOがトップを奪い、資生堂、ノーリツ、パナソニック、ワコール、ユタカ技研、ルートインホテルズ、しまむら、京セラ、ダイハツ、ホクレン、十八銀行、日立、ユタカ技研……。三井住友海上と日本郵政は圏外にはじきとばされた。

 

 5区は最長区だが、トップに立ったTOTOはここに実績のあるランナーを配していた。マラソンでも実績のある早川英里、堅実そのものの走りで後続をじりじりと引き離して、追ってくるノーリツとの差を21秒としてしまう。昨年は苦戦したTOTOの優勝が見えてきたのである。
 焦点はもっぱら予選通過のボーダー争いにしぼられた。
 16位でタスキをうけた日本郵政の中川京香はあの鈴木亜由子を彷彿させつ軽快なフォームですっ飛ばす。1㎞すぎで三井住友の九島麻衣子をとらえ、ユニクロの林田玲奈を追いはじめる。そして3.5㎞で14位の林田をとらえ、さらに順位をあげて8kmすぎでは12位まで浮上するのである。快走・中川京香は堂々の区間賞。日本郵政にはまたひとり新しいエースがうまれたのである。
 最終中継点での順位はTOTO、ノーリツ、パナソニック、しまむら、ホクレン、資生堂、京セラ、ダイハツ、ルートインホテルズ、日立、ワコール、日本郵政、ユタカ技研、十八銀行……。16位には12秒差で三井住友海上がつづいていて、13位のユタカ技研から16位の三井住友海上まではわずか24秒……。かくして最後の2ワクをめぐる攻防は最終区にもちこされたのである。

 

 最終6区にはいってもTOTOは流れに乗って軽快に逃げた。アンカーの川上さくらは危なげなくタスキをゴールまで運んでいった。
 上位争いではなく、予選会ゆえに、ボーダー争いは熾烈をきわめ、テレビの画面ももっぱら上位はそこのけで、カメラは14位争いに向けられていた。
 2.5kmすぎ、15位の三井住友海上・中島葵が14位の十八銀行・古賀悠華をとらえてしまう。さらに前をゆく13位のユタカ技研・宮田佳菜代も間近にみえている。3㎞をすぎると、さらにそのまえにいるルートインホテルの石川涼音も射程圏内にはいってくる。
 12位から15位までがにわかに流動的になってきたのである。4.1㎞で13位のユタカの宮田がルートインの石川をかわして12位へ。さらに4.4㎞では三井住友の中島も落ちてきたルートインの石川を抜いて13位へ。残りひとつはルートインと十八銀行の争いとなったが、5.7㎞で十八銀行の古賀がルートインの石川をとらえた。
 かくして予選突破は上位から、TOTO、ノーリツ、京セラ、パナソニック、ホクレン、しまむら、日立、日本郵政、資生堂、ダイハツ、ワコール、ユタカ技研、三井住友海上、十八銀行の14チームとなった。

 

 TOTOは昨年は14位からの優勝である。4区のシュル・ブロでトップを奪い、後半は堅実につないだ。区間賞はひとりもいない。それでも最後はトップを走っていた。うまくレースの流れにのったのが勝因だろう。これぞ駅伝というものである。
 2位のノーリツも区間賞は誰もいない。総合力が生きたというわけか。
 3位の京セラも大健闘であろう。過去4度、全日本を制した古豪だが3年ぶりに駅伝にもどってきた。本戦は監督になった佐藤敦之(北京五輪マラソン代表)の初陣でもある。
 本戦をにらんでお化けしそうなチームはどこだろうか?
 ダイハツ、資生堂も本レースのデキでうらなうかぎり上位はきびしいだろう。そんななかでひときわ眼を惹いたのは日本郵政である。今回はエースの鈴木亜由子を欠いての出場である。さらに、もう1枚のエース・関根花観も調子がととのわずにブレーキー、4区を終わってなんと圏外の16位であった。あるいは落選か、という崖っぷち、そこから追い上げての最終宇8位である。
 5区の中川京香、6区の寺内希の連続が区間賞が輝きを放っている。エースを欠いてもこれだけの成績である。万全の態勢になれば本戦でも上位争い必至とみた。


◇ 日時 2015年 10月23日(日)午前12時10分スタート
◇ コース:宗像市→福津市→宗像市(42.195㎞ 6区間)
◇ 天候:曇り 気温20.8度 湿度68% 風:北東4.0m(出発時)
◇ TOTO(大森巴菜、黒田純菜、川上わかば、ジュル・ブロ、早川英里、川上さくら)
◇総合成績:http://gold.jaic.org/jaic/res2016/princesseki/pcsp/rel001.html

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