青山学院が余裕の2連覇!
王者の走りで、我が道をゆく

 駅伝とマラソンのちがいは何だろう?
 端的にいえば、マラソンは落ちてゆくドラマだ。トップ集団から一人、二人とふりおとされてゆき、最後は残った数人でラスト勝負になるという図式である。
 駅伝はそうではなく、上がってゆくドラマだ。区間ごとに流れが変転として、順位がめまぐるしく変転する。下位から追い上げてきて5人抜き、10人抜きというケースもめずらしくない。最終区で大逆転というケースもまれではない。 だから、観るスポーツとして、おもしろいのである。だからテレビと結びついて、冬のメジャーなスポーツになってしまった。

 観る側としては、いつも劇的なドラマを期待している。抜きつ抜かれつ、のドキドキ、ハラハラに固唾をのむ……。しかし駅伝はレースであり、筋書きのあるドラマなんかではない。実際にレースにのぞむチームの陣営としては、ドラマなんかクソ食らえで、勝っても負けても、競らずに淡々としたレースであってほしいというのが本音だろう。そんなことを考えながら観戦していた。
 だが、観る側は真逆だ。テレビ放映する局側も同じである。やたらドラマに仕立てようとして、ムリに煽っているようなコメントが鼻について、最近はシラけることが多い。おそらく実況の送り手やスタッフは、レースとしての駅伝をよく知らないのだろう。

 

 今回の出雲はどちらかというと、いつになく淡々整然としたレースだった。前半の1区、2区で早々と青山学院の連覇がみえてしまっていた。昨年は駒澤大が意地をみせ、最後まで食い下がったが、今回は青山をおびやかし、あわてさせる対抗馬がまるでいなかったのである。おそらく監督ルームの原普監督は終始安心してレースを楽しんでいたことだろう。出雲をみるかぎり、今シーズンの勢力地図は1強万弱というべきか。

 

 各チームがエース級を投入してくる第1区はスローな展開ではじまった。3㎞が9:02、中央学院の横川巧を先頭に20チームは一団となっていた。早稲田の平和真、東海の鬼塚翔太、東洋の櫻岡駿らの顔がみえる。スローでなんの変化もなく、観るほうも居眠りしてしまいそうな緩い展開である。
 5㎞通過が14:45、こで東洋の櫻岡がとびだし、第一工業のギチアが反応したが、すぐに集団にのみこまれる。だが集団はすこしずつばらけはじめ、6㎞では東洋の櫻岡を先頭に、早稲田の平、駒澤の西山雄介、山梨学院の上田健太、東海の鬼塚、青山学院の鈴木塁人など10チーム前後の集団となる。
 序盤を引っ張った中央学院の横川が遅れはじめ、7㎞手前ではなんと早稲田の平が置いてゆかれる。
 残り1㎞で第一工業のギチアがスパートし、駒澤大の西山と東海大の鬼塚が後ろにピッタリとつけたが、青山ほか後ろもつづいていた。
 残り400になって山梨の上田と日体の小松巧弥が抜けだし、東海の鬼塚もやってきた。それまで小松はいったいどこにいたのか。うかつにもノーマークだった。ともかく三つどもえの、区間賞争い、最後は上級生の意地をみせたか。日体の伏兵というべき小松が抜けだした。
 1区をおわってトップは意外にも日本体育大学、3秒遅れで東海と山梨、青山学院は10秒遅れの5位、東洋っは14秒遅れの7位、駒澤は16秒遅れの9位につけたが、早稲田は39秒遅れの13位に沈んでしまった。

 

 2区にはいると、東海大の1年生・館澤亨次がトップをうばい、山梨学院大の秦将吾、日本体育大の宮﨑勇将が並走、その後ろに青山の田村和希が追ってきた。田村は2.3㎞でトップ集団に追いついてしまう。4人の集団を割ったのは田村と館澤である。二人は3.5㎞でとびだしてトップ争い。はげしいせめぎあいがつづいたが、最後は田村がふりきった。
 2区で青山がトップを奪い、東海が3秒差、3位の山梨とは23秒差となり、青山は2連覇にむかって着実な足どりをしるした。駒澤、東洋とは1分あまり、早稲田とは2分ちかい差がついてしまい、早くも青山と山梨のマッチレースの様相がみえてきた。

 

 駒澤、東洋、早稲田にかわって台頭してきたのが、東海大だった。高校駅伝のスター選手3人を1区から3区まで配して、2区で3秒差の2位につけ、3区のランナーは關颯人である。關は青山の下田裕太を追い、2.3㎞で早くもならびかけ、3.2㎞でとうとう先頭を奪ってしまう。下田といえば東京マラソンで日本人1位、いまや青山のエース格だが、關はその下田を關が置いていったのである。後ろからは順天堂の塩尻和也が、さらに後方からは東洋の服部弾馬が急追、区間賞争いに名乗りをあげてくる。
 關の勢いはとまらなかった。中継点では青山の下田に23秒差をつけての堂々の区間賞である。青山は2位に落ちたものの、3位の山梨との差は34秒とひろがった。まさに予定通りの展開というべきか。

 

 4区~5区の興味はもっぱら青山と山梨のタイム差であった。
 4区は東海の3年生・川端千都がなんとかトップをまもったが、追う2位の青山・茂木亮太との差は11秒と詰まり、青山と3位の山梨との差は40秒とひろがり、青山は2連覇に向けて安全圏にとびこんだ。


 5区にはいると後ろから追ってきた青山の安藤悠哉と東海の三上嵩斗のはげしいトップ争い。三上はなんどもスパートしてふりきろうとするが安藤ははなれない。三上は根負けしたのか、ラストでは安藤の渾身のスパートに屈してしまった。安藤はさすがキャプテン、区間新記録の快走でトップを奪い、2連覇をほぼ決定的にした。
 5区を終わって青山と山梨の差はとうとう1分とひらいてしまう。青山のアンカーはエースの一色恭志である。1分もの貯金があれば、山梨がニャイロという大砲を擁してきても、楽々と逃げ切れる。

 かくして青山は勝つべくして勝った。
 余裕の2連覇、まさに王者のレースであった。

 2位の山梨学院は最終区勝負にかけたが、今回もとどかなかった。4区と5区で、あと30秒ほどかせいでおれば、あるいはおもしろい展開になっただろう。しかしこのチームは年ごとに着実に地力がついている。
 東海は大健闘である。3人のルーキーがレースの流れをしっかりつくった。距離がながくなる全日本で真価をとわれることになろうが、今後が大いに期待できそうである。
 4位の中央学院もつねに上位につけており、手堅いところをみせたといえる。
 5位におわった駒澤、8位に沈んだ早稲田、9位の東洋は、いったいどうしたことか。優勝を争うどころか、上位争いにも加われなかった。全日本でどのように巻き返してくるかに注目したいところだが、果たして……。
 出雲は各陣営の今シーズンの戦略を読むレースだが、今回はともかくも青山の強さだけがやたらときわだっていた。


◇日時 2015年 10月 12日(月=祝)12時10分 スタート
◇コース:出雲大社正面鳥居前~出雲ドーム前=6区間45・1㎞
◇天候:晴れ 気温19.5度 湿度54% 風:東北東6.1m(午後1時05分)
◇青山学院大学(鈴木塁人、田村和希、下田裕太、茂木亮太、安藤悠哉、一色恭志)
◇結果詳細 http://www.izumo-ekiden.jp/record/record.pdf
◇公式サイト http://www.izumo-ekiden.jp/
  富士通:http://www.fujitsu.com/jp/about/resources/advertising/event/ekiden

 

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